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魔法動物診療所!  作者: 麺職人
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赤髪と買い物のはずなのだが。

通りを私を抱えたカトルが走り抜ける。こんなヤツにお姫様抱っこされながら街中に居るなんて最悪だ、一生の恥だ、そんな事を考えているとどうやら騎士団の訓練場に到着したみたいだ。カトルは私を下ろし市場に薬草を買いに行くためにまた走り出した。訓練場の塀にはセキトバが突き破ったのだろうか?大穴が空いている。中からは悲鳴も聴こえて来る、騎士の癖に情けないとも思うが訓練場なので見習いばかりなのだろうか?穴から中に入ると、既に騎士が数人伸びていた。今は数人の騎士が相手をしている様だ。


  「あの!今からその魔法動物を鎮静化させる薬を作るので30分程持ち堪えてください!それとその子の狙いは厩舎です!頑張って下さい!」

  「わっわかったわ!」

と女性の騎士が応える。私は寄宿舎の中に入ると調理場を探す、二階にある様だ。私は階段を駆け上がり調理場の前に着き中に入ろうとすると、外から爆発音が聞こえ建物が揺れる。騎士達は大丈夫だろうか?

中に入り、お湯を作る為鍋を火にかける、暫くするとカトルが薬草を持ってやってきた。沸騰したお湯に刻んだ赤い薬草をいれ、トゲの生えた薬草を刻んで布に包んで搾る、赤くなったお湯から薬草をこし取りお湯を瓶に入れる、トゲの生えた薬草の搾り汁をそれに入れると赤色から黄金色に変わる、隣でカトルがスゲェとか言っているがまだこれからだ、汁をまた鍋に戻し加熱する。


  「火力が足りない。」


水分をある程度蒸発させなければならないが、外から爆発音がまだ聞こえてくるので、急がなければ。


  「これならどうだ?」


私の呟きを聞いていたのかいつの間にかカトルが鍋の周りに魔法陣を描いていて、魔法を発動させる。鍋を炎が包み込む。コイツ身体強化だけじゃなく火系統の魔法も使えるのか!なんなんだよお前!


  「あっ!ストップストップ!」


火魔法が収まっていく。危ない危ない驚きの余り水分を飛ばし過ぎるところだった。

黄色い泥の様な薬をヘラで取り出しまだ熱いが、手で丸める。それを持って外に向かう。

出て行くと、数人いた騎士の内まだ立っていたのはあの女性騎士だけの様だ、周りに数人伸びている。

 

  「薬持ってきました!」

  「良かった!感謝する。」

問題は如何にして飲ませるかだ、見習いとわ言え騎士が伸びているのだ私では無理だろう。女性騎士とカトルに頼むとするか。


  「騎士さん!カトル!二人でどうにかして薬をセキトバの口に突っ込んでくれない?」

  「何とかやってみるよ」

  「くっ口に突っ込むのですか?」


カトルは何故かニコニコして応えるが(やっぱコイツおかしいと思う)、騎士さんは顔を青くしてビビっている。


  「口に何かあるんですか?」

  「あっアイツ口から火を噴きます。」

  「火ぃ!マジかよ!」


カトルも慌てだす。


  「落ち着いて二人とも」

  「落ち着けるか!これから火を噴く口に手を突っ込むんだぞ!」


どうやら突っ込むつもりはある様だ。


  「いいから落ち着けって、恐らく一度火を噴いたら直ぐには噴けないと思うわ、だから火を噴いたあと直ぐに突っ込めばいい、私がタイミングを伝えるからそれに合わせて。」


  「分かったよ、騎士さんはアイツの気を引いてくれ。」

  「ちょっと待って下さい!それは私に火あぶりにされろと!」

  「応援してるよ!」キラーン ⭐︎


カトルが騎士さんの両肩を掴み目をみて言う。キラーン⭐︎じゃねーよ、騎士さんも顔を赤くするな、てかやっぱ顔が良いって便利だな。


  「あのぉ早くしてくれます?セキトバ、厩舎の方に向かっちゃうよ。」


私がそう言うと二人はヤバ!と言いつつ急いでセキトバの元え向かった。私も走りだす。

セキトバの元に着くと騎士さんは何やら白い腕輪に魔力を流す、すると騎士さんは空を蹴り跳び上がる、風系統の魔法だろう、一人だけ無事だったのはコレのおかげか。

厩舎の目の前まで来たのにまた邪魔が入ったからかセキトバが怒りに任せて口から火を噴く、赤黒い炎が騎士さんを襲う、騎士さんの怪我も心配だが今はタイミングを図らねば。

炎の勢いが弱まりセキトバが息を吸おうとする。


  「今よ!」


セキトバの背後で気配を消していたカトルが身体強化でセキトバの前に躍り出る、その勢いのまま口に、薬を握った手を突っ込み、引き抜くとそのまま後退する。

セキトバはまだ薬が効かないのかそのまま厩舎に向かおうとするが途中で止まり、此処はどこだと言った感じでキョロキョロしている。薬が効いたのだろう。あの薬には精神を安定させる効果と少しの忘却作用がある。



  「終わったか〜」


とカトルがその場に座りこむ。騎士さんは気絶しているが命に別状はない様だ。

私は手綱を厩舎から拝借してセキトバにつける、散々暴れて疲れているのか、元来の性質なのか意外と大人しい。


  「カトル、取り敢えずこの子をおっちゃんの所に連れて行こうと思う」

  「倒れている騎士達は放って置くの?」

  「聴き込みでもされたら面倒だから」

  「ハハッ確かに面倒臭いなぁ」


やましい事はないが昼飯を取り損ねたので酷く空腹だ。おっちゃんにセキトバを引き渡したら何かたべよう。と考えつつ私達は訓練場を後にした。















 


セキトバ

体長約3メートル体高2メートル 赤い体毛に黒いタテガミ琥珀色の目を持ち口から火を噴く非常に美しい馬型の魔法動物。体は筋肉質でスマートと言うとりかなりガッチリとした体型。東の国から購入され、連れてこられた。

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