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と、そのとき警報がなった。
ルルルルルルルルルルルルルル!!!!
まずい。おそらくばれてしまったのだろう。
学は急いで地図を見た。
ここからそう遠くないところに岳のいる部屋がある。
「いたぞー!」
部屋から出ると男の人が駆けつけてきた。
その声に反応して学は一目散に逃げた。
「ま、まてー!!」
学は走るのにはかなり自信がある。
なぜなら、昔サッカー部だったからだ。
3分もしないうちに男の人の姿が見えなくなった。
「なんだどうってことないじゃないか。」
学は今度はゆっくり歩き出した。
声がしてくる。
その声がしてくる場所をそっと見てみるとケータイで男の人が誰かと話していた。
隠れてその会話を聞いてみる。
「――です!!・・・サンプル01が逃走しました。・・・はい。ついさっき見たところいなくなっていました。」
それを聞いて学は反射的にその男の人を思いっきり蹴り飛ばしていた。
その男の人は叫び声をあげて倒れた。
起き上がらないのを学は確認するとケータイを踏みつぶした。
「くそが・・・」
そう吐き捨て、学は岳のいる部屋へ向かった。
あと、ここを曲がればすぐそこだ。
その角を曲がり学は岳のいる部屋に入った。
いつの間にか疲れてきていた。
「ということなんだ。」
すべてを話し終えると学は深呼吸をし、倒れこんだ。
「お、おい大丈夫か?」
「大丈夫だ。少し休ませてくれ。」
「わかった。」
どうやら学は相当疲れているようだ。
いままで学の疲れているところをあまり見ていないので、岳は少し驚いた。
1分後。
学は立ち上がった。
「よしもういくぞ」
学が立ち上がると岳も一緒に立ちあがった。
男はにやりと笑いながらケータイで誰かと電話していた。
「仕方がない。プロジェクトAからプロジェクトEに変更だ。」
ケータイをきった。
「少し手荒だがこれなら確実だろう。そのためにわざとサンプルをわざわざ2体用意したのだ。」
と、その時再びケータイがなった。
「なんだ?」
相手が静かな口調で言った。
「見つけました。サンプル01とサンプル02はともに行動しているようです。まだこちらに気づいていません。どうしますか?」
男は少し間を開けてこう言った。
「サンプル01の――――。お前の腕ならできるはずだ」
「わかりました。」
そして、ケータイをきった。
この世界が夢ではないことがサンプルにばれるのはまずい。だがプロジェクトEなら大丈夫だな。ふふふふ・・・
そして男はサンプル採取室に向かった。