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12話 次の手

 宗七の発案により町の入場税を廃止してから1か月経つ。

 町への人の出入りは、廃止当初より5割ましになっている。

 町の中に物と金が入り流れることにより、町は以前よりにぎわってきている。

 当初、最初は入場税の廃止により領主である菊の収入は減るものと考えられていた。

 しかし、商人の収入が増えたため、収入はほとんど変わらない。

 この結果に影平は宗七に話しかける

 「良い出だしですね。」

 「はい、予想以上の効果です。」

 「次は、商人への税を軽くするのですね。来月から始めますか。」

 「もう、計画はできています。姫様の了承が得られれば、すぐにでも始めたいと思います。」

 「急ぎすぎではありませんか。」

 「いま、四宮は入場税の廃止で注目されています。今のうちに手を打ちたいと思います。」

影平は感心する、宗七は時流に乗って改革を進めようとしている。

 影平は、菊が宗七を軍師に向かえたことに納得がいく。

 宗七は、影平に計画を説明する。

 今、商人の利益の4割は税として納めることになっている。

 宗七は段階的に税を軽くして最終的に2割にすることを目標としている。

 まずは2分の減税をして、効果を確認することとしている。

 影平は、2割の税に驚く、四宮は税が軽い方で、大方の町が5割の税を徴収している。

 しかし、宗七は自信あるようである。

 影平は、宗七にかけてみようと考え、計画を了承する。

 宗七は、すぐに菊の所へ企画を持ってくる。

 菊の部屋には俺もいる。

 菊は宗七の計画に戸惑う。

 税を半分にすることは単純に考えると収入が半分になると言うことである。

 宗七は菊に言う

 「税は少しづつ軽くしていきます。姫の収入に悪影響はありません。」

 「もともと四宮は税を軽くしています。そのため、館の蓄えは少ないです。これ以上収入が減れば軍を動かすことが出来なくなります。」

 「分かっています。収入を1年で倍にして見せます。」

 「倍ですか。大きく出ましたね。」

 「その自信があります。」

宗七は菊に迫る。

 菊は俺に聞く

 「つなは、どう考えますか。」

 「今、町の流通が良くなってきています。ここで手を打つのは、良い考えだと思います。」

 「そうですか。」

菊はまだ答えを出せずにいる。

 俺は宗七に質問する

 「流通が大きくなると四宮では手狭になると思いますがどうしますか。」

 「町を拡張した塀を築いて、土地を確保します。人夫も集まりますので町はますます潤うでしょう。」

宗七の言葉に菊が反応する

 「町が大きくなるのですか。」

 「はい、大きくなります。」

 「それなら、収入は大丈夫ですね。」

宗七は菊からも了承を得る。

 俺が中庭を1人で見ていると宗七が来て話しかける

 「つな様が、町の土地のことを考えるとは思いませんでしたよ。」

 「町が発展すれば大きくなるから当然だと思うよ。」

 「つな様は、異世界から来たのでしたね。」

 「俺がいた世界では町が塀で囲まれていなかったよ。」

 「町は塀で囲まれていますから、商店の数も限られます。」

 「それでは発展しませんよ。」

 「つな様の言うとおりだと思います。」

 「塀をなくすことはできないかな。」

 「それでは化け物に襲われます。」

 「そうでしたね。」

俺は人々が安全のために塀のある町に住んでいることを失念していた。

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