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Story3「躊躇いと戸惑い」

新たな場所で、もうひとりのそっくり(ドニー)と出会う純。しかし、純の心の中には、言い知れない不安感と

不信感が漂い続けていた。

純「今日はもう遅い。とにかく俺達は、車の中ででも寝るとするかっ。」


ジョー「そうだね。」


そこで俺とジョーが、車へ向かって歩いていると、先程の青年が駆け寄って来たのだ。


青年「あの〜っ、ちょっとだけよろしいですか?」


純「はいっ?」


青年「もしもよろしければ、僕の隣の家が丁度今、空家なんですよね〜。

良かったら今晩は、そこへ泊まってってくださいっ。」



青年はちょっと照れ臭そうに、そう投げかけた。しかし俺はっ・・・



純「そっかぁ〜、実は俺としても、その言葉に素直に甘えたいんだけれど

その前に一つだけ聞いてもいっか〜っ?」


青年「ははっ、はい・・・。」


そして・・・俺は声を荒げた。


純「そんな重要な問題をオマエが勝手に決めても、後で大きな問題になったりはしないのかよっ。

俺はこの村の仕来たりや法律も、何も知らないんだぜっ?

後で不法侵入だとかうぜえ話になっても、正直面倒臭くて困るんだよね〜。

とりあえず日本へ帰るまでは、つまんない騒ぎを起こす訳には、いかね〜んだっ・・・。」


青年「あっ勿論大丈夫です。僕、実は長老に許可を貰って来たのです。

ほら見てコレッ、鍵です!」


そう言って青年は鍵をチラつかせ、俺達を見てニッコリと微笑んだ。

俺は、何だかスッキリとしない気分のままその鍵を受け取り

青年の言葉に、素直に甘えてみる事にした。


純「じゃっ一応今回だけは、オマエを信じるかなっ。」



青年「はいっ、有難う御座います。

あっあの〜それから、僕も一緒に泊まりますよっ、後でそちらへ行きますね。」



そう言って青年はこちらを見て、友達の様に手を振った・・・。

俺は青年を信用していない訳じゃない。しかし何だか妙に明るい

あの青年の態度が気にくわなかった。だから態と突き放す素振りを見せたのだっ。


<一体アイツは何を考えているんだ。自分が今どんな立場に置かれているのか、ちゃんと解ってんのかよっ!>


俺はアイツを金で買ったと言うのに、それをアイツはなんとも思わないのか?

何故そんなに、微笑んでいられるんだ。アイツは俺を憎いとは思わないのか?

同じ顔を持っているとは言え、俺にはそんなアイツが、まだ理解出来そうにはない。

それ以上に、俺は葛藤しているのだろうか・・・。自分自身の中にある罪悪感と

言うモノと闘っているとでも言うのかっ・・・。何故今更そんな事を思うんだ俺は・・・。

そうやって弱気になるから、今まで何をやっても、ダメになったんじゃなかったのか。

今、俺は逃げ出す訳には、いかないんじゃなかったのかっ。もっと冷静でいて冷酷に

考えれば良い。ただそれだけの事なんじゃないかっ。簡単な事さ。俺はそんな自分の

心中にある迷いってヤツを、何度も何度も必死で打ち砕こうとしていた。



俺とジョーはとりあえず・・・。隣の家の鍵を開け、部屋へ入った。古い民家だが

昨日まで誰かが住んでたかの様な、何とも言い表わせ無い生活感が、その部屋からは

しっかりと滲みだしていたのだった。



純「へえっ、意外と落ち付きそうな部屋じゃないかっ!」


ジョー「うんっ、そう思う。」



そこへ丁度、あの青年が戻って来たのだっ。


<そう言えば丁度良かったぜっ。俺はコイツに色々と聞いてみたかったんだっ。>


そこで俺から青年に、質問を投げかけてみた。



純「そう言えば、まだオマエの名前を聞いてなかったなっ。」


青年「はいっ・・・僕の名前は、ドンとです。」


純「そっかぁ〜ドン、よろしくなっ。・・・しかしドンと言う響き

日本では余り聞きなれないせいなのか、なんだか呼びヅラいよ。

そ〜だっ、いっそドニーにしようよ。その方が絶対呼び易いよっ。」


青年「解りました。それじゃ僕の事は、これからはドニーで宜しくお願いします。」


純「了解、よろしくなドニー。」


ジョー「よろしくドニー。」


ドニー「はいっ!」


とりあえず、こんなに早く見つかるとは、田舎まで出向いて来た甲斐があったぜっ・・・。

でもまぁっ、後一人位は俺の偽物、必要だよなっ。しかし金ももうそんなに残ってねぇ〜し

余りここで長居もしていられない、さてこれからどうしようかっ・・・。

そこでもう一度、今度は二人に質問を、投げかけてみる事にした。



純「なぁ〜オマエ達、ちょっとだけ話を聞いてくれないかっ?」


ドニー「はいっ!」 ジョー「何?」


純「オマエ達で、俺達によく似たヤツの手掛かりを探して欲しいっ。」


ジョー「でも・・・そんな急に手掛かりと言われても、無理ですっ困りますよ。」


純「それもそうだなっ、そんなに都合よく、瓜二つのヤツが

現れる訳なんてね〜かっ(苦笑)」


ドニー「そうですね・・・。」


純「しかし、今回の様な事もまれにあるんだし、先はまだ解らない。それに何もタダで

オマエ達に、探して貰おうとは思っていないさっ。勿論報酬は出すよ。もしオマエ達の

どちらかが先に、俺によりそっくりなヤツを見付け出したとしたならば・・・

報酬を今の2倍払おう!」


ジョー「本当ですか?」 ドニー「おっと!」


純「とにかく俺にそっくりなヤツが、最低でも後一人は必要なんだっ!」



何としてでも、探したいところだが・・・。今回はウマい具合に見付かったから

良いモノの、これからは金だってそんなに残ってね〜しっ、宛てがないとさすがに難しい

気がしなくもないっ。取り合えずアイツらが、そっくりのヤツを見付け出せない限り

俺は報酬を払わなくてもいいんだし、しばらくは青年に握らせた金のおかげでこの村に

いる事が出来る。そしてとりあえずタダ飯も食らえる。


ならっ・・・<しばらくここで生活するのも、全然悪くはないさっ。>


そんな事をあれこれと考えながら、俺が顔をニヤつかせていると、とっ・・・

丁度そこへ誰かがやって来たのだ。??????それはっ・・・

差し入れを持って来た青年の母親だ!

彼女はいつからその場所で、俺達の話を聞いていたのだろうか・・・。



しかしそこで彼女は、突然俺達の話しへ入り込み、相槌を打つかの様にゆっくりと語り始めたのだ!

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