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12話 扶桑に着く

 俺と清音、弥次郎、千代音の4人は馬で四宮を出る。

 馬を使うのは、歩きだと時間がかかりすぎるからだ。

 1日目が夕方になり、寝る場所を決めて、陣を張る。

 深夜、4匹の一つ目がやってくる。

 俺たち4人は、陣を出て奇襲をする。

 気配を消して、足音もしないのである。

 一つ目たちは自分たちが切られるまで気が付かなかったに違いない。

 「つなさん、清音、今のはいいですよ。」

弥次郎が(ほめ)める

 「ありがとう。」

俺と清音は訓練の成果が出てうれしい。

 次の日、扶桑に着く。

 扶桑は国府と四宮の途中にあり、領主の植松良房は情報通であるので寄ることになる。

 俺は門番に言う

 「私は熊野つなである、領主の植松殿にお目通り願いたい。」

門番の1人が走って行く。

 俺たち4人は馬に乗り、道を歩いていく。

 街の人が出てきて

 「角倉の守り人だ。」

 「帰ってきたぞ。」

うわさを始める。

 俺たちは、領主の館に馬を乗り付ける。

 良房が俺たちを出迎える

 「つな殿、清音殿、弥次郎さん、千代音さん、ようこそ、おいでくださりました。中へどうぞ。」

 「良房殿、お久しぶりです。よろしくお願いします。」

俺たちは良房に広間に通される。

 良房は話を切り出す

 「土蜘蛛の件ですが、討伐軍は土蜘蛛の姿を確認する前に敗退したそうです。」

 「擬態(ぎたい)でもしているのですか。」

 「擬態とは何ですか。」

俺は異世界にいることを失念してしまっていた

 「擬態とは、木や草に似た姿や模様で姿を隠すことです。」

俺はあいまいな知識で答える

 「それは分かりません。」

 「やはり、姿を見ている達郎の協力は必要ですね。」

 「フクロウの達郎ですか。」

 「そうです。」

 「彼は、魔法剣士をやめています。」

 「どうしてですか。」

 「相棒の次郎を土蜘蛛に殺されてしまったのです。」

 「これは探すのが難しくなりますね。」

 「彼は扶桑にいます。詳しくは知りませんが。」

 「それは助かります。」

俺たちは達郎と同じ町にいることになる。

 俺は運が良いと感じる。

 この後、角倉へ行く。

 宗七が俺たちを出迎える

 「つな様たちはどうしたのですか。」

 「帝に土蜘蛛討伐で召喚を受けた。」

 「土蜘蛛ですか。手ごわいと聞いています。」

 「知っているのですか。」

 「はい、結構前から化け物の話はあったのです。」

 「商人は耳が早いですね。」

 「命にかかわることですから。とりあえず離れで休んでください。」

 「ありがとうございます。」

俺たちは、とりあえず休むことにする。


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