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エピローグ・帰還への道?

【見慣れぬ異世界編終了】です。


次章【見慣れた遊戯世界編】は準備中です。一ヶ月位で投稿再開したいですが未定です。


明日は異世界編のキャラクター紹介を更新予定

 太陽が昇ると、煉獄の炎によって焼き尽くされた灰に染まった森の一角に緑が戻り始める。


 一キロ四方に渡り、燃やされたドーナツ型の灰色に染まる焼け跡の中央部分部分。たまたま攻撃に巻き込まれず運よく残っていた木が、早送りのような尋常ならざるスピードでライバルが居なくなった空白を占拠してしまおうと急成長する。


 逞し過ぎるその生命力はその木だけに宿るのでは無い。


 幾ら生命力に溢れた再生木でも炭や灰になってしまえば再生できないというのが燃料として利用し、輸出しているマリハジの常識だったが、それは不死の大森林(イモータルフォレスト)の外の場合だ。

 同族の特有のマナ(MP)で満たされた森の敷地内であれば灰の中からでも再生木は甦ることができる。


 灰から木々が芽吹き、己の領域をこれ以上奪わせないためにこちらも尋常ならざるスピードで急成長するが、努力は空しく燃やされずに残ったというアドバンテージの差は大きく差をつけられてしまった。

 昨日よりも五倍の大きさにまで成長した巨木が地上に露出させた逞しい根を周囲に自慢するように伸ばし、場所を取られた木々が逞しい根の間から歪つに幹を成長させ、忌々しげに中央の木の根を圧迫している。


 そんな不死の大森林(イモータルフォレスト)の再生木達の熾烈な縄張り争いが行われる森の地下では、ゲルドアルドが戦利品を手に取ってある実験を行っていた。


 推定生産特化の中二病の同類ダークネスホーリーマスターの作品の一つ、赤い刃のデミゴッズの長剣ホーリーブラッディアを真剣な表情……蜂の巣の身体のゲルドアルドの表情は動かないが、手に持った。


 手に持っただけで装備は出来ていない。


 その証拠にマナ(MP)を流すと黒い炎を赤い刃に纏う筈が手からホーリーブラッディアに拒絶されるように手から弾かれる。ちょっと痛い。

 ホーリーブラッディアが今だ拡大中のゲルドアルドの蜂の巣奥深くの自室の床に落ちる。


 ステータスはゲルドアルドから見れば、遥かに格下の煉獄の炎を上回っている筈なのだがやはり、ゲームのシステムが生きている。いや、ゲルドアルドがゲームのシステムに捕われている。


「この世界に住む住人の特権みたいな物なのだろうか?」


 全く動かない顔で、釈然としない表情をしているつもりのゲルドアルドの蜂蜜色の硬質でレモン型の目がゆったりと点滅する。

 ゲルドアルドよりも格下でステータスが劣る煉獄の炎達が装備できたのだ、ゲルドアルドがデミゴッズの武器や鎧を装備出来るかもしれない。装備できるデミゴッズのアイテムが増えればゲルドアルドの抱える不安を大幅に解消出来ると、手にしたときはルンルン気分だったゲルドアルドだが、期待は裏切られた。


 溜息を吐いて肩を落とす……肺がないので動作だけだ。


 肩なら幾らでも落とせる。ゲルドアルドの関節は蜂蜜で繋がっているので物理的にポロッと。なんの意味も無いが。


 一晩掛けてじっくり鑑定魔法が込められた使い捨ての……心配性なゲルアルドでも躊躇無く使える程に沢山有るマジックアイテムで、煉獄の炎から手に入れたデミゴッズのマジックアイテムの鑑定を行った結果、非常にどうでもいいことが判明した。


 ゲームにおいてデミゴッズアイテムの魅力は、他の位階では再現できない、武具というよりは兵器と言った方が正しい圧倒的性能である。

 素の灼蜜衛蜂レッドハニービーガーディアンと一生懸命戦った煉獄の炎を見ていてゲルドアルドは疑問に思った「間違いなく一級品。しかし、デミゴッズのアイテムだと考えると持ち主のレベル不足を差し引いても微妙な性能」だと。

 持ち主のレベルが低すぎるので何かしらペナルティが発生しているのかとゲルドアルドは考えていたが、実際調べると「スキルで発生するどのような魔法や衝撃も全て黒い炎に変換する」というギミックにかなり性能のリソースを食われていたのだ。


 ゲルドアルドは呆れたが、それでもプレイヤーが作れる最高位のデミゴッズの性能を最低限保っている。己の性癖と実用性を両立するダークネスホーリーマスターの脅威の技術力である。


 ネタっぽい黒い炎の偽装エフェクトは、視覚に頼る主観視点のVRゲームのアニメートアドベンチャーでも、ここでも有用。

 特に炎以外の属性の黒炎で攻撃しても、痛みは「炎で焼かれている」という五感を騙す高度な幻術が純物理前衛でも発動可能なのは素晴らしい。


 同じ黒い炎の偽装エフェクトを出せる装備装着者に限定されるが、フレンドリーファイヤが無効化されるのも普通に凄い。


 単純な武器や鎧としては同じデミゴッズのアイテムに劣るが、特殊性を含めれば格に見合った性能をちゃんと保有していると言える。


 強大モンスターを相手にするのではなく、対人戦に特化している装備だとゲルドアルドは思った。


 ゲルドアルドは目を閉じる……代わりに硬質な蜂蜜色の瞳から光を消して、考える。

 そんな性能の武器をあの程度のステータスの人物達が保有出来ると言うことは、あの実力でもデミゴッズのアイテムを他者に奪われず守りきれるということ。

 各国に喧嘩を売り歩く、この世界で一番危ない橋を渡っていると思われる特殊部隊の煉獄の炎は、緊急脱出用の転移のデミゴッズアイテムを持ち歩き、死んだ仲間の死体とマジックアイテムを回収していた。


 手慣れていたし対処法が確立されている。幾度も同じ事をやっているか同類がマニュアルでも作っているのかもしれない。


 素の力の灼蜜衛蜂レッドハニービーガーディアンでは複数のデミゴッズで武装したあの三人に勝てなかったが、召喚と作成が出来るようになった蜂蜜精霊(ハニーエレメンタル)の蘇生スキルがちゃんと機能することが確認が出来た。

 ゲルドアルドの常時発動している配下の蜂や蜜蜂型モンスターを強化するスキルの援護を受けた灼蜜衛蜂レッドハニービーガーディアンはなんの苦もなくあの三人を倒した。


 ゲルドアルドの蜂の巣はこの世界で最強だと思える事実ばかりだ。


 しかし、不安は完全に晴れない。思っていた以上に同類の実力が高い事を同時に確認してしまったからだ。


 ダークネスホーリーマスターがこだわりを捨てて作成したデミゴッズが複数あれば、ゲルドアルドから見たら雑魚にしか思えない煉獄の炎でも蜂の巣を脅かす脅威となりうる。そして思い込みで無自覚に無視していた問題を自覚してしまった。




 ダークネスホーリーマスターの存命の可能性である。


 魔人族はゲームの設定上では殺されない限り死なない寿命の無い種族だ。普人族は強い者なら百五十年前後生きるとゲームでは設定されていた。だから六百年前にこの暫定異世界にやってきたと思われるダークネスホーリーマスターはもう死んでいると、ゲルドアルドは思い込んでいたが早計だったかもしれない。


 それは非常にまずいことだ、この世界で六百年以上前から存在している生産特化のプレイヤー配下の煉獄の炎を殲滅してしまった。六百年の研鑽を積んだ職人が頂点に座す国家に真っ正面から喧嘩を売ってしまったと言える。


 ゲルドアルドは頭を抱えた。そして腰から上が高速で駒のように横回転しはじめた。頭からベールか長髪のように流れる蜂蜜が、遠心力に負けて周囲に飛び散る。それをたまたま見ていた指先サイズの大蜜劣蜂(プチハニービー)灼蜜劣蜂(プチレッドハニービー)達が「あー!?勿体ない!」という風に素早く壁に開いた専用の通路から飛び出してきた。

 飛び散ったゲルドアルドの身体から無限に生成されている最高級の蜂蜜を舐め集めていく。


「おぉぉぉぉぉぉぉぉー……ヤバいヤバすぎる!!

 集めた情報だと直接襲撃してこれるプレイスタイルじゃなさそうだけど、生産と戦闘、両方を極めた変態プレイヤーだったらどうしよう!?」


「死ぬの?ボク死んじゃうの!?」と混乱の極みにあり回転速度を上げていく自分達の、主人にして棲みかである蜂の巣そのものであるゲルドアルドを無視して蜜蜂達は「うんめぇうんめぇ」と蜂蜜を舐め集める。

 祭りを嗅ぎ付けた、非番の罠蜜劣蜂プチブラックハニービーハニービーがまでもがやって来た。小さき者達の熾烈な蜂蜜争奪戦がゲルドアルドの自室で発生した。


 不死の大森林(イモータルフォレスト)と同サイズまで拡大したゲルドアルドの蜂の巣は現在上層の幾らか潰し、代わりに土を敷き詰めながら下に向かって拡張している。


 巣は広く、常に拡張されているが、人材……蜂材は充実しているので蜂達の自由時間は以外と多い。元々肉食のスズメバチ等に群がって体温で敵を撃退する蜜蜂がモデルのモンスター故に、大蜜蜂種は炎熱への耐性と熱を放射する攻撃スキルを備えている。

 その大蜜蜂種の火属性が強化された灼蜜蜂達が争うことで、急激に部屋の温度が上昇しはじめていた。


 温度を下げようと天井や、床下近くの壁の通風孔で働く空調担当の現在仕事中の指先サイズの無数の灼蜜劣蜂(プチレッドハニービー)達が一斉にスキルで熱を自分達が潜む通風孔に誘導。更に翅を高速で動かして部屋から余分な熱を逃がし始める。


 一糸乱れぬ動きで、その動きをリレーの要領で繰り返すことで効率的に熱の移動を行う。羽音と通風孔を通る空気の音が合体し、ブゴォブン!ブゴォブン!奇妙な音が鳴り響く。




 部屋の壁に設置されていたゲルドアルドの目線の高さに位置に作られた何も置かれていない棚に、突然指先サイズの蜜蜂が一匹出現した。


 その蜜蜂は上半身を高速で回転させるゲルドアルドを暫く見つめた後、素早く身構える。回転を見極めた指先サイズの赤い蜂灼蜜劣蜂(プチレッドハニービー)がお尻から火を噴き、その勢いで高速回転するゲルドアルドの顔面に飛びついた。


「んん!え、何?」


 顔面に飛びつかれ、至近距離で交信用のフェロモンで呼びかけられたゲルドアルドは正気に戻った。暇な蜜蜂達の祭は継続中だ。


 飛んできたのはゲルドアルドの自室の近くに複数存在する副司令室で働く灼蜜劣蜂(プチレッドハニービー)だった。


 ゲルドアルドの代わりにエリアや仕事毎に配下のモンスターを管理している大蜜令蜂(ハニービーリーダー)の護衛でありゲルドアルドの自室にやって来て報告しにくる等の雑務を担当している。部屋に突然現れたのは巣の副司令室に勤める、転移系の魔法スキルを持った大蜜送蜂(ハニービーポーター)の力だ。


 範囲は巣の周辺や内部のみだが限定されているが為に強力。煉獄の炎が持っていたデミゴッズの転移アイテムの発動を妨害したのは大蜜送蜂(ハニービーポーター)である。

 転移できるのはゲルドアルドや、ゲルドアルド配下の蜜蜂や生産アイテムである蜂蜜だ。他にもゲルドアルドのスキルで作成された蜂の巣から蜂の巣へと転移が可能。


 副司令室所属の灼蜜劣蜂(プチレッドハニービー)の報告を受けたゲルドアルドは意味不明な報告に困惑し、蜂蜜色の硬質でレモン型の瞳を激しく明滅させる。


「は……?見知らぬボクの巣があるけどどうしますか???」


 意味不明な報告内容にワザワザ必要も無いのに口に出してしまった。


 ゲルドアルドの瞳の明滅は益々激しくなる。

監督ブレッド・レナード

映画【マンシング】


沼の石油製油所を巡るトラブルが頻発する街に沼の精霊の怒りが怪物マンシングとなって襲い掛かる!という感じの映画です。

なんとマーベルプレゼンツ。これマーベル映画なんです、スパイダーマンとかアイアンマンとかの。人間辞めた系植物モンスター型スピリチュアルヒーローのマンシングさんです。スワンプシングさんはDCです。

つまりアメコミヒーローの実写映画の一つなのですが、中身は聖なる沼を汚す周囲の人間に無差別に襲い掛かかって来る植物系モンスターパニック。ヒーロー性の欠片くらいはあるかなって映画です。


この映画はビジュアル面が凄く素晴らしい。

沼地や製油所、マンシングに殺されて枝やら根やら身体から生えさせられた死体のクオリティや、フルCGのめちゃくちゃカッコイイマンシングと役者の違和感の無い絡みなどとても良い作品。


一点不満なのが素晴らしいビジュアルの植物系モンスターマンシングさんの出番が少ないこと。このジャンルによくあるモンスターをチラ見せタイプなことですね。

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