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8話 国府へ行く

 翌日、俺たちは国府に向けて扶桑を出発する。

 町の人々が見送りに出ている。

 「無事に戻つて来いよー」

 「がんばれよー」

町の人々は、俺たちが戦いに(おもむ)くことに気づいているようだ。

 1日目の夕方が来る。

 寝る場所を決めて、美代が陣を張る。

 深夜、一つ目が3匹来るが、しばらくして去って行く。

 2日目、弥次郎が俺に話しかけてくる

 「つなさん、黒鬼とどう戦うか決めていますか。」

 「黒鬼の情報が少なすぎるよ。」

 「このまま戦うことになるかもしれませんよ。」

 「刀が効かないという話だが、魔力を乗せれば切れるかもしれない。」

 「切れなかったらどうします。」

 「落とし穴かな。」

 「身動きを止めることはできると思いますが、どう仕留めるんですか。」

 「焼き殺すのはどうかな。」

 「いい考えですね。とりあえず、俺たちの刀が通用することを祈っています。」

黒鬼は、俺を殺すために用意されている。

 鬼柳が俺を見くびっていることを願うばかりだ。

 2日目の夕方が来る。

 美代が寝る場所に陣を張る。

 俺は黒鬼との戦い方を考える。

 土蜘蛛の時のようにうぐいす丸とかわせみ丸が通用するとは考えづらい。

 俺と美代が黒鬼にダメージを与える役で、清音と弥次郎、千代音、達郎には、けん制役をしてもらう方が妥当のようだ。

 俺と美代は魔力が強いので黒鬼に通用する可能性が高いと思う。

 考えをめぐらすうちに朝になる。

 3日目の午後、国府に着く。

 俺たちが門をくぐると町の人々に歓声で迎えられる。

 「討伐がんばれよ」

 「黒鬼を倒してくれ」

 「負けるなよー」

すでに国府の町には、黒鬼のことが知れ渡っているようである。

 大通りをまっすぐ進むと城の外門に突き当たる。

 俺は門兵に言う

 「熊野つな、帝の召喚により来た。」

 「開門。」

門兵が大声を出すと木製の扉がゆっくりと開く。

 俺たちは馬に乗ったまま入り、100メートルほど進むと中門の前で馬から降りる。

 中門を入ると俺たち6人は屋敷の中に入り、階段を2階登る。

 そして、何もない部屋に入る。

 そこには兵が2人立っている。

 清音と弥次郎、千代音は面を外す。

 美代もまねて面を外す。

 美代は城に入ってから何者かに見られている気配を感じている。

 そして、部屋にいる兵もかなりの腕前だと判断する。

 俺は、兵たちに言う

 「熊野つな、帝の召喚に応じてきました。お目通り願います。」

兵は黙ってふすまを開ける。

 俺たちは、部屋の中に入り中央で正座する。

 部屋の中で1段高くなっているところに帝が座り、後には正虎と勝時が控えている。

 また両側には、九条正親をはじめとした貴族がいる。

 俺は

 「召喚に従い参上しました。」

と言うと俺たちは平伏する。

 帝が声をかける

 「一騎当千のつわものが6人ですか。菊は恵まれているようですね。」

 「姫様の剣として日々精進しています。」

 「それは頼もしいです。」

帝はさらに言う

 「私は、つなと2人で話があります。人払いをお願いします。」

貴族たちがざわめく、正虎と勝時も驚いているようだ。

 「どうしました。私はつなと2人で話があると言っているのですよ。」

帝に言葉にみんな部屋から出ていく。


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