8話 土蜘蛛の脅威
斥候の兵士たちは5人づつかたまり、少しずつ移動していく。
林の中は静かで自分たちの足音しかしない。
この林は静かすぎる動物たちの気配がないのだ。
最後尾の班の兵が何かに釣りあげられるように木の上の方へ上がって行く。
兵は何かクモの糸のようなものに口をふさがれ声を出せない。
他の者たちは気づかない。
また1人、音もなく吊り上げられる。
誰も気づかないまま最後尾の班は消える。
途中、2番目の班の者が振り向き最後尾の班がいなくなったことに気づいた。
だが、その者は、はぐれたと思っただけである。
次に2番目の班が狙われる。
最初に振り向いたものに何かクモの糸のようなものが絡まる。
糸は口を塞いでおり声を出せない。
もがこうとしても動けず、音もなく木の上に吊り上げられる。
2人目も誰にも気づかれず、さらわれる。
2番目の班の最期の1人がさらわれる時、先頭の班の者が振り向く。
彼の目には信じられないような光景が広がる。
仲間の兵が音もなく、吊り上げられていくのだ
「あー----」
彼は叫ぶ、先頭の班のほかの者も振り返る。
ほかの者も信じられない光景に叫び声を上げる。
先頭の班は、突然のことに混乱する。
化け物の姿は見えないが、1人が木の上に向かって矢を射る。
ほかの者もそれに倣って、矢をはなち始める。
しかし、化け物の姿は見えていないので当たっているかもわからない。
1人にクモの糸のようなものが飛んできてからめとられる。
仲間が刀で糸を切ろうとするが切れない。
彼は引きずられ、木の上の方に吊り上げられる。
仲間の誰かが言う
「逃げろ。」
4人は林の中をやみくもに逃げ出す。
土蜘蛛は彼らを逃そうとはしない。
1人、また1人と捕まってゆく。
最後の1人が林の出口近くまで走る。
「助けてくれー」
林の外にいるはずの討伐軍に兵は助けを求める。
兵はこの後、土蜘蛛の糸にからめとられる。
林の外では、討伐軍が彼らの帰りを待っていた。
そして、助けを呼ぶ声が聞こえる。
しかし林のどこから聞こえてきたのかわからない。
頼之は、助けに行きたいがこらえる。
副官が進言する
「兵50ほどを林の入り口に配置してはどうでしょう。」
「そうだな、頼む。」
兵50が林の入り口に配置される。
兵たちは林の中を見るが何もない。
兵の1人にクモの糸のようなものが絡みつく。
兵は、林の中に引きずられさらわれる。
兵たちは驚き林から離れる。
頼之は、兵たちに戻るように指示する。
彼は作戦を立てられずにいる。




