12話 勝成、驚く
大治は、西の国境に近いためか、漆喰の塀は高さ20メートル位ある。
門には門番が6人いる。
俺は門番に言う
「私は熊野つな、帝の勅命で来た。領主の氏原殿にお目通り願いたい。」
門番は1人が領主の館に走り、1人が俺たちを館まで案内する。
館に着くと俺たちは馬から降りる。
氏原勝成が、俺たちを迎えに出ている
「氏原勝成です、熊野つな殿よろしくお願いします。」
「熊野つなです、お世話になります。」
「こちらへどうぞ。」
俺たちは広間に案内される。
氏原勝成が話を始める
「黒鬼は、今、姿をくらましています。」
「どこにいるかわからないのですか。」
「はい、黒鬼に襲われた村は消滅しています。」
「そうですか。何か情報がありますか。」
「帝に報告した以外にはありません。」
「そうですか。」
俺たちは、すぐに黒鬼と戦闘になると思っていた。
しかし、肝心の黒鬼がいないのである。
俺たちは、黒鬼が見つかるまで館に泊まることになる。
部屋は、俺と清音、弥次郎と千代音、達郎と美代で3部屋借りる。
達郎は美代と部屋が同じでテンションが上がる。
夕食になり、美代が達郎にアーンをする。
美代はそれが作法だと思っている。
清音がまねてアーンをする。
弥次郎が千代音にアーンを要求する。
千代音も根負けしてアーンを始める。
この光景に氏原勝成は唖然とする。
そして大丈夫かと心配になる。
しかし、熊野つなは天下無双と言われているつわものである。
清音、弥次郎、千代音も一騎当千と言われているのである。
ほかの2名もただものでないはずである。
勝成は6人を信じることにする。
天下に名をとどろかせているのだ。
普通であるはずがないと言い聞かせる。
風呂も俺と清音が一緒に風呂に入る。
達郎と美代も風呂に入る。
勝成はもう驚かない、6人は普通でないのだ。
勝成はその後、俺たちと黒鬼対策について話す。
「つな殿は、黒鬼討伐に自信がおありですか。」
「正直、分かりません。」
「何か方策はおありですか、兵を1000ほどお貸ししても良いですよ。」
「ありがとうございます。今のところ兵を借りる予定はありません。」
「6人で戦うのですか。」
「はい、俺と美代が攻撃役で、ほかの4人でけん制をします。」
勝成は、美代を見る。
仮面をかぶっているが、まだ少女のようだ。
こんな少女がつなとツートップで攻撃をするのである。
勝成は考えを改める。




