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Story5「三人目の俺」

3人目のそっくりの手掛かりを得た純、果たして見付け出せるのだろうか。そして無事に、国境を超えられるのだろうか。

俺とジョーは村を出て、ドニーの母に貰った地図の村を目指した。この村からは

国境までそう遠くはない。数百キロと言う所だろう。


「大丈夫ですか?疲れていないですか?」


そう言ってジョーは運転しながらも、俺を気遣ってくれる。

俺にとってはそれが、少し居心地が良い気がしながらも心の中では又、ジョーに

何かの意図があるのだろうかと疑った。

俺達は当然あっさりと国境を超え、3人目のそっくりがいる村へと向かっていた。

途中で何度か休憩を入れたが、日が暮れる迄には、村へ到着出来そうだった。

小さな牧場がいくつか見え初め、それはもう村が近い事を指していた。

その時、ジョーが急ブレーキを踏み、突然車を止めたのだ。とそこには


ジョー「あっあれは!」


純「村へ着いたのかっ?」


ジョー「いいえ、牛飼いの青年です。」


純「牛飼いの青年?」


ジョー「ほらっあれ、そっくり!」


純「本当か、こんな所で早速見つけ出せるとは、俺って矢張りついてるぜっ。」


ジョー「そうですね〜(笑)早速、捉まえましょう。」


純「おおっと、そ〜だったなっ。」



そして俺は車を降りて、その青年に駆け寄った。


純「ちょっとまってよっ、そこの君っ。これじゃまるでナンパしてる様だけれど・・・(笑)」


青年「・・・・・・」


純「決して妖しいものではありませんよ。」



青年はその言葉が理解出来たのか、突然立ち止った。



純「ハァ〜ハァ、走ったから息切らしましたよ。実はこう言うモノです。」



そう言って俺は、あの滑稽な金色に輝く名刺を取りだし・・・告げた。


純「この名刺は純金で出来ています。それを君に差し上げますよ。」


青年はその名刺を珍しそうに眺め、すると次は青年の方から、俺に話しかけて来たのだ。


青年「この板は本当に、純金で出来ているのですか?」


純「勿論だぜ〜っ、見ての通りさ〜っ、純金に決まってるじゃねえかっ。あっはっは〜。」


青年「そうですか・・・。」


純「何か文句でもあんのかよっ!」


青年「いいえ・・・、しかしこの村へ、何のご用でいらしたのですか?」


純「ちょっとした知り合いに頼まれてさっ、俺とそっくりなヤツを探してる

って訳なんだよ〜っ。」


青年「そうなんですか、じゃ僕の事を探しておいでだったのですね?」


純「まぁ〜っそうなるわなっ!そこでだっ早い話、オマエに日本へ働きに来ない

かと言う勧誘なんだよ〜っ。」


青年「・・・・・・・」


青年「どうしても・・・、行かなきゃ駄目ですか?」


純「当然に決まってるじゃね〜かっ、その為に遥々こんな辺鄙な村までやって

来たんだ俺は。」


こうなったら強硬手段だ!「これを取っとけ。」


そう言って俺は、青年のポケットに、札束をドサっと入れてみたのだ。

そうすると青年は、驚いた事に血相を変えて俺とジョーを村の中へと

案内し始めたのだ。

村はドニーの村よりも、少し大きい様だ。その上、小綺麗にも見える。

多少だが小さな盛り場が賑やかだ。青年は一軒の酒場へと、俺達を案内した。

そこで俺とジョーは、普通の客扱いみたいに空いた席へと案内された。


青年「少し待ってください。」


そう言って青年は、店の奥へと姿を消した。俺は少しの不安を覚えた。

突然店の奥から、知らない誰かがやって来て、俺達は一瞬にして皆殺しにされち

まうんじゃないかっ・・・と言った妄想を抱いてしまったのだ。

そう思うと、何故だか少し落ち着かない気分だ。

15分くらいたった後、青年に付添う様に、雇い主だろうか体格の良い男がやって来た。

そして、俺達と同じテーブルを囲むみその男は座った。


男「おいっオマエら・・・コイツを欲しがってんだってな〜?」


純「はいっ、そうなんですが・・・。」


俺は、あまりに気迫の強いその男に押され気味になり、すでにまともな返答すら

出来なくなってしまっていた。 とそんな時・・・。ジョーがっ。


ジョー「この青年を、いくらならお譲り戴けますか?」


男「後200は必要だなっ。」


ジョーは俺の顔を伺う様に見た。そこで俺は勇気を振り絞って、行動してみようと思った。

折角ここまでやって来たんだ。今更怯えてどうなると言うんだ。もう何もかも引き返せ

ないに決まってるじゃね〜かっ。例えここで殺されようが、俺の死を誰も悲しむ訳でも

無いだろう。そう思うと俺の気持ちは、突然吹っ切れてったっ。


男「200?100でどうですか?生憎、200なら持ち合わせがないっ

その青年の事は、スッパリと諦めますよ。」


俺は解っていた。ドニーやドニーの母親の態度や口ぶりで、この辺りの国々の各村々が

どれだけ貧しいかも、家族や親しい親類の子供でさえも売ってまで食い繋ぎたい気持ちも

そうさ俺はヤツラのその気持ちに、しっかりと着け込んでいったんだっ。

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