8話 清音と喧嘩
俺は、清音とこれまで喧嘩をしたことがない。
どうしたらいいのかわからない。
俺は、清音を裏切ってしまったのだろうか。
牛車の中では、清音が黙り込んでいる。
菊が清音に言う
「私の牛車に乗り込むのはいいけど。何か話さない。」
「・・・」
「つな様を嫌いになったの。」
「好きよ。だからこんな気持ちになったんじゃない。」
「どんな気持ち。」
「嫌な気持ち。」
「どうしてそうなったの。」
「つなが、私の知らないところでしていた。」
「見ているところならいいの。」
「それは、みんなで幸せになるためだから・・・」
「つなは、あなたのものではないのよ。」
「分かっているわ。」
「なら、つなと話せるわね。」
「はい。」
菊は牛車を止めさせる。
俺は、牛車の外で謝り続けている。
「もうやめて。」
牛車から清音が出てくる。
面は外している。
「話だけでもさせてくれ。」
俺は必死である。
これまで、ずうっと一緒にやってきたのである。
清音のいない生活は考えられない。
「こっちに来て。」
清音は道から離れたところへ連れていく。
俺は、不安でいっぱいだ。
これから捨てられるのかもしれない。
「もう話しかけないで」などと言われたら立ち直れないだろう。
俺にとっては金髪碧眼美少女には隣で笑っていて欲しいのである。
2人は、行列から離れ、林の手前まで行く。
俺は清音に頭をさげる。
清音が俺をたしなめるように言う
「つな、さっきから謝ってばっかりよ。」
「清音は怒っているんでしょ。」
「悪いことしたの。」
「それは、その・・・」
「いつものことをしただけでしょ。」
「そうなんだけど。清音を怒らせたから。」
「怒っていないよ。嫌な気分になっただけ。」
「それって怒っていない。」
「違うわ。つなのこと悪いと思っていないよ。」
「俺は清音に嫌われたと思ったよ。」
「私はつなのこと好きよ。」
「俺も清音が一番好きだよ。」
「でも、知らないところで、あんなことするなんて面白くないわ。」
清音は上目遣いで口をとがらせる。
しぐさがかわいい、抱きしめたくなる。
俺と清音は、仲直りしてみんなのいる行列に戻る。
牛車に戻ると日奈が正座をして頭を下げている
「お二人の仲を裂くようなことをして申し訳ありません。」
日奈は俺たちに謝る
「俺が悪いんだ日奈は悪くないよ。」
「日奈さんとは一緒に暮らしているんだから。その・・・」
清音は言いよどむ
「嫉妬してしまっただけだから、気にしないで。」
清音は本音を言う
「私は出ていかなくていいのですか。」
日奈はまだ心配そうだ
「これまで通りよろしくお願いします。」
清音は日奈に言う。




