20話 報酬
俺と清音は、翌朝早くから山に入る。
物音を立てながら歩くが、化け物は出てこない。
昼は村長が用意してくれた弁当を食べる。
午後からも夕方近くまで歩き回り山を一回りする。
村長の家に着く頃には暗くなっている。
村長は出迎えて言う
「遅いから心配しましたよ。」
「心配かけてすみません、山を一回りしました。」
清音が答える
「どうでしたか。」
「化け物はいませんでした。」
「これで安心できます。」
村長は感謝する。
俺たちは、もう一泊する。
もちろん風呂も寝るのも清音と一緒である。
朝になると、俺たちは村長や村人と別れを告げ領主の館に向かう。
村長からは封書を預かっている。
2時間ほど歩くと領主の館に着く。
門にはこの前の門番が立っている。
門番は俺たちを見ると
「あんたたちか、仕事は成功したか。」
「ああ、おかげさまで片付いたよ。
「ちょっと待っていてくれ。」
門番は、中に入っていく。
今度は清音に何も言わない。
彼は、この前と同じ男を連れてくる。
男は俺たちに言う
「忌み人を中に入れるわけには行けませんので、ここで話しましょう。」
「分かりました。」
「村長から証文は預かってきていますか。」
「これですか。」
俺は村長から預かった封筒を渡す。
男は封筒の封を開け、文を読みだす
「2人で青鬼を3匹と一つ目を42匹狩ったのですか。」
「そうです。」
「依頼料は金貨8枚でしたが金貨10枚を払いましょう。」
「どうしてですか。」
「金貨2枚はあなた方の功績に対してです。」
「ありがとうございます。」
俺と清音は礼を言う。
俺たちは領主の館を離れる。
清音は俺に
「これで冬を越せそうね。」
確かに、山は紅葉を終え、寒くなってきている
「冬はどうするんだ。」
「依頼を受けるのは命がけになるから町で過ごすわ。」
「命がけって。」
「冬の雪の中を外で夜を過ごすのは大変よ。」
「確かに一歩間違えれば凍死である。」
「それでこの前の町に戻るの。」
「長篠には帰らないわ、ちょっと遠いけど扶桑に行くわ。」
「どうして扶桑に行くの。」
「私がいつも冬を越している町だからよ。」
俺たちは旅を始める。




