11話 宗七、貴族になる
俺たちが国府に到着して３日後、宗七たちは国府に着く。
町の門を通り、城の外門まで来ると宗七は、官７位の鉄製の札を見せると門兵に言う
「宗七と申します。帝の指示を果たしてまいりました。お目通り願います。」
「しばらくお待ちください。」
門兵がそういうと、門兵の１人が中へ走って行く。
しばらく待つと門兵が大声で言う
「開門。」
木製の扉が開く、門の中には、案内人がいる。
案内人は、宗七たちに言う
「私について来てください。それから指示に従ってください。」
「分かりました。」
宗七たちは案内人について行く。
彼らは中門を通り、建物に着く。
そこで履き物を脱ぎ、建物の中を進んでいく。
階段を２階登り、何もない部屋に着く。
そこには２人の兵がいる。
そこで案内人は宗七たちに説明する
「兵がふすまを開けたら、部屋の中央で正座して帝に平伏してください。そして、用件をお話しください。」
「分かりました。」
宗七が答える。
案内人は、兵に言う
「宗七殿をお連れしました。帝にお目通り願います。」
兵は黙ってふすまを開ける。
宗七たちは、言われた通り、部屋の中央に行き正座すると平伏する。
宗七たちの前の１段高いところに帝が座っている。
宗七は、帝に言う
「帝の指示通り、鬼柳儀幽を調べてまいりました。」
「大儀でした。」
「佐山に行こうとしましたが、商人が怯えるためできませんでした。」
「危険を冒す必要はありませんよ。」
「仰せのままに。」
「宗七に褒賞として官５位と褒賞金を取らせます。」
居合わせた貴族からどよめきが起こる。
官７位の商人がいきなり貴族になるのである。
帝は言う
「宗七の働きは１０００の軍に勝ります。異議のある者は申し出なさい。」
貴族たちは静まり返る。
「宗七の使用人には官８位と褒賞金を取らせます。」
「護衛には官１０位と褒賞金を取らせます。」
宗七たちは帝に答える
「ありがたく頂戴します。」
帝は宗七に言う
「宗七、私の元で働く気はありませんか。」
「すみません。菊姫に軍師にと呼ばれています。」
「そうですか、菊に先を越されましたね。」
帝は宗七を諦める。
「菊とつなが結婚のため、城に滞在しています。宗七も式に参加してください。」
「分かりました。」
宗七には菊とつなが城に来ていると想像はついている。
彼の手元に婚礼用の商品がまだ届いていないことを残念に思う。
彼は番頭に婚礼用の商品を送るように書簡を送っていた。
宗七は調査中も商売のことを忘れていない。
