オペと赤髪
炊飯器からGが出て来てなんだか悲しくなっております麺職人です。
「ばっちゃん!ばっちゃん!急患だぞ、急患!」
「うるさいねぇ何度も何度も繰り返して呼ぶんじゃないよ!」
ばっちゃんは小言を言いつつオペ室の準備を始めている、私はシーフフォックスを寝台に寝かせ髪を結び白衣を着て、手を洗い、マスクと手袋をつけて麻酔薬をシーフフォックスに投与する。ばっちゃんはすでに準備を終えて私と同じ格好をしている。
「ラン、依頼主は何処に居るんだい?報酬は?」
「いないよ、この子は私が拾ってきた。」
なんか、ばっちゃんのやる気が下がった気がするけど考えないでおこう。
「ならば!俺が報酬を支払おう!」
と言いながら赤髪くんがドアから現れた。なんでいんの?てか、勝手に入って来んじゃねーよ!私は無言で赤髪を押し戻しドアを閉じた。
「ばっちゃんは頭部の傷の縫合をお願い。」
ばっちゃんは一瞬迷った様だが気の無い返事をして作業をし始めた、お金は欲しいが赤髪がヤバイ奴かも知れないと思ったのだろう、私もそう思う。
そんな事を考えつつ私もオペを始める。私は脚の傷を担当する。先ずは金具を取り外し傷周りの毛を剃る、金具には血に濡れた木の葉が付いていたが今はそんな事考えている暇はない、消毒を行い、傷口を見る、幸い金具は骨までは達しておらず縫合して暫くしたら治るだろう、という訳で縫い始めようと思う。糸はアクアスパイダーの糸を使う、傷が治るのには3週間程かかるだろう、アクアスパイダーの糸は水に浸かっていないと約3週間で溶けて消えるので丁度いい。
オペ開始から1時間半程経っただろうか、オペも終わりシーフフォックスを毛布で包み別の場所に寝かせ、ばっちゃんと片付けをしているとある事を思い出した。
赤髪がウチに来てんじゃん、めんどくさ〜。
オペ室から出て階段を上がり自室に戻ると赤髪がアルブスに襲われていた。
「あっ!君!助けて!」
なんか言っているが、アルブスが満足するまで放っておく事にした。
暫くしてアルブスは満足したのか、観葉植物の上に戻っていった、私はふぅ、とため息をつきつつ赤髪の手はアルブスに引っ掻かれて出血しているので傷薬を取り出す。
「傷薬を塗るから手を出して。」
「なんで、助けてくれなかったのさ?」
と言いつつ赤髪は手を出してくる、私はその手を取り傷薬を塗りつつ答える。
「アルブスのストレス発散にちょうどいいと思ったのと、勝手に入って来ているからあまり信用出来ないんじゃないかと思ったから」
「信用できないか〜あっ!そうだ、これ忘れ物だよ〜。」
と言って赤髪は薬草が入った袋を取りだす。どうやらシーフフォックスを連れて帰るのに必死で忘れて来てしまったらしい。受け取ろうと手を伸ばすと赤髪は袋を後ろに回し、伸ばしていた私の手を取って笑っている
さっき会った時にも思ったがなんかコイツと居るとイライラする。
「はなせ変人そしてそれを渡して帰れ」
「ハハッ、ツレないなぁ、まぁ取り敢えず話を聞いてくれよ。」
そう言って私の目を見て笑っている。赤髪に黄金の瞳を持つこの少年は色々騒動があったのと、私があまり人に対して興味がないのも相まって気付かなかったが10人に訊けば全員がイケメンだと答えるくらいの美少年の様だ。まぁ私は人の顔には興味がないのでどうでも良いのだが。
「その話を聞いたら薬草返せよ。」
「もちろん返すよ、でその話なんだけど。」
「さっきのシーフフォックスの件なんだけど少し変じゃないかい?」
ラン (主人公)
女性、18歳、身長178センチ、黒髪、黒目、肌白め、魔法動物診療所で獣医をしている。魔法動物の事になるとたまに暴走する。魔法動物学と薬学が得意、法律などの知識もある(普通の市民では、大まかなルールを知っているだけで法の知識を持つ人は少ない)結構気が強め、運動能力は一般レベル