一話、死にました。
「これは?どういうことですか?」
周りは真っ白い景色が広がっている中、二人の女性が言い争っていた。
一人は、髪は白く、体つきはすらっとしていて、身長は145cmぐらいだ。あと、どこがとは言わないが、とても小さい。
もう一人の少女は髪が赤く、体つきは白髪の少女と同じで、どこがとは言わないが、ぺったんこ。
身長も145cmぐらいだ。
「ま、まあ、落ち着いてください。」
「これが落ち着いてられますか‼ 急にこんな場所に連れてこられたと思えば、あなたは死にました。ってふざけてますか?ふざけてますよね‼ こんなことをされて怒らない人間や、落ち着ける人間はいないと思います‼もしいるのであれば、今すぐ‼ ここに連れてきなさい‼」
白髪の少女はそれはもう、怒り心頭だ。気のせいだと思いたいが、髪が少しばかりか逆立っているようにも見える。もう一人のほうは、その少女の怒りを収めようと、なんとか頑張っていた。
「ほ、ほら、お茶を用意しました。 ここはいったん落ち着いて、お茶でも飲みながら、話をしましょう‼」
赤髪の少女がそういうと、白髪の少女は、一回ため息をつくと、お茶を一口すすり、話を進めた。
「わかりました。私はまだ怒りでどうにかなりそうですが、これ以上怒ってても話が進まないので、いったん落ち着きます。」
「そ、そうよね、落ち着いて話をすることはとても大切ですよね‼」
赤髪の少女の少女はそれはもう、いかにも安心したといった顔で、胸に手を当て、息をついていた。
「はい、それはもうわかったのでもう一度、丁寧に‼ 説明してください」
「や、やっぱり、怒ってます?」
赤髪の女性が小声でそう聞くと、眼光が刃のように鋭く、少女を突き刺した。
その眼光に赤髪の少女はおびえたのか、体を震わせながら話を始めた。
「うぅ、怖い、あ、えっと、まずはあなたは死にました。」
「それはさっき聞きました。私が説明してほしいのはその先です。なぜ私は死んだんでしょうか。」
「えっと、それは……」
「どうしたんですか?答えられないんですか?」
「う、聞いても怒らないでもらえますか?」
「それは、もう、怒られることがわかってるっていい分ですか?」
白髪の少女は赤髪の少女の言葉にイラっと来たのか、オーラが見えそうなほど、怒っていた。
「まあ、いいでしょう、取り合えず話してください。怒るのはそれからです。」
「結局、怒るんだ…… い、いえ、なんでもありません‼ 話させていただきます‼ えっと、月詠ハルさんが亡くなったのは私のせいなんです……」
「それで?」
「えっと、私たちの存在はいわゆる、神様と言われる存在なんですけど、その神様があと私しかいなくってですね…… 人間たちの裏の存在をつかさどる仕事が回らなくなりました。」
「人間の裏の存在?」
「はい、人間の裏の存在とは人間の命、いわゆる魂のことを指します。」
それから、神様の話は長く、一つ一つをハルにわかりやすく説明していた。
「えっと、つまり、あなたというよりも神様という存在が人間の考えで生まれた存在で、その神様たちは人間には手の及ばない、裏の仕事、魂の管理を分担して行っていたが、人間が神様という存在をだんだんと信じなくなっていき、神様自体の存在を保つことが難しくなっていき、最終的にあなたという神様しかおらず、一人で仕事が回せなくなっていき、ついに、裏の仕事で失敗が出たと、それが私という人間の死だったっていうわけですね」
「はい、その通りです。あの、本当にごめんなさい、謝って許されるわけではありませんが、もう一度、謝罪させてください。」
そういって赤髪の少女はハルに向かって、土下座をする勢いで頭を下げた。
ハルは少し戸惑いながら、神様の頭を撫でた。
「確かにいつの間にか、死んでいて、訳も分からずにこんな場所に連れてこられたことにはびっくりしました。それに間違いで死んだとあれば怒りたくもなります。」
ハルがそういうと赤髪の少女は体をびくっと震わせ、涙目でハルの顔をみた。
「ですが、話を聞いていた中で、あなたがすべて悪いとは私は思いません。もともとは、人間がするはずだった仕事を勝手に任され、困ったときにしか、自分たちを信用しない、ろくでもない人間たちにいいように扱われたあなたたち。私が思うのは、それでいて消えてしまいながらも最後まで仕事を投げ出さなかったあなたたちはすごいと思います。 私が言えることはそれぐらいです。」
ハルはそういって、赤髪の少女の頭を撫でながら、人間たちの仕事を押し付けてごめんなさい、私一人で言えるわけではないですけど、人間たちの代わりに謝らせてください。と少女に向かって一言言った。
「いえ、ハルさんが悪いわけではありませんし、でもちょっとうれしかったです」
「何がですか?」
「私たちはその存在上、人間たちに存在を認識してもらえません。だから、自分たちがしてきたことは、ただの自己満足でしか、ありませんでした。ですが、ハルさんという人に、私たちがしてきたことを認めてもらえて、とっても嬉しかったんです。」
ハルにそういう赤髪の少女の表情は笑顔であった。また、それをみたハルの表情も笑顔だった。
そして二人は、いろいろ話をし始めた。
神様と言われる存在がどうして生まれたか、人間と神様の関係性、人間の持っている本来の力などそれはもう長い時間話した。
「あなたと話していろいろなことがわかりました。それで…… 聞くのが遅くなりましたがあなたの名前を聞いてもいいですか?」
「あ‼ 私の名前言ってませんでした‼ 私の名前は天照です。どうぞよろしくお願いいたします。」
「天照ですか…… 偶然って怖いですね」
「偶然ですか?」
「はい、あなたの名前、天照と私の苗字、月詠というのは、日本神話に出てくる、三人の兄弟の神の名前の中にいる二人と一緒の名前なんです」
「そうなんですか‼ 私は気が付いた時からこの名前でしたが、そう聞くとなんだがすごく不思議ですね‼」
「本当ですね。そういえば私が死んだ理由はわかりましたが、この後私はどうなるんですか。まさかこのままというわけではないですよね?」
ハルは冷や汗を流しながら天照に自分の行く末をきいた。
「いえ、そんなことはありません。本来ならすぐに転生させて次の人生に送り出すのですが、えっと、ハルさんに私からのお願いがあってですね。」
「お願い……ですか?」
「はい、月詠ハルさん、神様になってもらえませんか‼」
無音、そう言えるほど二人の空気は息をしていなかった。
「はい?」
ハルから出た言葉もたった二文字だけだった。
「えっと、このお願いの意味なのですが、神様が私しか存在しないことは説明しましたよね。」
ハルはうなづく。
「そこで、ハルさんに神様になってもらい、新たに神様を増やしてもらいたいのです。」
「神様を増やす?」
「はい‼ 簡単に言うと子作りですね‼」
ハルは思い切り天照の頭をはたいた。
そのハルの顔は真っ赤だったとさ。
ま、まだそういうシーンは出ませんからね?
(書きたくて仕方がないなんて言えない…… 言ってしまえば作者は変態だと思われるから)
だがもうしばらく待って欲しい、もう何話かで初めてをカクので……
以上作者でした!!