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2話 影平を罰する

 鬼柳儀幽が立ち去った後、石川影平が正気を取り戻す。

 影平は、菊の前に進み出ると正座して平伏する。

 彼は、菊に言う

 「姫様、申し訳ございません。」

菊は、引き締めて影平に言う

 「操られていたのですから、仕方ありません。」

 「いいえ、私の不徳の致すところです。」

 「この件は、不問にします。」

 「いけません、私を処罰しなければ、示しがつきません。」

 「そうすると、鬼柳を逃した者も処罰しなければなりません。」

 「そちらは、注意だけでよろしいでしょう。」

 「あなたはどうするのですか。」

 「害悪を姫様の所に導いた罪は重いです。斬首か蟄居(ちっきょ)が妥当かと思います。」

 「では命令します。7日間の閉門を申し付けます。」

 「それは軽すぎます。」

 「私の命に不服ですか。不敬ですよ。」

 「(つつし)んでお受けします。」

俺は菊に言う

 「影平様に落ち度はありません。」

 「罪に問うなと言うのですか。」

 「はい。」

 「すでに私は命を下していますよ。」

 「言葉が過ぎました。申し訳ありません。」

 「つな様、清音、弥次郎さん、千代音さん、達郎、美代、私の前に座ってください。」

 「はい。」

 「あなた方は、私の命を果たさず、鬼柳を取り逃がしました。」

 「はい。」

 「二度とないように修練に励みなさい。」

 「はい。」

 「影平、納得しましたか。」

 「はい。一同、姫様の言葉、心に刻みます。」

菊は、笑顔に戻り

 「みんな無事でよかったです。」

 「鬼柳に対する対策を練っておきましょう。」

とみんなに言う。

 菊は鬼柳儀幽の襲来の詳細を記した書簡を帝と植松良房に送る。


 帝の元に菊の書簡が届く。

 帝は書簡を読むと控えている九条正親に言う

 「菊の元に鬼柳儀幽が現れたそうです。」

 「菊姫の元にですか、何の目的でしょう。」

 「目的は分かりません。」

 「そうですか。」

 「菊の元にいるつなたち6人がかりでもかなわなかったそうです。」

それを聞いて、帝の後ろに控えている平正虎と日野勝時は汗をかく。

 鬼柳を前にして帝を守るのが難しそうだからである。

 「つな殿たちは、大丈夫なのですか。」

 「無事なようです。」

 「そうですか、それにしても化け物時見ていますね。」

 「書簡には、つなが鬼かと問いただしたところ顔色が変わったそうです。」

 「鬼ですか。鬼が人の言葉を使うとは思えませんが・・・」

 「例外はどこでもいますよ。」

 「はい。」

 「ここにも来るかもしれませんね。」

 「警戒を厳重にします。」

 「鬼柳は妖術を使うようです。通常の警護は役に立たないでしょう。」

 「正虎、勝時。」

 「はい。」

2人は帝の前に出て片膝をつく。

 「鬼柳が来てもよいように腕を磨いておきなさい。」

 「仰せのままに。」

正虎と勝時に出来るのは剣の腕を上げることだけである。


 俺は菊の部屋に行く。

 菊は俺に言う

 「どうしたのですか。」

 「どうして、影平様を7日間の閉門にしたのですか。」

 「影平が罰を求めていたこともありますが、あなた方の相手で心労が溜まっているのではないかと思ったのです。」

 「休みを取らせるためですか。」

 「そうです。影平は休みませんから。」

俺は、菊の裁定に納得がいく。

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