Story1「ウダツが上がんねえ俺!」
何をやってもダメな男が故郷も人生も捨てて、宛てのない逃避行。
俺の名前は、(水沢純 みずさわじゅん23歳)自分で言うのも何なんだけどビジュアル的にも
スタイル的にも世間では、可也かっこいい方に入ると思う。勿論冗談なんかじゃね〜よっ。
マジのマジ!(笑) そんな俺なんだけれど・・・。実は俺の人生常に順調で上手くいって
いるばかりじゃないっ。
人生行き当たりばったりの俺。仕事を転々としフラフラ生きてきた俺。
何のとりえがある訳でもなければ、自分自身ってヤツの魅力も価値も解らない。
そんな俺・・・・・。やっぱりどうせ狙うならでっかいポジションだ!そう思って
俳優のオーディションを受けてみた。が、しかし何度受けても不合格。
自分ではそこそこイケメンだとは思ってんだけどさっ。当然無理か・・・。
それならそれで、じゃお笑い芸人でも目指すかっ。本当は野球選手になりたかったんだけれど
やっぱりそれは無理かっ。さすがの俺でもそれだけは無理だと最初から自覚していた気がした(笑)
お笑い芸人の、オーディションを受け始めて数か月の事・・・。結果は何故だか
不合格ばかり。
さすがに<こんなの全くやってらんね〜よっ!>心でそうつぶやく俺・・・。
もう生活費も殆ど残ってね〜し、どうすれば良いんだよ。俺って可也絶望的かも・・・。
このまま遠くへ行きたいよっ。何処か遠くへ行ってしまいたいよっ。
そんな気持ちをウズウズさせながら・・・。
その時俺は、突然閃いた。そうだ!何処か遠くへ行ってしまおうっ。
もう日本になんか、帰って来てなんかやんね〜よっ。バカやろ〜!
そんなこんなで俺は、あてもなく海外へと、出て行ってしまったんだっ。
勿論知り合いがいる訳でもなければ、目的がある訳でもないっ。
宛てのない彷徨い・・・・・・・。
残りの持ち金は僅かだが、海外の物価は可也安めだし、しばらくは生きていけそうだ。
勿論良い暮らしは出来やしないんだけれどねっ・・・。
そんな行き当たりばったりな海外生活を始め、数日が過ぎたある日の事。
丁度その時、隣村まで行くマイクロバスを見つけて、俺は仕事を探しに行く予定でそのバスに
乗ったんだっ。そして偶然乗ったそのバスの中で、俺は思いがけない出来事に遭遇するのだった。
マイクロバスの中の乗客達が俺の顔を、舐めまわす様に見ている・・・。
何となくその場所が、異様な雰囲気に包まれていた。
<この空気・・・・・ちょっと普通じゃなさそうだっ。>
俺は不機嫌な顔で、隣にいた中年の女性を睨むと、その女性は運転席を指差した。
<なぁ〜バァさん、俺に何か言いてえのかよっ・・・。運転手がどうかしたってのかっ?>
そこで俺が何気なく、運転手の方を見て驚いたっ。
バックミラーに写るその顔は、俺と瓜二つじゃね〜かっ。そんな事、本当にありえるのかっ。
よく似た人間はこの世に3人いるとは言うけれど、まさかこんなに俺とそっくりな
人間に、しかも海外で出くわすなんて、普通に考えられない、ありえないよっ。
なんとなくだが俺の気分は、不愉快だっ。
<俺にそっくりなんてふざけるなっ、気持悪いよっ全くだぜっ!>




