Story(SUN)最終話「自由へ向かって!」
純がジョーから貰ったものは純自身が失いかけてた心の中の何かなのかも知れない。純とジョーは今手を取り合って希望と自由を求め新たな世界へと旅立つ。
バルコニーから臨む湖に写る夕映えは、キラキラとしていてとても美しい光を醸し出していた。
その光がジョーの瞳に、反射して輝いている。
ジョー「アナタは、ナニを望む?これからアナタは、どの様に生きてく?」
そんな質問に対しても全く答えられないまま、ただジョーの瞳に写る夕日の煌めきだけを
俺はずっと感じていた。
ジョー「私はもう一度この場所から、自由を求めて飛び立つだろう!さぁ〜純、アナタはどうする?」
純「・・・・・。」
俺は今まで生きて来て、何を信じ何を見て来たんだろう。
ジョーに、騙されたとばかり思っていたけれど、ジョーは俺を騙していた訳じゃなかった。
現実的にはジョーは、俺を救ってくれていたんだ。俺の事を思い考えて、それなのに俺と来たら
なんだ!ジョーを働かせて俺自身が何もせず、何も考えずに生きてく事ばかりを考えていた。
ジョーはそんなナルシストの塊だった俺を、献身的に精一杯愛してくれた。
それはジョーの煌めく瞳の奥を覗き見た時、確かだと感じた。
俺は自分しか愛せないと、ずっと心に思って生きて来た。でも今はちょっとだけそうじゃない気がする。
今の俺は・・・視界に写っているバルコニーで髪を靡かせているもうひとりの俺、ではなく
ひとりの傷だらけになっても尚、強く生きる女性を敬い慈しみそして愛し、その鼓動をもうすでに
胸の中で抑え切れずにはいられなくなっていた。俺はやっとその事に気が付けたんだっ。
<俺は俺に恋をしてたっ?>
そうじゃない!俺は俺じゃなく、ジョーそのひとに恋をしていた。それに今まで気づけ無かっただけだっ。
誰からも必要とされず、誰からも愛されなずそんな孤独に縛られ、誰も信じられなくなっていた俺を
真直ぐに信じ、見返りを求める訳でもなく純粋に愛し続けてくれたジョー・・・。
随分廻り道をしたけれど、その気持ちに今はやっと気が付けたんだっ。
人は誰も皆、誰かに必要とされていたい。
人は誰かに必要とされなくなってしまったんじゃないかと感じた時。
人は自分と言う人間を、何処かへ置き去りにしてしまう。
それでも人は心の片隅の何処かで、誰かに必要とされたいと願っている。
完全に自分自身を捨てたと思っていても、心の奥底に潜む何かが決してそれを捨て切らせてはくれない。
それでもたったひとりの良き理解者に出会えた時、人は例えそれまで心が孤独の闇に満ち溢れていたと
してもそのたったひとつの出会いによって、冷きった心の氷もいつしか自然に溶かされて行き、それにより
救われる日が来るのかも知れない。
そしていつの時代も人は、欲望や自由を求め続けるだろう。
しかし一つとしてその形に同じモノはないのだ!
<俺は夕日の染まる大地へ向かって、ジョーの手をひき駈け出してった!>
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純とジョー、今二人は共に畑の中を駈け出してゆく。自由と言う名の希望を追い求めて夕映えの空へ。
しかしそんな二人の為の自由への道は、これからも恐らく険しいだろう。
そして又、このまま一本線で交わる事のない平行線上を、二人は走ってゆくのか。
それともいつか何処かで一本の線となって交わる事が出来るのかは、今はまだ二人とも計り知る事が
出来ないだろう。
しかしただ道がそこに続く限り、二人は決してその歩みをこれからも止める事はないだろう。
何故なら其々の心に抱く、自由へと向かって走り続ているのだから。
そして今迄をすべて洗い流すかの様に、これからの二人を希望と言う名の夕映えがいつまでも
神々しく照らし続けるだろう。
俺は俺に恋をする?を長らく応援して頂きどうもありがとうございました。次回の新連載は11月辺りを予定しています。今後ともよろしくお願いします。俺々の裏編も思考中です。来年辺りになると思いますがお楽しみに。




