黒曜の怪魚
三章の本編終了です。
尻尾と一言で言ってもその種類は千差万別。
最終的にフィクションの狸や狸型モンスターのような、丸太の如く先が太くて丸い、抱きまくらのようなフワフワの尻尾が採用されたが、決まるまで生け贄用の塑像欄像スライムは全滅。ディエロとディレッドのバルディッシュⅣ型ゴーレムを使用した戦闘訓練が五回も決着がついてしまった。
外からは何も見えず、中からは外が見えるようになっているマジックミラー式のドーム。ここに来たのは朝だったが、ここから見える空は日が傾き赤く夕焼けが顔を見せ始めている。
今、二人を労うためにゲルドアルドが出した、至高の蜂蜜と厳選された熟成花粉同士を合わせたミックス花粉と至高の蜂蜜で練って作成された蜂パンを食べながら休憩している。他のハニービーの分もある。
食事をして、ハニービーワーカーとハニーエレメンタルに戦闘で荒れた毛並みを整えて貰っているディエロとディレッド。訓練の疲れと、ワーカーやエレメンタルの毛繕いが効いたのか二人は眠そうだ。
バルディッシュ型ゴーレムは邪魔にならない位置で二体並んで直立姿勢で静止している。大きな破損は無いが細かい傷で一杯だ。このくらいなら周囲のMPを吸収して勝手に直るので気にせず放置する。
「え、これに顔を付けるのですか?」
「うむ」
ポリポリとゲルドアルドが用意した蜂パンをかじるティータには、まだこの毛玉に要求があるらしい。
チラリとゲルドアルドが太い尻尾がついた蠢く毛玉を見る。
彼(?)は先ほどまでディエロとディレッドの二人の手足として戦い、現在休憩中でポリポリと顎で蜂パンを食べているニトロハニービーデストロイヤー達に囲まれ、震えていた。
興味深そうにデストロイヤー達は<ニトロワックスミサイル><ニトロワックスブロワー><ニトロワックスポンプ>等、主に攻撃に使われる長く肉厚な虫翅で毛玉を突いている。戦車砲を突きつけられているのと同じだが、高度な思考や認識能力を毛玉にはまだ付与していない。
恐怖に震えているように見えるのはゲルドアルドの気のせいである。
「やはり、ここまで来るとこの愛らしい見た目に相応しい愛らしい顔が欲しいのじゃ」
「顔ねぇ」とゲルドアルドは呟く。
尻尾に体積が取られたがまだまだ余裕はある。蠢く毛玉+尻尾付きを愛らしいと言われても首を傾げるが、断る理由は無いので取り合えず尻尾とは対角線上の位置に顔の造形をゲルドアルドは始めたが……。
「なんでゴリラなのじゃ……」
「おっと」
今だ喧しいMP増殖炉の騒音を響かせながらドーム内を駆け回っているメカゴリラ達……それを必死に意識から外していたのが逆に仇となったのか、ゲルドアルドの目の前には、ギラギラとした趣味の悪い金色に輝く巨大なゴリラヘッド毛玉饅頭が誕生していた。
しかも歯を剥きだし、殺意が滲む憤怒の表情である。
この金色にギラギラと輝くゴリラは言っている「おまえを殺す!」と。
「可愛くないのじゃ!!」
当然ながらやり直しをティータに要求されるゲルドアルド。
「タイタニス王妃殿下なら気に入るんじゃないですか?」とゲルドアルドは、ゴルドアサイラムの彫像や彫刻を思い出しながら伝えてみる。ゴルドアサイラムを這いずる姿を彼は想像するが恐ろしいことに全く違和感が無かった。
しかし「これが家の中をうろつくのは流石に許容できん」言われてしまう。
確かにこれがプルプル、グニャグニャと蠢いて床をはいずり回る姿はゴルドアサイラムに似合ってはいる。しかしゲルドアルドがこれと蜂の巣の中で出会えば反射的に魔法で粉砕するだろう。
ゲルドアルドは素直に造形をやり直すことにした。
あれじゃない。これじゃないと試行錯誤。結局無難に猫の顔を造形することになった。ついでに短く太い肉球付きの足も付ける。
「ここまで来ると素直に可愛いと思えますね」
饅頭型の正面に大きな耳瞼を閉じる首の無い猫の顔が突き出し。四本の短く太い足に黒い肉球。後ろには先に行くにつれて太く丸くなる大きな尻尾。顔が付いたので毛も生えかたを考えて植毛し直している。
サービスで「ぶみゃー」と鳴ける発生器官や、呼吸の真似事をしてスーハーと膨らむ機能もゲルドアルドは付けてあげた。
「ぶみゃー」
「可愛いぞ、良い感じじゃ」
そう言ってティータは「ぶみゃー」と鳴く猫のような毛玉キメラに蜂パンを与える。
毛玉キメラは大きな、それこそティータを丸呑みにできそうな大きな口を開き、体毛と同じくギラギラと輝く金色の牙が生えた顎で噛み砕いて蜂パンを飲み込んだ。口内は肉球と同じく真っ黒だ。
「付けろと言われたので付けましたけど、牙とか要りますか?」
スライムに牙を移植したキメラを作成するのは珍しくない。溶解吸収能力の低い内は、少しの手間でレベルが低い状態でも牙による瞬間火力の上昇。噛み砕いて溶解吸収の効率化。少しの手間で低レベルでも戦闘力が上がる。
しかし毛玉キメラは愛玩用。牙は勿論だが、ニトロハニービーの攻撃スキル等この毛玉キメラには必要無いだろう。
ゲルドアルドは蜂関係の錬金術なら万能。大した手間ではないので言われた通り付けたが何と戦わせる気なのか。
「母上の事を気に入らない連中がそれなりにおるのじゃ。もしもの時にコヤツも身を守るくらいできねばな」
それを聞いたゲルドアルドは「君の職場は中々ハードだなぁ」と独白して毛玉キメラを撫でる。自分で作った物だが自画自賛出来る良い感触だった。
<キメラ作成>のレシピアーカイブに追加されているので後で自分用に作成しようとゲルドアルド思った。
タイタニスは、毒を盛られようがレガクロスで襲撃されようが平気なので巻き添えでうっかり毛玉キメラの自衛のためだ。
『なんか可愛いの作ってんなゲルさん』
近づいて来るMP増殖炉の騒音。床を揺らす重々しい足音。機体の拡声器から聞こえる声は記憶が確かならメカゴリラでゴリラブラスター!と叫んで狂笑していた機体だ。
それがゆっくりと近づいて来ている。
ゲルドアルドとレディパール達がたむろしている場所の数メートル手前でメカゴリラは歩みを止める。カシュン!という空気が抜ける音。
空気圧縮で開閉する機体の立派な金属の胸板左右に開き。開いた胸板から人が出てくる。
「おーこえーから睨まないで蜜蜂ちゃん達。俺ちゃん無力だから、何か乗り物乗ってないとステータス補正一切ねーから」
操縦席に収まっていたのは女性だ。
顔は軍帽と顔全体を覆うマスクを装備している。身体の線にフィットしている艶やかに光を反射するなめし革質感のダークオレンジの軍服が、女性らしい体型に膨らみ主張している。
軍服はゲシュタルトでギルメンに配布される操縦系スキルにボーナスや身体補正が入るマジックアイテム【ソルダートヴァッフェ七号】。
肩や肘、腰や膝等、身体の各所にある丸い金属パーツは兵装や強化外骨格等の各種アタッチメントの装着口だ。
被っている軍服とセットの軍帽に顔を覆っていた暗視やガスフィルター機能が満載のマスクが格納され、彼女の顔があらわになった。
整った顔立ちに黒髪のおかっぱ。茶色の瞳に白い肌。唇には紅を引いている。
言動があれだが、外見だけは和服が似合いそうな二十代後半の大和撫子だ。姿勢が良いので軍服も似合っていた。
言動と口調がその全てを台なしにしているが。
彼女は操縦席から床に飛び降りる。結構な高さがあったが、馴れと軍服の性能で難無く着地。金属の装甲を全面に貼付けられているロングブーツで床を鳴らしながら軽口を叩いて歩いて来る。
武器である翅を向けるニトロハニービーデストロイヤーやレッドハニービーガーディアン達に前にして、気負った様子もなく両手を上げた。
「えー【メックマン】さんだったの、ゴリラブラスターとか言って狂ったように笑ってたの」
ゲルドアルドは近づいて来る女性に話しかけながら、デストロイヤーやガーディアンに不可視の繋がりと交信フェロモンを通じて下がるように命じる。
「姫様ちわーっす」と王族に対して軽すぎる挨拶する彼女の名はメックマン。種族は普人。異能は【乗りこなしている乗り物を整備、改造できる技能を身につける】とゲルドアルドは聞いている。ゲシュタルトレガクロス操縦ランキング二位の人だ。
プレイヤーは現実で王族とか無縁。更にゲームだと思っているので、多少敬語を使うくらいで割と対応が雑だが、彼女はその辺取り分けて雑で軽い。
何故にレガクロス操縦ランキングトップ三。バルディッシュⅣをカスタマイズした専用機を所有している内、二人も揃ってゴリラになっているのかゲルドアルド頭が痛い。
まさか一位のヤキブタも居るのかと、思わずゲルドアルドは周囲を見回す。苔に覆われた機体を操るハンモウしかゲルドアルドには区別できなかった。
彼は動きだけで機体の操縦者を言い当てるという、高度な技能を持ち合わせていない。誰が乗っているのかサッパリだ。
操縦、騎乗、操作ランキングに入ってる人は皆出来るという。ゲルドアルドは信じられない。
機体を弄っている人も、部品等の摩耗で誰が操縦しているかわかると聞くのでゲルドアルドは驚くばかりだ。
「ゲルさーんこのメルトキャットちゃん、俺ちゃんも触っていいかー」
「メックマンさん、これはティータ姫殿下に頼まれて作成したので、姫殿下に聞いてください」
「姫さーまー俺ちゃんも触りたーいぜー」
ピョンピョンその場で跳ね、メックマンがメルトキャット呼ぶ毛玉キメラの上で踏ん反り返りるティータに触れる許可を求める。
「うむ、よかろう」
厳かにティータが許可を出す。可愛らしい。
許可を得た途端、「やっふぅぅぅぅぅぅ!」と奇声を上げながら毛玉キメラに突進したメックマンは、毛玉キメラの弾力に跳ね返されて吹っ飛ぶ。更に飛んだ先に居たレッドハニービーガーディアンの大きなフワフワの体毛に包まれている腹部に打ち返される。
グルリとその場で回転し、遠心力を得た大きく丸いガーディアンの腹部。見た目よりも軽いがガーディアンの高い身体能力で中々の勢いだ。
「ぐえー!」と見た目だけは清楚に見えていた大和撫子顔を歪め、汚い悲鳴を上げるメックマン。毛玉キメラの顔の前に無様に彼女は墜落する。
「ぐふぅ!」
一体何をしているんだろうかこの人……と呆れたゲルドアルドの視線の先で「お、俺ちゃんは不死身の女……」とよくわからないがプレイヤー的な意味では合っている台詞を吐く。
ソルダートヴァッフェ七号の性能もあってあまりダメージは受けてないが衝撃で呻くメックマン。
彼女はゲルドアルドと違って五感が制限されている普通のプレイヤー。痛いという感覚は無くとも、ダメージを受けた場所には痛みの代わりに言語化できない、ダメージ相応の強烈な違和感が発生する。
毛玉キメラが四つん這いでプルプルとしているメックマンに頭にプニッとした大きな肉球の前足を置いた。ティータが毛玉キメラに命令して慰めている。
「メルトキャットちゃん……!」
メックマンは感動に目を潤ませ、自分の顔より巨大な猫足に飛びつく。柔らかい肉球が、彼女の見た目だけは清楚な顔を歪ませた。外観も気にせずグニグニと肉球に顔を押し付ける。
「ふぅぅぅぅ肉球やっべぇぇぇ!」
その様子にゲルドアルドが更に呆れを深くしているその時。
ド……と僅かにほんの僅かに、ドームに届いた音があった。
それは爆発音だ。ゲルドアルドもティータもメックマンも、ドーム内に居た誰もがMP増殖炉やメカゴリラの動作音に紛れて聞き逃したその音。
爆発音は自体は珍しくない。モンスターが棲む街の外では魔法によって日常的に発生している音だ。ここ数日で洒落にならない爆発事故を複数発生させているゲシュタルトでは特筆するほどの音でも規模じゃない。
問題なのはそれが複数箇所。爆発音が発生する可能性が限りなく低い住人用の住宅街からも聞こえたことだった。
爆発音がドームに届いて数秒。ビクンッとゲルドアルドが肩を震わす。
同時にレディパールの体毛がブワリと逆立ち、苛立ったように顎を打ち鳴らす。
眠っていたディエロとディレッドも飛び起きた。他のハニービー達も顎を打ち鳴らし殺気が混じる警戒態勢。
「巣が……襲われている!?」
ゲルドアルドに不可視繋がり通じて配下のハニービーから届いたのは、ここアニメートアドベンチャーにある一番大きな巣。
彼とレディパールの自室がある場所からの緊急事態を告げる知らせだった。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!
事態が急転する。ドームに備付けられたスピーカーから大音量で流れはじめるサイレン。それは一度も使われたことが無い。定期メンテナンスの動作テストでしか流れたことが無い種類だった。
「……うっそだぁ!?敵襲警報?ゲシュタルトにモンスター以外の?俺ちゃんそんな嘘にゃあ騙されねーぜ?」
毛玉キメラのように緩みきった顔で肉球を堪能していたメックマンの顔が、軍帽から展開したマスクで隠される。
言葉とは裏腹に腰の備付けられたゲシュタルト標準装備の鉈と銃が一体化した大型銃ハチェットガン取を軍服の拡張空間から取り出して彼女は構え、周囲を警戒する。
周囲を警戒しながら、急いで操縦席を剥き出しにしたままのメカゴリラに向かってメックマンは走り出すが……。
視界の広いレディパールと他のハニービー達が一斉に上を向いた。その動きに気づいたメックマンも足を止めて上を見る。
レディパールの動きの釣られてゲルドアルドもドームの天井を見た。
そこには黒い翼の生えた巨人。夕焼けに染まる空を背景に、ドーム天井に向かって落下して来る姿がゲルドアルドの蜜色の結晶質の目に映り込む。
ティータも気づき厳しい目で天井を見た。
「うわ、目が合った……」
怪しく光る黒い巨人とゲルドアルドの視線が交錯する。その視線からは自分に対する確かな敵意をゲルドアルドは感じ取る。
ドォン!!
ゲルドアルドの呟きが爆発で掻き消される。
ドーム天井砕け散る。三機の翼の生えた黒いレガクロスが瓦礫と煙り纏い、ゲルドアルドに向かって落下して来た。
◆
王都より東。技堤要塞ブラックワン。
微小魔法機械……いわゆるナノマシンの集合体であるテックマウンテン。古代文明の残火と言われる銀色の山。
アイゼルフ王国にレガクロス技術の源流であるオリジンを始めとした、様々な技術を齎したこの山は、国よって技堤要塞と呼ばれる専用要塞建設され、銀と一から始まるナンバーを冠する名前を与えられ厳重に管理されている。
一つの例外を除いてテックマウンテンは銀色だ。
その唯一の例外。近年、突如王都近郊に出現した異形のオリジン【オブシディウス】が発見された黒いテックマウンテン。
様々な有益な技術が発見者のグナローク・ロトル・アイゼルフ第三王子殿下によって齎されたが、ギガルス・ジャイガン・アイゼルフ現王陛下と意思ある王権玉座レガクロスレガリアは頑なにその技術を拒んだ。
その理由は凡庸な才能の第三王子とその下に付けられた技官や文官の豹変である。オブシディウスに触れてから第三王子の元より高かった自尊心が異常な高まり見せた。
彼の部下達も凡庸な王子利用しようとした者、王の命令で付いていた者、見境無くオブシディウスと第三王子に関わった人物は、極度な自尊心の高まりに情緒が不安定になっていった。
それは、まるで第三王子が彼らに乗り移ったかのように見えた。
他の技堤要塞と違いを守るためではなく、封ずるために建造された技堤要塞ブラックワン。
その封印が今日破られる。
ゲシュタルトのドーム型多目的試験場の天井が黒い有翼の巨人により爆破されるのと同時期。
技堤要塞ブラックワンを内側から食い破り、現れたそれは異形のオリジン、オブシディウス。
テックマウンテンに埋没して見えない下半身を抜いても、通常のレガクロスの二倍以上の大きさを誇るその機体は、その恐ろしく長き下半身をあらわにしていた。
デッドコピーであるジャベリンとその姿は似ているが長さが違った。ブラックテックマウンテンを覆う要塞の壁を突き破ったオブシディウスはその勢いのままに上昇を続けた。
その高さは雲を突き抜け、夕焼けに染まる雲海にオブシディウスがそそり立つ。
前腕下から伸びる翼竜を想起させる並んだプラズマ推進機構が悪魔のような巨大な影を赤く染まる雲海に落とす。
飛んでいるのでは無い。半壊した要塞から長大ま昇竜の如き下半身が、その高さまでオブシディウスの上半身を押し上げている。
半壊した要塞が更に崩れていく、地面が激しく揺れて要塞周辺の土地が浮き上がる。
まるで下から巨大な何かが地面の下から這い上がってくるように。
要塞崩れ、地面が崩れる。上昇していく何かの上から全てが滑落していく。
それは余りにも巨大だった。
まず見えたのは巨大な顔。山一つを閉じ込める巨大な要塞が丸々乗って余る程だ。
顔に開く、暗き四つの穴底には深紅の光が宿り、それぞれが出鱈目に生物のように動き回る。額から伸びるのはオブシディウスの長い身体。
地面の上に乗る無機物や生命、有象無象を天高く地面をひっくり返し、打ち上げられる。街一つ覆いそうな太く強靱なヒレ、五対のヒレが波打つように現れる。
長さは額から伸びるオブシディウスに匹敵する。そして太さは比べものにならない巨大な身体。うねりながら地面を押し砕き這い出てくる。
それはオブシディウスと同じく黒曜石の輝きを宿す金属の鱗に覆われた四つ目の怪魚。否、地面の下から現れた巨大なそれこそ、真のオブシディウス。
露出していたのは、憐れな餌を誘うためのイリシウムに過ぎない。
『『『『『ギュリィィィィィィィィィィィィィィィ!!!』』』』』
オブシディウスが吠える。
開いた魚の口から見えるのは無数の削ぎ刃が回るローラー状の悍ましい歯。口内にビッシリ生えるそれが一斉に高速で回転し、幾重に重なるオブシディウスの奇妙な咆哮を奏でる。
オブシディウスの周囲に無数のMPの光。光は次々と実態を形成し、無尽蔵にジャベリンが出現する。
前腕下から蝙蝠の翼のように生えた筒状のプラズマ推進機が紫電吐きだし、同じ推進機を備えた長い蛇の下半身からも紫電が漏れ光る。
無数のジャベリンを召喚し従えるオブシディウスが、五対の金属のヒレからスパークを放ち、まるで空を泳ぐように前進し始めた。
次章【スーパーレガクロス内戦編】に続きます。
次回は三章エピローグです。
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