9話 国府へ行く
俺たちは、国府に向かって旅を続ける。
4日目と5日目を無事に過ごす。
6日目、菊が清音を話し相手に自分の牛車に呼ぶ。
すると千代が、俺と日奈のいる牛車に入って来る。
千代は、俺ににじり寄りながら言う
「つな様、この前は興奮しましたわ。」
「今日は話をしよう。」
俺はこれ以上清めに冷たい目で見られたくはない。
それに千代音にいつ切りつけられるかわからない。
「千代様、今回は話をしましょう。」
日奈が俺を援護する。
「日奈様はいつもつな様と一緒ですから、私の気持ちがわからないのですわ。」
千代はふくれる。
「九条殿は、千代が側室になることを反対しないのか。」
俺は話題を変える。
「賛成しています。父もつな様を買っています。」
「でも、俺は菊姫の夫と言う立場だぞ。」
「私は、帝は後継者につな様を選ぶと思っています。」
俺は、菊が俺を帝位につかせようと考えていることを黙っておく。
「先のことは分からないよ。」
俺が言うと千代は
「日奈様もつな様が帝になると思ってきたのでしょ。」
「私は、つな様に惚れてしまったのです。」
俺は、清音と日奈は打算がないところがよいのである。
もちろん2人とも好みである。
菊と千代も美人であるが計算高いため、俺は一歩引いてしまう。
この後、千代は日奈に負けじと俺が好きなことを主張する。
そうしているうちに牛車が止まる。
そして、清音と菊が俺たちの牛車をのぞく。
清音は俺に聞く
「お猿さんはやめたの。」
菊は感心したように
「つな様は、自制心を身に着けたのですね。」
と言う。
俺はみんなからどのように思われているか気になる。
どう考えても混浴にアーンに牛車の中のあれである。
女好きの色ボケと思われても仕方がない。
しかし、牛車に戻った清音は機嫌が良いようだ。
6日目の夜は、化け物は近寄って来なかった。
7日目の夜、俺は地面の振動で目が覚める。
清音と弥次郎、千代音、達郎、美代は目を覚ましている。
フクロウの達郎が近づいているものを見つけ
「赤鬼が2匹近付いてくる。」
と言う。
俺たちは静かにしてやりすぐそうとする。
赤鬼は陣の周りをうろつく。
護衛たちも目を覚まし始める。
その中の1人が叫び声を上げる。
俺たちは同時に陣から飛び出す。
弥次郎が赤鬼の握足を切り、倒れてきたところを清音が首をはねる。
俺は刀に力を乗せ刀身を伸ばして赤鬼の両足を切り落とす。
千代音が足をなくし倒れてきた赤鬼の首をはねる。
達郎と美代は、わずかに出遅れ獲物がいない。
菊たちも起きてきたが、赤鬼を倒した後である。
8日目と9日目は何事もなく過ぎる。
10日目の午後、国府に着く。




