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仲間を作ろう


 翌日も張り切って朝からダンジョンに行った。

 もちろんギルドに寄ってからゴブリン討伐の依頼を忘れずに受注した。


 昨晩シミュレーションをしたおかげもあってから、

 夕方までには20体のゴブリンを狩れた。


 オレが頑張って稼げるお金が一日6000G生活費を引いて手元に残る2500Gが限界みたいだ。

 もうこれ以上は無理だ。これ以上働くと、毎日動けなくなるし命の危険もある。


 昨日よりも早く帰ってこれた頃を喜びながら、『ビジネス書』を開く。

 次は何を提示してくれるのだろうか。


 『仕事の悩みを半減させよう。』


 「仕事の悩みを半減させよう? 」

 思わず口に出してしまった。オレには理解できなかった。


 必死に考える。オレの仕事の悩み…稼げる金額が少ないことだ。

 これを半分にする。何をだ………そうか。時間だ。たしかに半分の時間でゴブリンを倒せれば二倍の収入が得られる。


 現実的にオレの実力では二倍の速度で狩るのは無理だ。最適化した動きで20体しかゴブリンを倒せなかったんだから。どうすれば、半分の労力で稼げるんだろう…思いつかない。


 街の外を窓から見下ろすと、冒険者たちが外で呑んで居るのが見える。


 そうか。仲間だ。仲間がいれば二倍いやもっと効率よく倒して稼げる。 

 仲間を雇えばいいんだ。


 オレは思いついたことで気分が高揚する。

 いても立っても居られない。今すぐにでも勧誘したい。


 でも待てよ。冒険者たちはオレなんかよりランクは当然に高いはずだ。

 誘っても断られるだろう。


 どうすればオレに仲間ができる。


 そうだ。冒険者じゃなくてもいい。戦える冒険者に鍛えれば良いんだ。

 そんな人がこの街にいるだろうか。


 先程から一喜一憂を繰り返す。もどかしい。打開する方法はあるはずなんだ。

 このままベッドで寝ていても何も解決しない。街に繰り出そう。


 街に出ると酔っ払いとぼったくり商人しかいなかった。

 パーティに誘ってみたりしたが当然に断られた。


 考え事をしながら歩いていると、薄暗い通りに出ていた。

 ボスも治安が良くないと言っていた戻るか。

 踵を返すと暗闇から声を駆けられた。


 「あの、お花を買いませんか。」

 

 急に暗闇から声がして驚き振り返る。ボロボロのマントを被った少女が立っていた。

 獣人だ。獣人は帝国では未だに差別が根強い。年齢はオレと殆ど変わらないように見えるが、孤児なのかもしれない。


 「要らないけど、こんなところで花なんて売っても売れないだろう。」

 「あまり買ってくれる人はいませんが、お金が必要で………。」

 「そうか。」


 あいにくだがオレには彼女に渡すお金の余裕はない。

 断って、帰ろうするがオレは閃いた。

 彼女を雇えば、彼女もお金を稼げてオレも儲かるじゃないか!


 「キミ、話をしたい。食事はご馳走するから部屋に来てくれないか。」

 「いいんですか。」


 彼女がジッとオレを見つめる。


 「ああもちろんだ。話をするだけだ。何も悪いことはしないさ。」


 彼女の手を引いて宿に戻る。食事はお願いして部屋に運んでもらった。

 彼女はがっついて食べている。よほどお腹が減っていたのだろう。


 「ごちそうさまでした。私はクラリスです。見ての通り獣人です。」


 クラリスは獣人で耳が頭に生えている。茶髪に茶色の目。小柄で痩せていて力はあまりなさそうだが、

 明るいところで見るとすごくかわいい顔をしていた。


 「オレはレオンハルト。レオと呼んでくれ。年齢もそんなに変わらないだろう。」


 年齢を確認すると同じ年だった。クラリスの過去を聞くと悲惨だった。

 戦争に巻き込まれて両親をなくして、迫害を受けながら砂漠の街に流れてきたらしい。

 オレも冒険者を始めたところだと言う話はクラリスに伝えた。


 「そうか。大変だったな。」

 「いえ。しょうがないんですよ。」


 クラリスのどこか諦めたような目は数日前の自分を見ている様だった。

 クラリスを追い込んだのは環境だ。オレと状況は違うが、一緒なのかもしれない。


 「提案なんだが、クラリスを雇わせてくれないか。いや違うな、仲間になってほしい。」

 「私がですか。」

 「そうだ。オレと一緒に冒険者になってほしい。」


 クラリスは獣人だ。獣人は人間よりも身体能力が高い。

 戦った経験は殆どないと言ったが、しょうがない。


 「私が…いいんですか。」


 クラリスが涙をポロポロと流す。


 「泣くんじゃない。クラリス、オレは何か無神経なことを言ったか。」


 オレは慌てて立ち上がり、クラリスの頭をなだめるように撫でる。


 「いえ。両親と別れてから人に求められたことがなくて…悲しいんじゃなくて嬉しいんです。」

 「そうか。それは辛かったな。オレにはクラリスが必要だ。力を貸してくれ。」

 「もちろんです。戦闘は慣れていませんが頑張ります。 レオに撫でられると元気が出てきました!」


 泣いていたクラリスが笑顔に変わる。オレは見つめられると顔が真っ赤になった。


 「取り分は宿代。食事代を除いて二人で半分に分配しよう。」

 「そんなにもらっていいんですか。」

 「ああ。オレは戦闘が得意じゃないからな。ギルドとのやり取りや準備などを主に担当する。もちろん戦闘も二人でゴブリンを倒そう。」


 「うん! レオよろしくね! 」


 オレはクラリスと握手をした。初めての仲間だ。

 クラリスは風呂に入って出てくると、狭いが同じベットで寝た。

 お金が貯まるまではこの狭い部屋で二人で寝ないといけない。

 

 明日以降、劇的に稼げる金額が上がるはずだ。

 オレは隣でクラリスが寝ていること、明日以降のことが気になってなかなか寝付けなかった。


 ====================


 【今日の格言】

 『仕事の悩みを半減させよう』


 借金:1億G

 本日の所持金:9500G

 昨日の所持金:7500G

 本日の収支:ゴブリン20体+6000Gー宿代・飯代3500Gークラリス飯代500G

 残り日数:362日

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