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6話 国府を出発

 旅の準備は、宗七の指示で行われ、1日で旅に出られるようになる。

 翌朝、菊と俺は、帝にお目通りを願う、出発のあいさつをするためだ。

 俺たちは部屋の中央に正座して平伏する。

 帝が俺たちに声をかける

 「もう、四宮に出発しますか。」

 「はい。」

 「つな、菊を頼みますよ。」

 「私は、妻の剣です。」

 「菊を幸せにしてください。」

 「必ず幸せにします。」

 「我々の幸せの邪魔ものがいましたね。」

 「鬼柳のことですか。」

 「鬼柳に対抗できるのは、あなたたちしかいないでしょう。」

 「日々精進しています。」

 「私は、鬼柳の出方を見るつもりです。」

 「討伐はしないのですか。」

 「奴は、奴国の領主です。攻めれば国どおしの戦になるでしょう。」

 「奴が、倭に居れば討っても構いませんね。」

 「出来れば、そうしてください。」

 「分かりました。」

 「菊、つなを早く官1位にするのですよ。」

 「はい、私もそのように考えています。」

 「よろしい。」

帝と菊は、俺を官1位にして帝の後継者にするつもりのようだ。

 菊と俺は、帝の部屋から出る。

 菊が俺に聞く

 「鬼柳を討つと言っていましたが、目算はあるのですか。」

 「いえ、ありません。」

 「それでも戦うつもりなんですね。」

 「いずれ、俺たちの前に現れるでしょう。戦いは避けられないと思います。」

 「そうですね。」

鬼柳の力は分からないが倒さなければならないと考えている。


 俺たちは城を出発する。

 人用の牛車6台と荷運びの牛車1台の7台と護衛が30人いる。

 先頭と6番目に付き人が乗り、2番目に千代が乗り、3番目に菊と俺が乗り、4番目に清音と日奈が乗り、5番目に宗七が乗る。

 最後尾は荷物の牛車である。

 弥次郎と千代音、達郎、美代は護衛として牛車の守りについている。

 また、宗七の3人の使用人は、護衛と一緒に歩くことになる。

 牛車の列が城を出て、通りに出ると町の人々は驚く。

 牛車が7台の長い行列は見たことがないのだ。

 行列は大通りをまっすぐに進み、町の門から街道へ出る。

 菊は俺に聞く

 「黒鬼の件から鬼柳は動いていませんが旅の途中で手を出してくると思いますか。」

 「分かりませんが、奴は動くなら何らかの手を打ってくると思います。」

 「旅の途中は襲わないということですか。」

 「奴は、俺たちの前に堂々と現れるでしょう。」

鬼柳はいつも、帝や菊の前に堂々と現れている。

 奴自身が、旅の途中で奇襲をかけることはないだろう。

 扶桑までの10日間、俺たちは鬼柳に襲われることなく過ごす。

 そして10日目の午後、扶桑に着く。

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