町ゆーても中世ヨーロッパ風だな!
町に近づいた。
だからよく分かった。
2m位の壁に囲まれている事を。
しかも、反し付き。
登れなくはないが、これは何に対しての壁なのか。
何から町を守っているのか。
「ふむ、何かしらこの世界には野蛮の輩がいるらしいな。」
まぁ、不法侵入する気は無いので、登らないけど。
道は"壁"の門で終わった。
押す。
開かない。
引く。
開かない。
は?(キレ気味)
「ごめんくださーい。」
すると、門の片方の扉が開いて、重々しい鎧を着た男性が出てきた。
「誰でしょうか...ん?誰もいない。」
は?下見ろよ。(相手190cm)
「すいません。」
「あ、ごめんねお嬢ちゃん。で、何の用かな?」
「え、えっと...中に入りたいんですけど...」
「分かりました。どうぞ。でも、親は?」
あ、それ聞く?
どうしよう、下手に答えても面倒だし...
「私の親とは死別です。」
「ごめんなさい。聞かなかった方が良かったね。」
結構下手やけど、ばれないかな?
「ここの町の子?」
「いいえ?」
「じゃあ、滞在一時許可書を渡すね。」
男性は、甲冑に提げた袋の中から紙とペンを出した。
「えっと...ここに名前を。」
ペンを渡された。
プラスチックではない、金属の物。
紙には、
滞在一時許可書
条件を飲む場合、下記の者の1週間の滞在を許可する。
条件:一時滞在の間、下記の者の処分はこの町にある。
対象人:
保証人:ラジエート・レン
許可期日:9/27
とあった。
ふむ、今日は9月20日なのかな。
日付の仕組み知らないけど。
あと、この男性の名前はラジエート・レンさんか。
「書けました。」
「ふむ、スティアナ・アルジェちゃんね。」
ちゃん付けは恥ずかしいから止めてほしい...
「ここに1週間以上いるなら、役場に自己証明出来る物と、これ持って行ってね。」
え、何?自己証明出来る物って。
あ、行っちゃう...
「待って下さい!」
「ん?」
「あ、あの...ありがとうございます!」
え?私何言ってるの?
「どういたしまして。あ、もう暗いから気を付けてね」
あ...なんで私は自己証明出来る物を聞かなかったんだ。
「はぁ...」
取り敢えずどうしよう...
空は紫色になっていた。
この世界のお金なんて持っていない。
この世界のお金がどのような物かも知らない。
まず見たことがない。
その時の頭の中では、
お金が無い=宿借りれない=布団で寝れない
の等式が駆け巡っていた。
「取り敢えずここは町の端。中心地に行ってみよう。」
一時滞在許可書を最初から持っているポーチに入れて、歩き始めた。
暫くは明かりの無い建物ばかりだったが、
明かりの点いている建物も増えてきた。
建物を見てみると、レンガや木で出来ている、中世ヨーロッパ風の雰囲気だった。
鼻をつつく香りもしてきた。
パンや肉の焼ける香り。
ん...美味しそう...
中心に近づく程、活気が大きくなってきた。
店の中では多くの人で賑わっていた。
さてどうしよう、夜に稼げる仕事は...
「きゃっ」
いきなり手を引っ張られ、裏路地のような所に吸い込まれた。
手が離されると、そのまま倒れ込んでしまった。
「いてててて...」
「だ、大丈夫?ごめんなさいね。」
「あ、あなたは?」
顔を上げると赤髪の女性が立っていた。
「私はローズ・エンネ。それより貴女!何で1人で外に出てるの?」
「え、えっと...」
「奴隷商に狙われたらどうするの!」
ど、奴隷商!?
「夜に1人、可愛いい少女が出歩いているなんて...」
「す、すみません。」
か、かか可愛いい?
「取り敢えず、家にお帰り。どこら辺?送るから。」
「あ、あの!」
一時滞在許可書を取り出した。
「え?1人でここに来たの?」
「はい...あと、お金持ってなくて...」
「スティアナ...アルジェ、スティアナ・アルジェね。じゃあ、アルジェ、私の家に泊まる?」
「い、いいんですか?」
「当たり前でしょ。子供を1人、放っておくなんてできない。」
「あ、ありがとうございます!」
「あら、礼儀の正しい子。じゃあ付いて来て。」
私はエンネさんの気丈な背を追った。




