10話 官8位になる
達郎と美代は、四宮に向かって歩く。
1日目の夕方、寝る場所を決めて美代が陣を張る。
深夜になると地面から振動が伝わってくる。
2人は目を覚まし木から降りる。
達郎のフクロウの目は近づいてくる赤鬼を捉える。
達郎は美代に言う
「赤鬼が来る。俺が足を切るから、とどめを刺してくれ。」
「はい。」
2人は役割分担する。
達郎は、気配を殺し、足音を消して陣から出ると赤鬼に近づく。
赤鬼は直前で達郎に気づくが遅い。
すでに達郎の間合いに入っている。
達郎は一撃で赤鬼の右足を切り落とす。
美代が赤鬼が倒れる瞬間を狙って首をはねる。
「うまくいきましたね。」
美代が嬉しそうに言う
「ああ、うまくいった。」
達郎は緊張を解く。
翌朝、2日目になる。
2人は何事もなく旅を続ける。
夕方になり、寝る場所を決めて、美代が陣を張る。
2日目の夜は、化け物が現れない。
達郎と美代は、3日目の昼前四宮に着く。
達郎は門番に官9位の証の鉄製の札を見せ
「菊姫様の命を果たし帰りました。」
と言う。
門番の1人が領主の館に走る。
2人は歩いて館に戻ると菊が出迎える。
達郎と美代は片膝をつき
「姫様の命を果たしてきました。」
と言い、達郎は村長に預かった書簡を菊に渡す。
菊は書簡に目を通すと2人に言う
「ご苦労様でした。後日褒賞を取らせましょう。今日は休んでください。」
「はい。」
達郎と美代は部屋に戻る。
菊も部屋に戻り、俺と清音を部屋に呼ぶ。
「達郎と美代は、青鬼7匹の群れを狩ったそうです。」
「腕を上げている。」
清音が言う。
「その後、山で一つ目23匹と青鬼3匹を狩っています。」
「良いですね。」
俺は聞いた感想を言う。
「2人は新しい戦力になると思いませんか。」
「はい、私たちと一緒に戦えると思います。」
俺が言うと菊は喜ぶ。
翌日、達郎と美代は町に出る。
狩った、角や牙を換金するためである。
店に入ると店主が言う
「忌み人は、後だ。」
美代は官9位の札を見せる。
達郎も官9位の札を見せるが板倉巴の家紋がある。
店主はそれを見て
「姫様の所の人でしたか。」
と態度を変える。
達郎は赤鬼の角2本、青鬼の角20本、一つ目の角23本、大牙の牙8本を出す。
赤鬼の角は1本銀貨5枚に換金され、青鬼の角は1本銀貨2枚と銅貨5枚、一つ目の角は銀貨1枚と銅貨2枚、大牙の牙は銀貨1枚になる。
角と牙は金貨8枚、銀貨7枚、銅貨6枚になる。
達郎と美代は人目のないところで換金した金を山分けにする。
そして食事処に入る。
店主は達郎を知っているので何も言わない。
達郎と美代は昼食を食べると町をぶらつく。
達郎は、美代と一緒なので何かをするわけでもないが楽しく過ごす。
2週間後、達郎と美代は菊の部屋に呼ばれる。
2人は部屋の中央に正座する。
菊は言う
「青鬼の討伐の褒賞を渡します。達郎と美代には、村を救った功により官8位と褒賞金を与えます。」
「ありがたく頂戴します。」
2人は官8位の証の鉄製の札と金貨10枚を受け取る。
鉄製の札には帝の家紋の板倉巴が刻まれている。
菊は帝に上申して官位を与えたのだ。
2人は菊に言う
「これからもお役に立つと誓います。」
「お願いします。」
菊は笑顔で答える。




