8話 裁き
日野信当の事件は数百人が役人に調べられることになる。
信当は、帝の義父に当たる。
その者が帝の長女の命を狙ったのだ。
ことの重大さに慎重に調べられる。
捜査は3か月に及んだ。
鬼柳儀幽についても捜索が続けられたが手掛かりはない。
分かったのは、貴族にそのような者はおらす、倭の国の商人にもいないということである。
そして、日野信当を筆頭に謀議をした10人の貴族は斬首となる。
5人の貴族が蟄居、10人の貴族が閉門になる。
その影響は国府の街に混乱をよんだ。
処罰を受けた貴族と取引のある商人は、取引が無くなり店をたたむものが出てくる。
それは、商品を扱っている者や作っている者まで影響が及ぶ。
つぶれた店の隙をついて店を開店させる者もいたが、国府の町の人に睨まれうまくいかなかった。
角倉の宗七は慎重に機会をうかがっていたため、難を逃れる。
九条正親たちは、久しぶりに集まり話をする。
日野信当の事件で、捜査がされているうちは控えていたのである。
信当のように謀議をしていると噂されないためである。
九条正親が話し始める
「日野信当殿があのようなことを画策したとは恐ろしいことです。」
「鬼柳儀幽にそそのかされるか操られたのではないでしょうか。」
四條兼隆が言う。
「その鬼柳儀幽は、いまだに見つかっていませんな。」
「彼は妖術のようなものを使っていました。」
「妖術使いですか。」
「分かりません。」
「我々も気を付けませんと鬼柳の術中にはまりますな。」
「とはいえ、竹丸様を推していた主だった貴族がいなくなりました。」
「菊姫様が世継ぎになるのは近いですかな。」
「つな殿が次に功を立てれば結婚できます。」
「つな殿は帝の覚えもよいですからな。」
「この先が楽しみですな」
九条正親たちの表情は明るい。
俺は四宮でのんびり過ごしている。
午前中は清音と剣技の訓練をする。
最近、清音の動きについて行けるようになり。
清音の剣げきを受け、反撃できるようになる。
午後は弥次郎から剣技の訓練を受け、魔力のコントロールの訓練をする。
魔力の訓練には、弥次郎、千代音、達郎も参加している。
特に弥次郎と千代音は刀に乗せる力が大きくなっている。
達郎は、午前中を弥次郎から剣技を習っている。
弥次郎が言うには達郎の剣技はかなり上達しているようである。
夜は千代が1日おきに部屋にやってくるようになる。
千代が言うには、清音と日奈は俺と同じ部屋に住んでいて不公平だそうだ。
俺は平等に扱っているつもりだが、清音の次に日奈が好みなのは仕方がない。




