14
「俺は――――――――――――――」
学は岳に今まであったことを話した。
時は昨日の夜の8時少し前。
学は夜道を何の当てもなくふらふらと歩いていた。
すると何かの飛ぶ音が聞こえてきた。
「・・・。」
何か真上にいるな。
そう思った学はいきなり逆走しだした。
何となく嫌な予感がしたからだ。
そして上をそっと見上げる。
上には何かが浮かんでいた。
「なんだあれ・・・」
学の後を追うように何かはゆらりゆらりとこっちに移動してくる。
学は今度は全速力で走った。
直感的にあれは俺を狙っていると思ったからだ。
しかし何か、いやUFOは間が開くどころかどんどん縮んでいく。
そして意味不明な光をあてられた。
ふわり
学はUFOに吸い込まれていった。
吸い込まれている間に意識が少しずつ遠のいていく。
まずい!気絶するな!気絶するな!気絶するな!気絶するな!気絶するな!気絶するな!
気絶するな!気絶するな!気絶するな!気絶するな!・・・・・・・・・・・
永遠に心の中でそう唱えていた。
気がつくと学は横になっていた。
声が自分の上のほうからする。誰かがいる。
学は動けたので思いっきり足を上に振り上げた。
足に何かがぶつかった。
そして倒れる音が聞こえてきた。
「き、きさま・・・」
学は眼を開け勢いよく起き上った。
目の前にはさっき学が蹴り上げたらしい男の人が座り込んでいた。
右目を押さえている。おそらくさっき蹴った場所が右目だったのだろう。
そこから血がぽたぽたと流れていた。
その男が立ち上がろうとしたその時に学はもう一度けりをくらわせた。
今度はかかと落としだ。
男は避けようとしたが避けきれず肩に直撃した。
「うぅ・・・」
バタリッ
男の人は倒れこんだ。
「ここはどこだ?」
まったくもってわからなかった。
とりあえず考えても仕方がないので学は気絶している男の人のポケットやらなんやらを探ってみた。
見つけたものは3つ。
ここの地図らしきものとカードキー、そして計画書だった。
学はその計画書を一通り見てみた。
そこにはこう書かれていた。
サンプル採取計画書
われわれの超人間作成にはまず人の心臓と脳のサンプルが必要だ。
そのためわれわれは寺木学と山名岳をサンプルとして捕獲する。
寺木学・・・サンプル01
山名岳・・・サンプル02
しかし計画を成功させるには難しすぎる。
なぜかというと、その心臓や脳を取り出すときにサンプルが暴れてしまえば傷ついてしまい使い物にならないからである。
麻酔を使うと脳と心臓がサンプルとして使えなくなるので麻酔は使ってはいけない。
そのためにホリユヤー氏が開発した(現実夢混乱機)というものを利用してサンプルに現実を夢と勘違いさせることによって暴れさせないようにするのである。
責任者:井川純一(日)
第二責任者:ホリユヤー(米)
「・・・なんだこれ。ふざけてんのか・・・」
学の目には一筋の光がさしていた。