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四話 謎の少女とお母さん?

「「お母さん?」」


天照とハルの二人があぜんとしている中、少女はハルに抱き着き、おなかあたりに頭を押し付けていた。


「お母さん、とてもいい匂い。」


「ハルさん、この子供、神です……」


「え? 神様? この子がですか?」


「はい、この子に神の力が流れていることがわかります。ですが……」


天照はそういいながら、少し困った顔をしている。


「ですが、本来であれば、神様というのは一旦動物の形を作り、長年、それも何千年という時間を過ごしてようやく人型になることができるのです。だから、人型で神が生まれるというのは本来あり得ないことなのです。それに、今はきれいに隠していますが、この子、狐の形をとっていますので、耳も尻尾もあります。ということは完全に進化した状態で生まれたというわけです。」


「動物の形をとる? でもそれなら私や天照は人の形をしていますが…… それは違うのですか?」


「はい、ハルさんや私は神という存在から生まれたわけではありませんから、私もハルさんも人間から神様になったので、通常のように動物からというのはないのです。」


ハルは少女の頭をなでながら、天照の話を聞いていた。 少女は気持ちがいいのか、笑顔で受け入れていた。


「それでは、この子は本来の形で生まれた、神様というわけですね。」


「はい、そういうわけです。」


天照がうなづくのを見ると、ハルは少女の体を抱き上げ、顔を合わせた。


「お母さん? どうしたの?」


少女はハルが頭をなでるのをやめたことが不思議だったのか、首をかしげていた。


「えっと、あなたの話を聞いてもいいですか?」


「いいよ、お母さんたちなら何でも答えてあげる。」


少女はそういって、ハルから離れると、ちょこんと座った。


「えっと、それじゃあ、あなたの名前を教えてもらっていいですか?」


「名前はないよ? 生まれたばっかりだから。 だから名前、付けてほしい。」


「そうですか、名前はじゃあ後で考えましょう。それではあなたはなぜ生まれたかわかりますか? 私たちは私の神器を作ろうとしていたのですが……」



「それならわかる。えっと、お母さんたちは神器を作ろうとしたときに、お互いの力を交わせたから、力がうまく共鳴して私が生まれた。つまり、お母さんたちのおかげ。」


少女の話を聞いて思い出したのか、ハルの顔が赤く染まった。


「あの、あんまり、そこら辺を掘り下げないでほしいのですが///」


「お母さん、きもちよさそうだった……あう、ごめんなさい。」


少女がそういうとハルは少女の頭をはたいた。


「掘り下げないでといったばかりですよ…… それで、お母さんというのは?」


「お母さんから生まれたから、お母さん、天照お姉ちゃんはお姉ちゃんだよ」


「わ、私がお姉ちゃんですか…… 良い、良いですね」


天照はものすごくいい笑顔でそう言った。一人だった自分に妹ができたことがうれしいのだろう。


「さて、あなたのことはなんとなくわかりました。それでは名前どうしますか?」


「そうですね…… 一回、本当の姿になってもらっていいですか?」


「うん、わかった」


天照のお願いに少女は頷いた。そして、少女はその場で一回転すると少女の姿が少し変わっていた。


今までの少女の姿はハルを少し幼くした感じであったが、それに付け加えて、頭の上には耳が生え、腰のところには尻尾が一本生えていた。


「これが私の本当の姿だよ。私は狐の力を持ってるよ?」


天照はその姿を見て、考えていた。


「ハルさん、この子の名前、どうしますか? できればかわいい名前を付けてあげたいのですが」


「そうですね、名前は大切です。いい名前を考えてあげましょう」


天照とハルの二人は頭を回転させて少女に似合う名前を考えていた。


「琥珀なんてどうですか?」


ハルはいい案が思いついたようで天照と少女に確認した。


「琥珀、良い名前です‼」


「琥珀、良い、私、それがいい。」


「それじゃあ、あなたの名前は琥珀です。これからよろしくお願いします。」


「琥珀ちゃん、これからよろしくお願いします。」


こうして、二人の力から生まれた少女は琥珀という名前をもらい、家族の仲間入りを果たした。


「さて、琥珀が生まれたことで私の神器はまだなのですがどうしましょう。」


ハルが天照に聞くと、天照は困った顔で説明した。


「それなのですが…… ちょっと困ったことになりまして。 ハルさんの神としての力が、琥珀ちゃんに半分以上流れてしまい、ハルさんの力がほとんどなくなってしまっているのです。」


「それはつまり……」


「はい、このままではハルさんの力が回復するまではほとんど人間と変わらないのです。」


「どうすれば力を回復させることができるのですか?」


「えっと、人間に自分という神の存在を信仰してもらえれば、力が回復します。それに、信仰する人間が多ければ多いほど、自分が持てる力の上限も増えていきます。」


「つまり、地球に行って、人間から信仰を集めて来いってわけですか?」


ハルはちょっと考えると天照に確認をとる。


「はい、その通りなのですが、ちょっと今の世界で信仰を集めることはとてもではありませんが、不可能に近いです。今の世界は科学が発達し、神に対する信仰はほとんどありません。なので、不可能に近いというわけです。」


「そうですか…… それはつまり、力をためることは……」


「いえ、ちょっと普通とは異なりますが、ある手段があります。ですが、その方法はハルさん、あなたにとって、とても大変な方法です。なので私はあまりお勧めはしません。なので、この手段を取るのであれば覚悟を決めてください。」


「その方法とは、いったい?」


「転生です…… 神として、異世界に降り、その世界で信仰を得るという手段です。」


「転生ですか…… それの何が危険なのですか?」


「転生をしてしまうと、信仰をため終わるまでここには戻ってこれません。そして、今のハルさんは人間とほぼ同じ状態です。身体的には人間よりも頑丈ですが、それでも致命傷を受けてしまえば危険な状態にはなってしまいます。向こうの世界で命を落としてしまえば、私も何が起こるかわかりません。それほど危険な方法です。それでもやりますか? 私としては、ハルさんがこんな風になったのはわたしのせいです。家族になってくれたハルさんに危険な目にあってほしくないのです。」


天照は真剣な顔つきで話を進めている。天照の顔や雰囲気を見れば、転生という方法がどれほど危険なものなのかはわかる。


「天照、あなたが私のことを心配してるのはわかりました。それに、転生という手段がとても危険ということも…… それでも私はあなたを助けるために神という存在になりました。そのために危険を冒さないといけないのであれば私はやります。だから、天照、あなたは私のことを信じていてくれませんか? 私は必ず、帰ってきます。それにあなたのお願いも果たします。恥ずかしいですけど……」


「わかりました…… 私はハルさんを信じます。でも無茶だけはしないでくださいね。」


天照はそういって、ハルの手を握った。すると、ハルの手の中には一つの首飾りが握られていた。


「ハルさん、これは私からの選別です。これは先ほど見せた、天照ノ涙(アマテラスウルティア)を小さくしたものです。これを持って行ってください。」


「ですが…… これを持って行ってしまうと、天照の神器が……」


「大丈夫です‼ 私、これでも強いですから‼ 神器なくても大丈夫ですよ‼ だから、持って行って下さい。」


天照は握りこぶしを作りながらハルに向かってそういった。


「わかりました。そういうのであればもらっていきます。」


ハルはそういい、「琥珀」と琥珀を呼んだ。


「琥珀、あなたは天照と一緒にいてください。 あなたも神です。神の仕事を天照に教えてもらいながら危ないことがあれば天照を、あなたのお姉ちゃんを守って下さい。 これは私からのお願いです」


「わかった。 私、お姉ちゃんしっかり守るよ。」


「その返事が聞けてうれしいです。 それでは天照、私を異世界に送ってください。」


「わかりました。何度も言うようですが無茶だけはしないでください。 帰ってくる時をいつまでも待ってます。」


天照はハルに抱き着き、ハルにそう言い、離れた。

天照が離れると琥珀もハルに抱き着いて別れを言った。


「お母さん、いつまでも待ってる、私、良い子で待ってるから。 行ってらっしゃい。」


「はい、行ってきます。」


ハルは琥珀の言葉を聞くと、琥珀をぎゅっと抱きしめ、そういった。


「ハルさん、準備ができました。」


天照がそう言い、天照の目の前には、魔法陣みたいなものが出現していた。


「これで、ハルさんを向こうの世界に降ろします。 ハルさん、この紙を持って行ってください。 信仰のため方などいろいろ書いてあります。」


「ありがとう、天照。」


「それでは、お気をつけて。」


天照がそういうと、ハルの視界は光に染まった。


作者の蒲公英です。

さて今回でハルは異世界に行くことになりました。

次回からはハルの異世界神様生活が始まります。お楽しみに。


それはそうと、今回名前が決まった琥珀ですが、名前を決めるのに一日ずっと考えてました。

琥珀のイラストは作者があまりにも絵が下手なためありませんが、自分が思っている中ではとてもお気に入りなキャラです。これから先の展開にもかかわってきますので覚えてもらえるとうれしいです。



次回予告 異世界に到着?です。次回も読んでもらえると嬉しいです。

長くなりましたが作者からでした

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