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――――――――――――――――――岳は夕方、コンビニのアルバイトをしていた。

昼からずっとしているので疲れがたまっている。

また客が来た。帽子をかぶっているので顔が見えない。

「いらっしゃいませ」

岳は元気よく言った。

しかしその客はクスクス笑っている。

「ひさしぶり!岳」

かぶっていた帽子をその客がとると、懐かしい人物が顔をだした。

特徴のある肌の黒さ、そして何より髪型が少しおかしい。

昔よりおかしさが増している。

「て、寺木」

そう、この人の名前は寺木学という。

「そうだ!」

・・・。

少しの沈黙の後、岳はその沈黙を破った。

「で?客としてきたのか?」

「悪い?」

「…別に。」

岳は少し最悪な気分でいた。

学はあまり好きではないからだ。

何と言ったらいいかわからないが、とにかく学はMなのだ。

そこのところがあまり気に食わない。

早く帰れ 早く帰れ と心の中でつぶやいた。

その願いは届くはずもなく学はニヤニヤしながら、いろいろ見まわっていた。

相手は客としてきているのでぶっとばせない。

「へ〜がんばってんじゃん」

こういうしゃべり方も好きではない。

岳は少し低い声で言った。

「早くしろよ」

「そんなこと言うんだ〜。俺様は客だぞ 客だぞ〜〜」

「わかってるよ」

「じゃあそんなこと言っちゃいけないよな〜」

「・・・はいはい」

ほんとうに面倒くさい。ったくどうだってんだ!

しばらくしてようやく学はレジにやってきた。

「これよろしく〜」

学はしょうゆ味の焼きおにぎりとハムのサンドイッチとコカ・コーラをレジにだした。

ピッ

ピッ

ピッ

「520円になります。」

学はまだニヤニヤしている。

昔からそうだ。みんなはこの顔がうざったらしくてよくいじめてたものだ。

しかし学はやはりMなので抵抗しない。

仮にしたとしてもよわよわしいものだった。

学はポケットから財布をとりだし、さらにそこから600円を取り出した。

「はいよ〜」

学から600円を受け取ろうとするが、学は手からそれを離さない。

「とってみやがれ〜〜」

・・・。なんだか本気で学を殺したくなってきた。

しかしそんなことをしたらあたりまえだが警察行きだ。

あんなところへは行きたくない。

いったら戻ってきたときにまわりからへんな目で見られるからだ。

学からなんとか600円をうばった。

そして岳はおつりの80円を取り出し渡した。

「おそいぞ〜〜」

本当の本当の本当の本当にぶっ飛ばしたい。

岳は手に力をおもいっきりいれた。もし爪が長かったら血が出ていただろう。

それぐらい力を入れた。が、おさえた。

おさえろ おさえろ、と心の中で唱えるようにいった。

「よぉ〜しじゃあまたな〜」

学は出て行った。

岳は椅子に座りこみため息をついた。

どうしてああいううざったらしいやつがいるんだ。

あんなやつきえてしまえばいいのに。

そう思い、再びため息をついた。

しばらくして、岳はある決心をついた。

そして、その決心を実現させるために店長のいる部屋までいった。

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