ドレス選びとダンス
読んでくださりありがとうございます!!
え〜今、私はヴァッサル公爵邸にてダンスの練習をさせられております、ダンスの相手はアラン様です。
どうしてだ?どうして私はダンス何てしてるんだ?しかもなんか豪華なドレスを着ているだけども。
遡る事、10時間私の家の前にこれまた豪華な馬車が突然現れた!いや、突然と言っても昨日言われたんですけどね、馬車から出て来たのは金髪碧眼のイケメン、アラン様。
なんかいい笑顔で私を馬車に招き入れる。
「今日はランのドレスを買いに行くよ、母上は一度やると決めたら折れないからね僕も兄上も父上も手が付けられないだ、我慢してくれ、まぁ僕としても君がパーティーに参加してくれるのはありがたいんだけどね」
「はぁ」
よくわからんが、ヴァッサル公爵家がカカァ天下だという事は分かった。
「ええと、私はこれから何処に連れて行かれるので?」
「僕らがこれから行くのは、仕立て屋さ」
仕立て屋か、行った事ないな〜、と言うか仕立て屋って1からドレス作るんじゃなかったか?パーティーって明後日じゃないか?間に合うのか?
「あの?ドレスって作るの時間かかるじゃありませんか?」
「ああ、だから完成間近の物をランのサイズに合わせるんだ」
「仕立て屋ってオーダーメイドですよね、完成間近の物何て買えるんですか?」
「そう、だから妹の物を使うよ」
「妹ってアンナ様ですよね、いいんでしょうか?」
「あ〜母上はアンナの事を溺愛していて、一度に何着もオーダーするけど、アンナは服に全く興味が無くてどれでも良いって言うからその中から選ぶ予定だよ」
なるほどね、私も正直服に興味は無いのだが、折角買っていただけるのに興味なさげにしているのは失礼だからな、気をつけなきゃ。
そんな話をしていると仕立て屋に着いた様だ、アラン様が先に降りて、私に手を差し出す、その手を取って私も馬車から降りる。
着いたのは上位貴族御用達、と言った感じの豪華な店だこんな所に入る事になるとは人生判らないなぁ。
店内に入ると豪華だが落ち着いた雰囲気で落ち着いて服選びが出来そうだ。
「あら、アラン様が公爵夫人と妹さん以外と来るだなんて、とうとう春が来たのかしら?」
「そうかもね」
店主だろうか、アラン様が綺麗なおばさまと話している。
「妹の服から彼女に似合いそうな物を持って来てくれるか、それを彼女様に変更して欲しいのだが、勿論母上の許可は取ってある」
「妹さんので良いの?新しくちくれば良いのに〜」
「僕もそう思うけど急ぎで欲しくてね」
おばさまがわかったわ〜と言って店の奥に入っていった。
「どう言うものが好みなんだ?」
アラン様が聞いて来る、どう言うのが好みと聞かれてもな〜
「私が着ている服は皆ばっちゃん…ジゼルのお古だから自分で服などを選んだことがないので分かりかねます」
「そうか…ランは綺麗なのにもったいないな」
アラン様が私を見て言う、なんかこう、ストレートに言われると恥ずかしい。何て言ったらいいのか判らない。
「確かに綺麗よね〜しかも黒髪黒目だなんて珍しいし創作意欲を掻き立てられるわ〜」
おばさまが戻ってきた様だ、4着程ドレスを持っている。
「さて、どれが良いかしらねぇ選んだ事が無いならアラン様と2人で選べばいいんじゃない?」
「ああ、それが良い、ランもそれで良いか?」
「ハイ、助かります」
本当に判らないのでありがたい、ドレスはフリルの沢山付いた可愛らしい物から所々透けたり開いたりしているセクシーな物まで様々だ。どれが良いのだろうか?
「じゃあ先ずこれから着てみましょう!」
そう言っておばさまはドレスの1着を持って私を店の奥に連れて行く、奥は着替えができる様に出来てるみたいだ。
おばさまが着るのを手伝ってくれるそうだが丁重にお断りした、私にも色々事情があるのだ、コルセットも1人で頑張ってつけたが時間が掛かってしまって申し訳ない。
最初に着たのは、水色のドレスでレースのフリルが付いている、まるでクラゲの様だ。
自分には、可愛い過ぎると思うのだが。
おばさまに連れられ、アラン様の前に出る。いちいち見せるの恥ずかしくないか、これ。
「あっあのどうでしょうか?」
「よく似合ってるよ、クラゲのように可憐でもあり可愛らしさも出てる」
アラン様はそう言ってニコッと笑う、恥ずかしいぞ、後3着着て見せて感想を言われるのか?
そんな事を考えつつおばさまに連れられ奥に戻る。
次に着せられたのは赤いドレスで黒い薔薇の刺繍が入ってしたに行く程オレンジに近い色合いになっている。
おばさまが私をアラン様の前に連れて行く、もう心を無にしようそうしよう。
「どうでしょうか?」
そう言ってクルリと回ってみせる。
「ダンスを踊る時、君の綺麗な黒髪と共にスカートが広がるのがとても美しい」
とアラン様が言う、なんでこの人はそんな恥ずかしい事が言えるんだ?
おばさまと共に奥に戻って次のドレスを着る、濃いグリーンのドレスでグリフォンの金の刺繍が施してあるがそれ以外は落ち着いた雰囲気で大人っぽい。スカートも広がっている物ではなく、体のラインにそった物になっている。
「ランのスタイルの良さを際立って、大人のオンナって感じで色っぽい」
あ〜恥ずかしい、それも後1着でお終いだ、おばさまに連れられ奥に戻る。
おばさまが持って来たのは黒いドレスで所々レースになっていて透けてるぜ!背中もがっつり開いてるぜ!
着れるかこんなもん!
「ちょちょっとこれは無理です!」
「ふふっ大丈夫よ貴方なら何でも似合うわよ」
「そう言う問題じゃ無いんで!」
「コルセットも1人で頑張ってつけたみたいだけど背中に何かあるのかしら?動きをみてる限り怪我だったとしてももう治ってるでしょ、化粧で消せるから問題ないわ〜」
そう言って無理矢理脱がそうとして来る、な、何なんだこの人は!なんとしてでも着させると言う執念を感じる、私の黒髪が珍しいから創作意欲がなんたらとか言ってたしな!ヤバイ脱がされる、凄い力だ本当に何なんだ。
そのまま5分格闘した結果脱がされました、おばさま私の背中を見て唖然としています。
私の背中を覆っているのは、刺青、それも極彩色の5体の魔法動物が描かれている。
描かれているのは赤い鳥、蛇の尾を持つ亀、白い虎、角と髭、腕がある蒼い蛇そして其れ等に囲まれた黄金の獣だ。
「凄いわ、美しいわ!!!」
固まっていたのはそう言う事だったんかい!
「尚更創作意欲が湧いて来たーー!!!!」
「ちょっと待って下さい!これは絶対に見せるなと言われているんです!」
ばっちゃん曰く私の母親の遺言らしい、母親なんて全く記憶にないが遺言だと言うので出来るだけ護りたい。
遺言と言う言葉を出すと流石のおばさまも引いてくれたし口外し無いと約束してくれた。
「それじゃあこのドレス着れないじゃない!!」
「気なくて良いです、露出が多いので」
これを人前で着ろと言うのか?恥ずかしさで100回死ねるわ!!
「そうだ!」背中が隠れれば良いのよね!」
良くないです元のデザインが。でもこのおばさまが言って聞くとは思えない、一度来て他の物を選べば着るのは一回で済むし、見られるのもアラン様とおばさまだけだ。
仕方ない、我慢しよう。
「背中が見えなければ一度着ても良い」
「そうと決まれば、早速縫って来るわ〜!」
おばさまが走って消えて行った、これで一回着て、他のを選んで帰ろう!
20分程しておばさまが戻って来た。
黒いドレスを見ると背中以外も修正されているようだ。
「さあ!着てみて!!」
言われるがままドレスを着る、なんか他のドレスより私の体型に合ってる気がするんだけど、何か悪寒が…
黒いドレスは背中はちゃんと布で覆われていて刺青は見えない、黒地に銀の糸で様々な植物の刺繍がしてある、問題はそれ以外だ、元々所々透けていたドレスだが、胸元が空いているしスカートには長い切れ目が入っていて太ももまで出てしまっている、下腹部の辺りも透けていて、薄っすらへそも見える…魔改造しすぎじゃないですか!!
無理!こんなの無理です!!
抵抗する私をおばさまが無理矢理アラン様の前まで引きずって行く、ダレカタスケテクレ…
引きずり出された私は一応、もう着るつもりは無いがアラン様に感想を聞く。
「美しい…」
アラン様は私を見た途端そう言ったが、すぐに顔を赤くして横を向く。
「すまない、その…僕には刺激が多くて…」
と言って私を見ては更に顔を赤くしている、これは何かの拷問か?もう帰りたい…
おばさまだけがニコニコしている。何がそんなに面白い!!
「これにしましょう!これに!もうランちゃんようにサイズも整えたし、何よりこれが一番似合うわ!」
おばさま!何を勝手に言い出す!あんたが決めんな!
「アラン様もこれが一番だと思うでしょう!」
「あっいやその…」
この後私もアラン様もおばさまに押し切られる形でこのドレスにする事になってしまった…
取り敢えず昨日今日と言い私もアラン様も強く押されると断れないと言う事が判った。
仕立て屋を出て馬車に乗る、憂鬱だ、なんとこの後ダンスの練習をさせられるらしい、何故?私ただの獣医なんだけど、公爵夫人が気に入ったってだけでここまでするか?私に貴族の懐事情は判らんが無駄金としか思えないんだが…
そんな事を考えていたら着いてしまったよ、公爵邸に…イヤ!無理!アレを着て踊るだなんて!
そんな思いを面に出す訳にもいかず、連れてこられました、ダンスフロア。
練習ではアレは着ない様だ、やったぜ!このままなかった事に出来れば着なくて済む!でもどうやって?
練習相手はアラン様、そこまで付き合ってくれなくても良いのだが。
ダンスの練習はドレス選びと違い順調だ、アラン様が上手くリードしてくれている。
「ランはダンスは初めてだろう?」
「はい、アラン様が上手くリードしてくださるお陰でなんとかなっています」
「僕のお陰じゃ無いよ、ランは割とセンスがあると思う、もう少しテンポの速い曲も踊ってみようか?」
「はい、お願いします」
パーティーで踊るとかじゃ無ければ割とダンスは好きかも知れない、あと衣装も普通で良いのなら。
曲のテンポが速くなる、これも問題ない、またアラン様が聞いて来るので、Yesと答えるとまた速くなる、アラン様はどうやらダンスが得意な様だ、それもテンポが速いのが好きな様で速くなる程楽しそうに踊っている、またテンポが速くなる、ちょっとキツイかも、初心者の癖に無駄な事を考えていたからだろう足が縺れて後ろに倒れる、頭をぶつけぬ様手を回す、思わず目を閉じるも想像と違い、倒れる事はなかった、アラン様が支えてくれた様だ。
目を開くと、アラン様の顔が目の前に…近くないですか…て言うかもう離してくれて問題無いですよ〜
なんかこっちを見て固まっている、どうかしたのか?足でも踏んでしまったか?
「あの、アラン様?」
「ああ、すまない、少し速くし過ぎちゃったな、でもこれならパーティーも問題ないと思うよ」
「じゃあ練習はお終いですか?」
もう帰って良い?もう帰って良い?
「そうだね、パーティーの前に少し確認するくらいで良いと思うよ」
「じゃあ帰りの支度を…」
「待って!そろそろ夕食なんだけど食べて行かないか?」
確かに沢山踊ったのでお腹は減っているかも、家に帰っても大した物は無いし、と言うか公爵邸の食事の方がいい物を使ってるに決まってるので旨いに決まってるだろう。
「でわ、お言葉に甘えて」
「あと20分程だからテラスか何処かで待っていよう」
アラン様がそう言った時、あの執事さんが部屋に入ってきた。
「アラン様、殿下より使いが参られております」
「判ったすぐ行く、母上達に夕食は先にとってくれて構わないと伝えてくれ、ランも母上達と一緒でいいかな?」
「あっ、はい」
美味い物が食べれるなら別に良いですよ、私は。
アラン様は素早く部屋を出て行った、殿下ってこの国の王子のことか?まぁどうでも良いか。
それにしても時間まで暇になったな、庭でも見に行くか?珍しそうな植物が沢山あったから見てみたい。
執事さんに聞いたら許可してくれた、時間になったら呼んでくれるそうだ。
という訳で庭に行ってみよう!
庭に着くと色取り取りの花や、木、苔など様々な植物が植えてあり見ていて飽きない、光っている物もある、魔力を感じるので魔法植物だろう、魔法の適性が低い私でも感じる程だ強力な魔法を使うのだろう。
そんな感じで見て回っていると、背後から足音が聞こえる、振り向くと金髪碧眼の少女がいた。