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2話 馬車は無いんだ

 その頃、四宮では菊が攫われてから3週間を過ぎている。

 宗七と影平はそろそろ菊の救出の結果が届けられると考える。

 2人は、菊が無事に帰ってくると信じている。

 菊姫が攫われたことは、村の調査の護衛から帰ってきた弥次郎、千代音、達郎、美代にも伝えられる。

 4人は驚くができることはない。

 4人には新しい仕事ができる。

 宗七は兵10人単位で村を巡回することを決める。

 四宮には1000人の兵がいるが実戦を経験しているのは、四條道隆の乱に参加した500人だけである。

 宗七は兵の実力を上げるため、兵に村を巡回させることにしたのである。

 村を巡回するためには、野営で化け物と戦う必要があり、一人一人が剣士並みの腕を持つ必要がある。

 さらに村では村人の要望を聞き取り、小さなものは自分たちで解決する機転が必要になる。

 もちろん、情報収集も重要である。

 そのためには兵の訓練は重要になる。

 4人には1人10人を受け持ち、2週間づつ訓練をすることになる。

 訓練は午後に行い、訓練が終了すれば10人単位の調査団になる。

 宗七には考えがある。

 1000人の兵を調査団にすることで、戦力の底上げは当然で、兵の中から腕の立つ者、小隊の指揮を任せる者を見つけるのである。

 村の調査は終了して、情報を精査しているところである。


 俺たちは馬で走り旅をしている。

 菊は俺に言う

 「旅は馬の方が良いわ。これからは牛車をやめようかしら。」

 「人の目があります。せめて馬車にしてください。」

 「馬車って何かしら。」

菊の言葉に倭には馬車がないことに気づく。

 「牛のように馬が車を引くものですが。」

 「馬にそのようなことはさせられないわ。」

 「どうしてですか。」

 「馬は数が少ないのよ。一部の貴族が乗るだけよ。」

俺は菊の言葉に流通の革命を思いつく。

 馬を増やして馬車を作れば、早く移動ができる。

 兵員も輸送が早くなる。

 四宮へ帰ったら宗七に相談することにする。

 「どうしたの。」

菊が考え込んだ俺に聞く

 「良いことを思いつきました。」

 「どんな事。」

 「内緒です。」

菊はむくれる。

 1日目が夕方になり、寝る場所を決めて陣を張る。

 この日の夜は化け物は来なかった。

 2日目も朝から馬で走る。

 この日も夕方になり、寝る場所を決めて陣を張る。

 俺たち3人は肩を寄せ合って寝ている。

 深夜、大牙が2匹近づいてくる。

 2匹は群れの斥候である。

 俺と清音は、気がついている。

 菊は寝ているので、そのままにして静かにして斥候をやり過ごすことにする。

 大牙は陣の周りをうろつくがしばらくして去って行く。

 3日目になり朝から馬で走ると昼前に扶桑に着く。

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