13
岳ははっとなり自分が生きていることを確認した。
生きている?
それを確かめるために目を開けた。身体を横にそらそうとしてみる。
しかし身体が動かない。いや動けないのだ。
汗が手からじんわりと出てくる。
「・・・ここはどこだ?」
岳はもがいた。やはり動けない。
なぜ動かないか。すぐに分かった。
目を開けたその時からわかっていた。
「なんだよこれ・・・。」
手や足や腹がくさりで縛られている。
そっとあたりを見渡す。どうやら飛んでいるようだ。
窓のようなところから空が見える。暗い夜空だ。
壁を見る。白い。それは、触ってみると吸い込まれそうなくらい白かった。
目を再びつむった。
そして目を開けた。何か走る音が聞こえてくる。
すると白い壁の一部が開きある人物が走り寄ってきた。
「・・・学!」
学はぜえぜえと息を荒らしていた。
「岳・・・ここから はぁはぁ・・・逃げるぞ!!」
そういって学はカードキーのようなものをどこかに差し込んだ。
それと同時に鎖がほどけた。
これで動けるようになった岳は学にいろいろ聞きたいことがあった。
「学、どこだここ・・・」
岳が冷静なのに対し学はかなり焦っていた。
「いまはそれどころじゃない!話は逃げてからだ!ついてこい!!」
「わかった」
どうやら事態はかなり深刻なようだ。
岳は学のあとを追った。
これも夢?それとも・・・
そう考えているうちに学はいきなり立ち止まり振り返ってきた。
ものすごい疲れを感じるその姿はボロボロだった。
「ここなら今のところは安心だ。はぁはぁ」
そして学は深呼吸をして座り込んだ。
岳はその様子をみて一緒に座り込み質問をした。
「ここはどこなんだ?」
突然話しだした岳に少し驚いた様子でいたがすぐに元に戻りこう言った。
「ここは・・・俺にもわからない。だがこれだけはわかる。
あのままでいたら確実におまえは殺されていた。」
「え…?」
思わずそう言ってしまった。
「じゃあおまえはどうして助けも要らずに逃げてこれた?」
学はためらいもなくすべてを言った。
「俺は―――――――――――――――」
そのころある男は(サンプル01)を探していた。
「クソどこだ?どこだあーーー!!!!!!」
その男もまたかなり焦っていた。
とその時ケータイがなった。
そのケータイを即座にとるとすぐにでた。
「いたかああああああ!!!!!!!!」
相手はかなり冷静だ。
「いえ、それとサンプル02も脱走しました。今探しています。」
「・・・・・・・わかった。」
男はケータイをきると座り込んでしまった。
まずい・・・もしサンプル01がサンプル02に真実を話してしまったら計画は完全に失敗に終わる。それだけは阻止せねば!!
おそらくサンプル01はもう気づいているだろう・・・
この世界が――ではないことが・・・
男は立ち上がり再び走り探し出した。
計画を成功させる、それだけしか男の頭の中にはなかった。