12
「どういうことだよ・・・」
そいつらは不気味な笑みを浮かべた。
「オマエハワレワレノショクリョウダ」
「「ソウダソウダ」」
「・・・」
なにもいえなかった。
ただ一つだけわかったことがある。
それは
こいつらが敵だということだ。
しかも全員。
岳は学のことを思い出した。
「じ、じゃあ学はどうしたんだよ!!」
すぐに返事は返ってきた。
「タベタ」
岳は震えあがった。
恐怖よりも先に憎しみが出てきた。
「―――けんじゃねえ」
「キコエナイナ」
「ふざけんじゃねえ!!!!」
そいつらは笑った。笑いまくっていた。
「フザケテナドナイ。カトウセイブツハクワレル、ソレガアタリマエデハナイノカイ?」
下等生物?
その時岳はすべてがわかった。
学と俺が無視されていたことが。
それはこの世界では俺らは下等生物なのだ。
つまり豚や牛のようなものなのだ。この世界では。
岳の脳内で学が現れこう言った。
「実はこの世界少しおかしいんだ」
学の言っていたことは決して偽りでも何でもなかった。
真実だったのだ。
「っく・・・」
岳はこいつら、いやこの人間の形をした化物を憎しみのこもった眼で睨んだ。
「ククク、ニラマナイデクレナイカナ?モウスグクワレルトイウノニ」
そう化物は言ったが岳には聞こえなかった。
そしてにやけた。
「死ね」
そう言い残し岳は思いっきり赤間の姿をした化物にパンチをくらわした。
その途端にその化物は吹っ飛んだ。
「キサマ・・・」
他の化物の目が一斉に殺意の芽生えた目に変わった。
しかしそれに構わず岳は暴れる。
それに見かねて一人、いや一体の化物はナイフを持ちこちらに向けた。
「ソッチガシネ」
ブスリ
「うヴぁあああ・・・」
岳は背中に何か刺さったのを感じた。
それを抜き取る。
とたんに血がどくどくと出てきた。
その痛みにも耐え、岳は化物たちを睨みつけた。
ところがなぜか別の部位に痛みが走った。
それは右腕だった。
まさか・・・。
岳は右腕を見た。
そこにはあの十字架になるように浮き出ている黒点が並んでいた。
「うヴぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
その痛みは尋常だった。
「痛い!痛い!!痛いぃいいいいいいい!!!!!!」
岳はどさりと音をたて倒れた。
目の前にたくさんの化物が俺に近づいてきている。
「イマスグラクニシテアゲル・・・」
そう言ってナイフで―――――――――――――――――
モニタールームにいる男はずっとモニターを見ていた。
「ふふふ。異常が出始めたな…」
その時電話が鳴った。
その男は面倒臭そうにして受話器をとった。
「なんだ?」
「た、たいへんです!!」
「どうした?」
「サンプル01が逃走しました。」
「な、なんだって?それは本当か?」
「はい。ついさっき見たところいなくなっていました。」
「わかった。今すぐサンプル01を探し出せ。」
「かしこま・・・う、うあああああああああ!!!!」
その男は大声で怒鳴った。
「どうした!!!!!!」
ツーツーツー
しかしきれてしまった。
「チッ」
その男はすぐに準備をし終えるとあるところへ向かった。