赤髪の推論
なにか矛盾している事があったら教えて下さい!わいは頭悪いんで!
「さっきのシーフフォックスの件なんだけど少し変じゃないかい?」
そう言って私の目の前に座って居る赤髪の美少年は喋り出した。ちなみに、コイツはまだ私の手首を握っている、早く離して欲しい言ったが無視されたので、私は取り敢えず睨みながらだが赤髪の話を聞くことにした。
「シーフフォックスがあまり人里に近づかないのは知ってるだろ?」
「意外と知識があるのね。」
「あ〜今回の件を調べていて知っているだけで、他の魔法動物についてはよく知らないよ、ともかく人里にはあまり近づかないシーフフォックスが店の商品を盗むなんておかしくないか?」
確かにおかしいと思うが、赤髪が何にそんな反応しているのかわからない。
「ふふっ何かふに落ちないっていう顔してるな。」
そんなに顔に出ているだろうか。
「そうだなぁ、ヒントをあげようかな?」
偉そうでイライラする。ヒントって何だ?ていうかコイツは何を言いたいんだ?
「ヒントは罠とあの棍棒君の言ってた事かな。」
棍棒男はここ最近この魔法動物に商品を盗まれているとか何とか言ってたっけ。そう言えば''魔法動物''と''盗まれた''の二つをやたら強調していたな。
「君が走っていった後棍棒君に聞いたんだけど罠は店に仕掛けてたらしいよ。」
ん?店?そう言えば罠にシーフフォックスの血が付いた木の葉がこびりついていたな。あの種類のの樹は東の森に多いい低木だったかな、これがついていたと言うことはもしかして店じゃ無く東の森で、、、
「ちょっと、下行ってくる!!!」
「え!あぁうん。」
片付けちまったかなー。ばっちゃんが捨てちまう前に回収しなくてわ!ばっちゃんが変な物を見る目で見てくるけど気にせずゴミ箱を漁ると例の木の葉を見つけた、それを手に取り上に戻る。
自室に入ると赤髪が勝手に私の机で本を読んでいたので文句を言いつつ木の葉を見せる。
「これ見ろ、シーフフォックスが捕まっていた罠についていたもんだ。あんたが言いたいのはシーフフォックスは店で捕まったんじゃなく、この木の葉が多く生えてる東の森で捕らえられたって事だろ?」
「そう、おおかたそのとうり、あのシーフフォックスは東の森で捕らわれた物だ。」
''盗まれた''を強調していたのは隠したかったからかな?と言うかシーフフォックスは保護対象に指定されているので、密猟となり、霊鳥の加護受けているこの国では密猟は重罪だ。そもそも許可されていても、魔法動物が衣服や宝飾品、娯楽の為に狩られている事にすら憤りを覚えるランは腹わたが煮え繰り返る様な思いがする、だが顔に出て、赤髪に指摘されたら更に苛々しそうなので、表に出さない様に努めた。
「やっぱりあの棍棒男達が?」
「う〜ん、ここからは証拠の無いただの推論として聞いてくれよ?」
「俺は衛兵がやったんじゃ無いかなと思うんだよね〜」
赤髪は推論と言いつつその金の瞳は何か確信を持っている様に輝いていた。
「衛兵がやったって言う理由は?」
「まず使われてる罠の事何だけど、アレ、ミスリルで出来てるみたいなんだよね?魔力を感じると閉じる様に出来ているんだ、そんな代物あんなゴロツキみたいな商人には用意できないと思うんだよ。」
確かにミスリルは高価な代物だ、中規模程度の商人では見る事も無いだろう。診療所にはミスリルのメスが三本あるが、ばっちゃんが昔、血の涙を流しながら買ったらしい。値段を聞いたら悲しそうな顔をしたので聞かないでおいた。
「俺が思うに、衛兵もとい騎士団って言うのわ貴族の三男以下がほとんどを占めている、上位子爵か伯爵以上の貴族なら割とたやすくあの罠くらいなら用意できるんだよ。」
「あの棍棒君達は俺の調べでは真っ当な商いはしていないみたいだから、衛兵君達は自分達がシーフフォックスの毛皮を売ったってバレない様に棍棒君達経由で売ろうとしてたんじゃないかな、それと何か騒いでいたみたいだけど、もし本当に店で捕まえたならあんな路地裏に集まって騒ぐ必要あるかなぁ?捕まえたところですぐ衛兵に突き出せばいいものを」
「路地裏に集まっていたのは人目につかない所で取り引きがしたかったって事?」
「恐らくね、騒いでいたのは衛兵もといあの手のボンボンは交渉なんてまともにした事なんて無いだろうから分け前の話で揉めたんだろ。君が来てから黙っていたのはどっちに着くか考えてたんじゃないかな。そういう所だけは貴族らしく狡いみたいだし。」
赤髪の話が正しいのなら、あの衛兵どもは豚箱にぶち込まなければ、しかしあくまで推論だし、何も証拠と呼べる物はない。そもそも赤髪は私にこんな話をして何がしたいのだろうか?しがない獣医に何をしろと?
「君の考えているとうり証拠が無いから衛兵君達は突き出せないし、棍棒君達も口封じされるだろうね一応まだ貴族だからねぇ。」
「でも、信頼できる衛兵に現行犯を押さえて貰えばいい。」
赤髪は自信に満ちた表情で何者かを私の部屋に招き入れた。
王国騎士団
近衛隊 王族の警護が基本任務、騎士団の中でも位が高い
討伐隊 魔法動物による災害、大規模な賊などへの対処が基本任務
衛兵隊 治安維持、犯罪の取り締まりが基本任務
他国との戦争には所属を問わず駆り出される、近衛隊以外は基本的に実力主義、貴族の子弟が多いが平民も多く所属している。
貴族
公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵がありそれぞれ上位、下位が存在する。
侯爵未満の貴族の三男以下は家を継げず、功績を立て新たに陞爵されるか、他家の貴族と結婚するか、一定以上の税金を納めなければ20歳までに平民に落とされる。