14話 達郎を仲間に加える
達郎は、目を覚ます。
寝ていたのは、彼の知らない部屋である。
気絶する前のやり取りを思い出す。
帝の命で行われる土蜘蛛討伐に強制的に参加させられるのである。
彼は逃げることにする。
気配を消し、足音を消して部屋から抜け出す。
庭を見ると大きな屋敷の中の離れであるようだ。
くぐり戸を見つけ庭に降りようとすると後ろから声がかかる。
「達郎さん目が覚めたんですか。」
弥次郎の声である。
剣技は弥次郎の方がはるかに上である逃げることはできないであろう。
振り向くとつなと弥次郎がいる。
俺は達郎の隠密行動に感心して
「達郎さんは気配と足音を消せるんですね。」
と声をかける。
達郎は、突然、土下座して懇願する
「見逃してください。」
当然俺たちは見逃す気はない。
俺たちは、場所を部屋に移す。
俺と清音は鉄製の札を達郎に示す。
官位４位の板倉巴入りの証である。
達郎はそれを見て
「官位４位に帝の家紋ですよね。」
「そうだよ。」
「お二人は貴族なんですか。」
「そうだよ。」
達郎は冷や汗をかきだす。
俺は達郎に命令する
「今回の土蜘蛛討伐に加わってくれ。」
「拒否権はありますか。」
「ないよ。」
達郎は自分の運命を呪う。
俺は達郎が有能な人材だと考え仲間に加えることを考えている。
俺と清音は宗七と話す
「つな様、達郎が見つかってよかったですね。」
「店に担ぎ込んでよかったのかしら。」
「清音様、驚きましたが、これからは穏便にお願いします。」
宗七は俺たちが達郎をさらってきたと思っているのかもしれない
「これで、必要な人員はそろいました。」
「勝ってくださいよ。」
「死なないようにします。」
勝てれば一番良いが、生きて帰るのが菊の一番の望みなのである。
俺たち５人は、翌日出発する。
達郎は馬に乗れないので、弥次郎の馬に相乗りする。
達郎の話を聞いて、土蜘蛛を見つけることはできそうである。
後は、俺たちの力が土蜘蛛に通用するかである。
