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1話 宗七、軍師になる

 俺と清音は、菊に呼ばれる。

 菊の部屋には宗七が来ている。

 俺は宗七に言う

 「宗七さん、来ていたのですか。」

 「はい、つな様、帝に鬼柳のことを話しましたね。」

 「すみません、情報源を隠していたのですが・・・」

 「すぐにわかることですよ。」

 「申し訳ないです。」

 「済んだことは仕方ありません。」

 「これからどうするのですか。」

菊が口をはさむ

 「宗七には、私たちの軍師になってもらいます。」

 「宗七さん、角倉はどうするのですか。」

 「番頭に任せるつもりです。」

 「そうですか。」

 「つな様たちには、これから私の指示で動いてもらうかもしれません。」

 「分かりました。」

 「まずは四宮を栄えさせることから始めようと思います。」

 「税制の改革ですか。」

 「なぜ、分かったのです。」

 「いえ、何となくです。」

 「やはり、つな様はいいですね。帝になるときが楽しみです。」

菊は俺を帝位に就かせようとしていることを宗七に話したようだ。

 宗七は角倉から連れてきた3人の使用人を配下に取り立てることにした。

 4人の護衛は宗七の書簡を預かって角倉に帰って行った。


 俺たちが国府に来てから1週間後、菊は達郎と美代を部屋に呼び出す。

 達郎と美代は、菊の部屋に入ると部屋の中央に正座する。

 菊は2人に言う

 「盗賊討伐の功により官6位と褒賞金を与えます。」

 「ありがたく頂戴します。」

官6位の鉄製の札には、帝の家紋板倉巴が刻まれている。

 「あと1つで貴族ですね。今のうちに影平に作法を習っておきなさい。」

達郎が嫌そうな顔をする。

 「私からの助言ですよ。」

 「はい、姫様に恥をかかせないように頑張ります。」

達郎と美代は、菊に言われれば嫌とはいえない。

 後に、弥次郎、千代音、達郎、美代は、作法を教える影平を悩ませることになる。


 俺たちは城で結婚の準備が進められる中、いつもの訓練を続けている。

 違うのは、正虎と勝時が剣の訓練に加わっていることである。

 彼らは、鬼柳にやられて危機感を持ち、俺たちに教えを乞うてきたのだ。

 俺と正虎が、試しに手合わせをすると正虎は俺の動きについてこれず俺が圧勝する。

 以前手合わせをしたときには、互角だったのだが俺は腕を上げていた。

 そこで、達郎と勝時が手合わせをするが、達郎は一瞬で間合いに入ると勝時の木刀を撃ち落す。

 達郎までが、かなり腕を上げていることが判る。

 正虎と勝時は、今、必死に訓練に食らいついて来ている。

 魔力コントロールの訓練の合間に俺は呪符の効果を試したいと思ったが攻撃系の呪符は城の中で試すところがなく諦める。

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