二話 神様になります。そして……
「な、なんてこと言うんですか‼ こ、子作りだなんて、おかしいですよ‼ そ、それに、私言っては何ですが、キスどころか、男性と手をつないだことすらないんですからね‼」
天照はおかしいですよ。急にお願いがあるというものだから、とても大切なことだと思い、しっかりと聞こうとした私がばかみたいです‼
ハルは荒ぶっている、それはもう、猛烈に。まあ、理由はわからんでもないが……
「は、ハルさん、か、勘違いをしています。た、確かに、私もおかしなことを言ったという自覚はありますが、ちょっと意味合いが違うんですよ‼」
天照はハルが想像したことに予想が付き、顔を赤く染めながらもハルの考えが勘違いであることを伝える。
「神様の子作りというのは自分が持っている力を種に流して種を芽吹かせるというほうがどちらかというと近いです。そ、その、確かにハルさんが思っているようなことでも子供は作れますが///」
「い、いいです。何も言わないでください。考えてはいけないことを考えた私が悪いんです。だからもう、何も言わないでください。」
二人はだまった。お互いの空気が落ち着くまで、今のふたりでは顔を合わせるだけで湯気が立ちそうだ。
しばらくして、二人は落ち着いたのか、お互いに深呼吸を一度して、再度話を始めた。
「そ、それで、天照がいう私が神様になるというのはどういうことですか? 私は人間なのですが神様になれるのでしょうか?」
「はい、ハルさんは人間で普通の手段では人間が神様という存在になることはできませんが、私の力をハルさんにつなげればそれが可能になります。」
「天照の力を私に移すってことですか?」
「大部分はその認識であっていますが、ちょっとだけ付け加えると、私の力の一部をハルさんに渡して、ハルさんの中にある神様の力を覚醒させるのです。」
「覚醒させるって私にそんな力があるようには思えないのですが……」
人間と神様の違いはとても大きいはずです。それに神様はもともと命や魂をつかさどる仕事をしていたと天照は言っていました。その段階で人間と神の違いがはっきりとしている気がしますがそこらへんはどうなるのでしょう。
「神様と人間はとてもではないですが、力の差がある気がするのですが、いくら、神様の力を使ったからといって人間から神になることなど可能なのでしょうか。」
ハルは自分が思ったことを天照に聞くと、天照はびっくりしたようにハルに言葉を返す。
「びっくりしました…… ハルさんって頭がよく回るんですね。」
ちょっと今の言葉にはイラっとしました。これは怒ってもいい案件ですよね?
「あ、いや、決してばかにしてるわけではないんですけど、私が言ったことは普通に考えれば信じられないことなのにハルさんはしっかりと考えて自分の中に落とし込もうとしてましたから。」
「それは、もう、しょうがないと思っているからです。私が死んだ事実はどう頑張っても変わりません。それに今、天照と話していること自体が信じられないことです。それなので、簡単に言えば、諦めました。」
だって、私がわがまま言っても事実は変わらないだろうし、それに天照を見てるとほっとけないってこんなことは言えませんが、悩むぐらいなら次のことを考えたほうが有意義です。
「ハルさんは強いんですね…… それで、どうですか? とても無茶なお願いだとわかっているのですが。」
ずるい、天照、それはとてもずるいです。神様とはいえ、私よりも少し下ぐらいの見た目で、上目遣いで涙目なんて、完全に断ったら私が悪者じゃないですか。
ハルは悟った…… ああ、私の人生はここで終わるんだな。そして、ここから神生が始まるんだなと。
「わかりました。わかりましたよ。そのお願い、引き受けますよ。ただ、困ったときは助けてくださいね。」
「ほんとですか‼ ありがとうございます‼」
天照は嬉しそうに、ハルの胸の中に飛び込んだ。 ハルは天照をやさしく抱きとめた。そして頭をなでていた。 なんだかんだと言いつつもその二人の姿はまるで仲の良い姉妹のようだ。
「さて、私は神様になるみたいですけど、いったい何をすればいいんですか?」
「え、えっと、わ、わたしと、」
天照の声がそこで切れた。と、言うよりも恥ずかしくてだんだんと言葉が小さくなっていった。
「えっと、聞こえなかったのでもう一度おねがいします。」
「だ、だから、私と、き、キスしてください」
この子の頭は大丈夫だろうか? そんなハルの声が聞こえてきそうなほど、ハルは無表情だった。
「頭、大丈夫ですか?」
言ってしまった。 ハルがそういうと、天照は顔を赤くし、腕を振りながら、説明していた。
「し、仕方がないんですよ‼ 神の力を誰かに渡すときはキスをするしか、方法がないんです‼」
「そ、それ以外に方法はないんですか‼ い、いくら何でも恥ずかしいです‼」
「あ、あるにはあります。ですが、ほ、本当にいいんですか? わ、私もはじめてなのでうまくできるかわかりませんけど……」
ああ、なんだろう、この子の言いたいことがすごく伝わってきます。初めてって絶対そういうことですよね‼そうですよね‼
「いいです。キスでお、お願いします。もう一個のほうはさすがにまずい気がするので」
なんだろ、目の前の天照からものすごく残念そうな雰囲気が伝わってくる…… それに、小声で何言ってるかあまりわかりませんが、ハルさんとなら……って聞こえた気が、え、天照ってそっちの子なのでしょうか?
「あ、あの、天照さん? い、一応、覚悟はできたので、す、済ませるのであれば、は、早く終わらせましょう」
「そ、そうですよね。お互い、恥ずかしいのは一緒です。それなら短いほうがいいですもんね」
それから二人の影は二つに重なり合った。ああ、なんだか空間全体が甘酸っぱい。
「こ、これで、ハルさんは神様になりました。 見てください、姿もよりきれいになりましたよ」
ハルは、天照がそういいながら持ってきた鏡をのぞき込み、息をのんだ。
「こ、これがわたしですか?」
鏡に映っていたのは、銀髪の髪が簪できれいにまとめられており、服装も着物に代わっていた。身長は少し伸びて、150cmぐらいまで伸びていた。胸当たりは、何も言わないでおこう。
「凄くきれいですよ‼ ハルさん‼」
「そうですね。まるで別人みたいです。それに、着物なんてあまり着たことなかったのですが、違和感なく動けるようです。」
「それはたぶんですが、ハルさんが動きやすいように最適化してるんだと思います。 それはそうと、ハルさん、なんだかとっても大人になりましたね。」
天照がそういうのも無理はない、人間時のハルは、美人ではあったが、どちらかと言えばかわいい系であったのだが、今のハルは、完全に美人って感じだ。だが、もとは子供っぽさがあったため、今も若干残っているがそこがまたいい。
「さてと、ハルさんは、神様になりました。つまり、名前を決めないといけません。どうしますか?」
名前ですか、それならば、考えがあります。なのでその考えを天照に伝えましょう。あとは、天照が受け入れてくれるかどうかですが。
「天照、私の名前ですが、月夜見にしたいと思います。」
「え、そ、それって……」
「そうです。ですが、その前に私のお願いを聞いてくれますか?」
「な、なんでしょうか?」
「私の名前は月夜見にします。それは日本神話になぞったものです。そこで、私のお願いなのですが、私と家族になりませんか? 天照」
どうだろう、ってこれって他から見ればただのプロポーズですよね‼ し、しくじりました…… もっとほかの言葉があっただろうに。
「か、家族ですか。私とハルさんが家族に…… いいです‼ なります‼ なりたいです‼」
「ほ、ほんとですか? やりました。これであなたと私は家族です。これでもう、あなたは一人じゃないですよ?」
ハルがそういうと、天照は、涙を流しながら笑った。その笑顔は今日起きた中で一番の表情だったといっても過言ではない。
えっと、次回予告、子供作っちゃいます。です
(書きたいシーンが書けれる喜び、とてもうれしい)
ですが、念を押させてもらいますね、決してえっちぃわけではないので、間違えないでくださいね。
あと、気が向いたらでいいので、ブクマや評価をお願いします。
(読んでくれてる人がいるんだな……と作者の元気につながりますので)
以上長くなりましたが作者からでした。
(よし、これから、例のシーンを書くぞ、フフフ……