プロローグ
目を開けた。身体を横にそらそうとする。
しかし身体が動かない。汗が手からじんわりと出てくる。
「・・・ここはどこだ?」
岳はもがいた。しかしまったく動けない。
なぜうごけないか。すぐにわかった。
目を開けたその時からわかっていた。
「なんだよこれ・・・。」
手や足や腹がくさりで縛られている。
そっと周りを見渡す。どうやら飛んでいるようだ。
窓のようなところから空が見える。暗い夜空だ。
壁を見る。白い。それは、触ってみると吸い込まれそうなくらい白かった。
目を再びつむった。岳は思い返した。
すべてはあの時からおかしかったのだ。―――――――――――――――――――――