仲間の大切さ
翌朝、クラリスよりも先に目を覚ます。
クラリスは熟睡しているみたいで起こさないようにベッドを出た。
今日の予定はクラシスの装備を買いに行ってギルドでパーティ登録。そして本番のゴブリン狩りだな。
錆びた剣を布で磨き終える。この剣もいつかは買い換えなければならないが、
今はクラリスの武器が優先だ。
まだクラリスを起こすには時間が速い。
『ビジネス書』を開いて考え事でもしよう。
『ビジネス書』を開くと、新しい文字が浮かび上がっていた。
『仲間は大事。1+1=2じゃない。』
仲間がいれば効率よくゴブリンを狩れるということか。
二人で一日4000G必要だ。オレ一人で20体はゴブリン狩りをしたのだから、少なくとも40体は狩らなければならない。
オレとクラリスにやれるだろうか。いや、やらなければならない。
ビジネス書は一日一度の更新だと思っていたが、どうもそういう訳ではなさそうだ。
まだ法則性はつかめないが、ありがたいアドバイスだ。オレにはビジネス書を噛み砕きながら、今日もガムシャラにやるしかないんだ。
クラリスが街の鐘の音で目を覚ます。
「おはよう。レオ。ごめんなさい。そっちで寝ていたの。」
「おはよう。クラリス。」
昨日までクラリスは路上で寝ていたらしい、久しぶりのベッドで熟睡できたみたいだ。
「早速準備してまずは買い物だ。武器を買いに行こう。」
食事を済ませて、武器屋に行く。ギルド御用達の武器屋だ。
店主は大きなあくびをしていてやる気はないがこの街にはここしかないさてどんな武器にしようか。
「クラリスは武器を扱ったことはある? 」
「ん~そうね。重くなければ扱えると思う。」
重くないと言うと片手剣か双剣、攻撃力は落ちるが短剣が良いのかもしれない。
クラリスが最初に手に取ったのは片手剣の青銅の剣だった。
青銅の剣か。良いかもしれない。金額を見ると5000Gと書かれていた。
クラリスはこんなに高いのは要らないと言うが、これは投資だ。
皮の鎧と皮の盾をあわせて買う。
合計で1万Gだが、まとめて買うからと言い500G安くしてもらう。
これで正真正銘無一文だ。
購入してから冒険者ギルドでパーティ登録をする。
ニーナさんが快く対応してくれた。
パーティ名は決められなかったので後日登録することにして、
今日はクラリスとパーティを組む登録だけとなった。
「その言いにくいのですが、レオさん、この街には獣人を差別する人も多いので、気をつけてくださいね。」
ニーナさんが小声で警告してくれた。
一応クラリスには先程まで着ていたマントを鎧の上から羽織るように伝える。
「おいおい、貴族の坊っちゃんが獣人連れて冒険しながらデートかよ。舐めてるな。」
嫌な男に絡まれるものだ。フロイドがニヤニヤしながらオレの肩に手をおいた。
「フロイドさん、ギルドは誰であれ公平に扱います。差別的な発言は控えてください。」
ニーナさんがフロイドをたしなめるが止まらない。
「俺は事実を言っているだけだ。貴族が獣人を連れている。これのどこが差別的な発言なんだ。えぇギルドマスターさんよ? 」
「もういいです。フロイドさん仕事に戻ってください。レオさん、クラリスさん不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。後で私が厳しく言っておきますので。」
オレは気にしないが、クラリスは少し寂しそうな顔をしている。言い返してもいいのだが、これ以上騒ぎを大きくしても何もメリットはない。
「分かりました。今日もゴブリン討伐のクエスト受注でお願いします。」
急いで受付をしてダンジョンに向かった。
「クラリス、気にしないでくれ。あいつがおかしいだけだ。」
「私は大丈夫。慣れっこだから。それよりレオは貴族なの? 」
「また今度話すよ。今はゴブリンを倒さないと宿に泊まるお金もない。」
クラリスは戦闘経験がないと言っていたが、
オレより先にゴブリンを見つけては一撃で斬り殺す。
買い物と登録する時間があっても昼までには40体もゴブリンを狩っていた。
「これ以上はカバンに入らない。一度戻ろうか。」
「うん。冒険者も楽しいものね。」
クラリスは上機嫌だった。ギルドに戻り換金をする。12000Gになった。
まさにクラリスがいたから稼げた金額だろう。
この速さだったら一日に二階はダンジョンに挑戦できる。
もう一度、この日はダンジョンに行く、合計24000Gを稼いだ。
夜はクラリスと初討伐の成功を祝して乾杯した。
「こんなに稼げるとは思っていなかった。ありがとうクラリス。」
「こちらこそありがとだよ。レオが装備を揃えてくれたのと指示がいいからね。」
クラリスはずっとご機嫌だった。昨日とは嘘みたいに表情が違う。自信がついたのだろう。
「レオのこと話してよ。昨日は私のこと話したし私たち仲間でしょう。」
オレは渋々シュタイン家の事をクラリスに話した。スキルのこと。次期当主を剥奪されたこと。
ハメられて借金があり、家を追放されたこと。
「そんな…ひどい。レオが払う必要なんかないじゃない。公国の元首は何をしているのよ。」
「そうだな。オレが公国に訴えたとしても聞き入れてはくれないさ。だから鐘を稼いで渡して縁を切る。オレは自由になるんだ。」
オレは酒を手で転がす。
クラリスが立ち上がりオレを抱きしめた。
「かわいそうなレオ、私もレオに協力する。私を信じてくれた仲間だもん。お金も要らないわ。一緒に返しましょう。」
「ありがとう。すごく心強いよ。」
「ねぇそのビジネス書見せてよ。」
オレはビジネス書を開く。
開くと新しく文章が書かれていた。
『悩みを素直に打ち明けてみよう。仲間が協力してくれるはずだ。』
「読めないわ。なんて書いているのレオ。」
「そうだな。仲間は大事って書いているみたいだ。」
ビジネス書に書かれていた1+1=2じゃないということがすごい身にしみた。
1億と言う莫大な金額を聞いてもクラリスがいればすぐに返せる気がした。
まだ具体的な策はないが、稼げる金額もどんどん大きくなってきている。なんでも出来る気がする。
この感覚を持てるのが仲間なのかもしれないな。
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【今日の格言】
『仲間は大事。1+1=2じゃない。』
『仲間に悩みを素直に打ち明けよう。協力してもらえるさ。』
借金:1億G
本日の所持金:28000G
昨日の所持金:9500G
本日の収支:ゴブリン90体+24000Gー宿代・飯代4000Gー酒代1500G
残り日数:361日
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