5話 鬼柳の化け物
よろず仕事斡旋所は、達郎の目撃証言を役所に連絡するとともに、目撃証言から化け物の特定を始める。
国府のよろず仕事斡旋所は、倭の国の中で一番古く大きい。
化け物の資料についても古くからの物が揃っている。
よろず仕事斡旋所は、1週間かけて、それに近い化け物の資料にたどり着く。
それは150年程前の資料である。
長篠の街道筋で、巨大なクモの化け物が出現し、討伐軍が多くの犠牲を払い討伐したと書かれている。
そして、化け物の名前は土蜘蛛になっている。
よろず仕事斡旋所の依頼受付の担当者は、役所に向かう。
依頼受付の担当者が、役所の担当者と話すと役所でも調べていたようで
「土蜘蛛ですか。かなり厄介ですね。」
と役所の担当者は話し始める
「討伐軍が討伐したとありますが。」
「300人の軍が全滅しかかっています。」
「それほどなのですか。」
「はい、150年前にはかろうじて勝ったようです。」
「しかし、よろず仕事斡旋所の手には余ります。」
「分かっています。今、帝に上申するところです。」
すでに よろず仕事斡旋所の手を離れていることを依頼受付の担当者は知る。
日野信当たちは、話し合う
「国府と鳴尾村の間の街道の化け物は鬼柳殿の化け物でしょうか。」
「今だ正体がわからず、犠牲者が増えています。
「恐ろしい。」
「おそらく討伐軍が送られることになるでしょう。」
「討伐軍の指揮は、弓の名人の九条頼之殿に任せましょう。」
「今泉殿、頼之殿勝ってしまっては、九条正親殿に力を与えてしまいます。」
今泉清光は討伐軍では化け物に勝てないと考えている
「鬼柳殿の化け物ですぞ。つなと戦うことになるでしょう。」
「では、討伐軍は負けると・・・」
「そうでないと、つなは出てきません。」
「私の放った化け物はどうですかな。」
突然、鬼柳儀幽が現れるがみんな不思議に思わない
「鬼柳殿の化け物でしたか。」
「土蜘蛛と言います。倭の国では対処できますまい。」
「どのような化け物なのですか。」
「巨大なクモと申しておきましょう。」
「何と恐ろしい。」
「討伐軍が勝つことはないですか。」
「この国では、知られていない化け物です。勝つのは無理でしょう。」
「つなに勝てそうですな。」
「そのために用意しました。」
「つなが負けた後はどうします。」
「私が今泉殿に攻略法を教えます。」
「私にですか。」
「そうです。つなを殺した化け物を討ったとなれば名誉なことになるかと・・・」
「分かりました。」
信当たちは、つなの死を思い笑いをこらえる。
帝に土蜘蛛のことが知らされる。
帝は集まった貴族たちに言う
「国府と鳴尾村の間の街道に土蜘蛛と言うクモの化け物が出た。良い案のあるものはいるか。」
「ここは化け物退治に功のあるつな殿を使ってはどうですか。」
今泉清光は、つなによる討伐を具申する
「つなは四宮にいます。その間に犠牲者が出ましょう。討伐軍がよいかと思います。」
九条正親が言う。
帝は考えてから言う
「討伐軍を送ろう。兵は500とする。指揮は誰がよいか。」
「弓の名人の九条頼之殿はいかがでしょう。」
「うん、九条頼之に任せよう。」
討伐軍による土蜘蛛の討伐が決まる。




