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Story4「兆し」

自分自身にそっくりな人物を探し求める純、その些細な行動からからとんでもない方向へと

導かれて行く。純の目的とは果たして一体?

ドニーの母親「はいっ実は、私どもの妹が隣国に住んでいます。その妹には丁度ドニ

ーと年の頃は同じ位の男の子がいるのですが、何を隠そうっ、ドニーと瓜二つなのです。」


純「はいっ?」


俺は一瞬耳を疑ったっ。この村の親とくれば金の為なら、平気で自分の息子も

そして親類までもを、売っちまうと言うのかっ。

それゆえ貧しさに喘いでいると言うのかっ。だがそんな全てを冷静に考えてみれば

折角の情報源を、このまま無駄にする必要は無いだろう。

この時俺は、今までには感じた事の無い程に、自分自身の腹の中にある黒さと言うモノ

をしっかりと思い知らされた気がした。

そうだこれでいいんだ。これこそが俺の努めっ・・・。

考えてみろよっ、家族は大金を手にして喜んでるじゃないかっ。何を迷ってんだっ。

寧ろ俺は救世主じゃないかっ。

この時はっきりと感じた。俺の心は不安から極悪の笑みへと変化しているんだ・・・と。



3人はジョーの運転する、30年余りは経っているのだろうか・・・

古く錆付いた車で、再び旅を続ける準備に取り掛かっていた。

しかし、一つ問題がある事に気が付いた。

ところで、これから隣国との国境を越えなくてはらない。そこで問題はドニーだっ。

ドニーはまだ、何の手筈もしていない。

しかしそれには俺に、ちょっとした考えがあったからだ。

とりあえずそんなに、金ばかりは使っていられない。俺達は顔がよく似てるんだからっ

それを利用しない手は無いだろう。つまりこう言う事。とりあえずドニーを隣国へ

密入国させ、それから2人纏めて船にでも乗せて、日本へウマく密入国させれ

ば良いのさっ。その方法なら手っ取り早く、金も掛からなくて済むだろう。

そして俺が旅客機で一足先に日本へ帰国し、コイツらを引き取りに行けば良い

だけさっ。




しかしそうなるとまずは、隣国の国境を上手く越えなくてはならない。


何かとゴチャゴチャと調べられて、国境で足止めを食らう事にでもなればそれこそマズい。

そうなると俺の計画の全てが、水の泡になっちまう。

だからそれだけは何とか避けたいっ!そこで俺は行動に出ようとした。



純「ドニーっ、国境を越える前に、オマエだけ先に船に乗せるっ。

と言いたい所なんだが、今オマエを船に乗せると、日本での引き取りに間に合うの

かどうだか、それがハッキリと解らないっ。

しかしオマエを乗せたまま、国境を超えるのは悩みでしか他ないっ。

だとすれば、後はどうすれば良いかだっ・・・。」


ドニー「解りましたっ。それなら僕に良い考えがあります。

純さんは船の手配だけをしてください。それから僕は純さんが日本へ到着してから

船へ乗ります。それなら問題ないでしょう?」


純「まっ待てくれっ・・・それは困るんだ。まずオマエをちゃんと船に乗せるまで

俺には見届なくてはならない義務があるっ。それに俺が旅客機で日本へ帰ると、その後

船でやってくるオマエを数日、待たなくてはならなくなっちまう。それは紛れもなく

俺にとってしまえば、経費の無駄遣いに他ならないのさっ。」


ドニー「そうですかっ。それなら僕は村に残って、純さんとジョーさんの帰りを待ちます。」


純「いやっ、それは・・・ちょっと困る。」


ドニー「なぜですか?その方が安全ですよ?」


純「それはっ・・・。」


俺はまだドニーの事が、全く信用しきれないでいた。もしや俺がもう一度この村へ

戻って来た時に、ドニーが村から逃げ出してやしね〜かっ、そう考えると先に支払った

金が丸々無駄なっちまうんじゃないかっ。

アイツが逃げないとも限らない以上、今アイツを野放しに出来る訳など何処にもないっ。

一体どうすれば良いんだっ・・・。思い耽り、俺は地面に塞ぎ込んで考え込んでいた。


とっそこへっ、ジョーがやって来て隣へと座った。


ジョー「純さん、ちょっとだけ話を聞いてくれますか?」


純「オマエに、何か名案でもあると言いたいのかっ?」


ジョー「はいっ・・・。」


純「じゃさっさと言ってみろよっ。」


ジョー「解りましたっ。まずは純さんが先に支払われた金額一部、それをドニーに

一旦返金させるんです。そしてその一部を、後からこの村に戻った時点でもう一度

ドニーへ支払うんです。それならどうでしょうか?」


純「つまりそれは、保障や手付代わりだと考えれば良いんだなっ?・・・。」


ジョー「はいっ。」


純「なるほどね〜っ。」



しかし何故に、ジョーはそんな事を言ったんだろう。俺がドニーを信用しきれてい

ない事も又、ドニーが逃げ出すかも知れないと、疑いを抱いてる心の内もアイツは

全てを解りきっていたとでも言うのかっ・・・。


純「解ったよっ、ジョーの言う通りにしてみよう。」


ジョー「はいっ。」


そして俺はっ・・・、その後すぐさまドニーを呼んだ。



純「ドニーっ、ちょっと付き合ってくれないかっ?」


ドニー「はいっ、何の話ですか?」

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