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翔べ、ニュートラル

作者: 蒼乃蝶々

「Eの880番、準備。Eの884番、準備」

遂に、俺の出番だ。奴には負けない。負けたくない。



桜が舞い散る妙にキツい登り坂を登りきり、俺、白水翔一は初めて、臼赤市立藤見中学校へと足を踏み入れた。

入学式をつつがなく終え、割り当てられた教室に向かう。1年間共に過ごす事になるクラスメイトは同じ小学校の顔見知りと初めて会う者が居て割合は3:1位だろうか。

「お、ショウじゃん。今年も一緒か」

教室に入り最初に声をかけてきたのは去年も同じクラスでそこそこ仲もいい友人、西野浩平だ。

「こーへーまた一緒かよ」

あまり嬉しそうには返事をしなかったが、とはいえお世辞にもあまり友達が多いとは言えない俺としてはかなり有難い。恐らく浩平もそれが分かっているのだろう。素直じゃないなぁとばかりに生暖かい目で見てくるのがその証拠だ。

「そういや、部活もう決めた?」

「ん~、一応他の奴に誘われてバドミントン部に入ろうとは思ってるけど正直迷ってるんだよなぁ。運動正直あんまり得意じゃないし」

「ならこの後の部活動見学一緒に回ろうぜ」

「おっけ」

ガイダンスを終え、ずっしりと重たい教科書に早くもげんなりしながら放課後になった。

「最初どこ行く?バド?」

「じゃあバド行こ」

バドミントンの活動が行われている体育館は二階だ。重たいカバンを引きづりながら二階の体育館へ向かう。体育館では他にもバレー部やバスケ部も活動していて、それらの見学者も相まってごった返している。バドミントン部へ勧誘してきた友人達も人ごみに紛れているのを発見したが、正直この人ごみをかき分けてまで声をかけるのは面倒だ。さて、肝心のバドミントン部の活動風景はというと

「ファイッオオオオオオ!!!」

「「「「「「ファイッオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」」」」」」

熱い。ものすごく暑苦しい。あんなところに入部したら数秒で消し炭になってしまう。数秒前まで辛うじて存在していたやる気は、バドミントン部の先輩方の掛け声の前に、儚く霧散してしまった。

「お前バドミントン部入るの?」

「・・・・・・・・・無理」

誘ってくれた友人には悪いがバックレさせてもらおう。いやホント申し訳ない。あれは無理。

「文化部見ようぜ。」

「いいけどショウ、お前美術とか音楽とか大丈夫?死なない?」

「んんんん。死ぬねぇ」

あれは去年、いや一昨年かな。担任の先生が確か音楽の先生だった時の事である。そのBBゲフンゲフンその先生が異様にスパルタで音楽にはちょっとしたトラウマがあるのだ。最後の授業が終わったあの日、俺はリコーダーをへし折った。美術に関しては単純に不得手なだけだ。誰だって苦手な物の一つや二つあるよね。うん。

「となると自然科学部か放送部の二択か。」

自然科学部の活動場所である第二理科室にて

「でゅふふふっふふっふふふふふ」

「「う、うわぁ・・・・・」」

これはやばい。捕まったら死ぬ。その後放送室にも見学に行ってみたが男女比率0:10だったので断念した。

「うわ、もう帰宅部にしようかな」

「ここ部活動強制参加だぞ。他も見て回ろうぜ」

浩平に連れられ、他の部もみてまわる。



そんなこんなで色々見て回り、最後に辿り着いたのは陸上部だった。

「陸上って何だっけ」

「走ったり跳んだり投げたりするあれ。ほら、ボルトとか知ってるだろ」

「ああ、あれか」

確かに、グラウンドを凄い速さで駆け抜けていく先輩方が見える。

と言っても要するにかけっこだろ?何が面白いのか。ふと浩平の方を見ると、浩平はある一点を見つめていた。つられて俺も視線をやる。

広さはベッド二つ分、高さは俺の腰位の赤いマットに二本の棒の様な物。そしてそれを繋ぐように一本のバー。どうやらバーは2本の棒の突起の様なものに置かれているだけでぶつかっただけで落としてしまいそうだ。そんなバーの15m程離れた所から女の先輩がゆっくりと弾むようにして走ってき、翔んだ。

後から知ったのだが、あれは背面飛びと言うらしい。

何というか、凄い。こんな言葉しか出てこない自分のボキャブラリーが恨めしい。浩平も同じだったようで、その瞬間、俺たちは陸上部に入部することを決めた。


















続きを連載小説として登校する予定なのでもし見かけたら読んでやってください。あと若干の脚色はありますがほぼ実話です。リアリティ抜群

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