表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲルドアルド─蜂の巣の魔人と機械の巨人─  作者: 産土
決戦兵器編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/115

ゴリラ

第二章、雷撃の異邦人の時点でこの状態でした

 


 ◆ゲシュタルト敷地内。ゲルドアルドの自室がある蜂の巣。




 試射会の翌日。


 横になったレディパールの胴に生える毛の中に埋もれ、ゲルドアルドは新たに生まれた女王型の大蜜蜂(ハニービー)二種と対面していた。


 ゲルドアルドがレディパールへの毎日欠かさないブラッシングと、特製トリートメント。真珠色の柔らかな、光加減でオーロラを思わせる虹色の光を反射する体毛。トリートメントに含まれるギラギラゴールドの粒子が星の瞬きをも備えさせた体毛の感触は、今日も美しく素晴らしい。

 寧ろ日々品質が増している至高の蜂蜜で作り直すトリートメントの効果か、その体毛はゲルドアルドの美麗の上限を日々更新しつづけている。


 白夜にオーロラの極光と、瞬く星を纏うレディパールは美しい。


 まだ生まれて間もなく、レベルが低いためレディパールよりも新たなクイーンは小さい。それでも体長は五メートル、体高ニメートルは超えている。


 赤い体毛に包まれた女王灼蜜蜂クイーンレッドハニービーにはディレッド。黄色い体毛に包まれた女王大蜜蜂(クイーンハニービー)にはディエロー。それぞれ名付けた。

 最初は単純にレディレッド、レディイエローと名付けようとしたがレディパールが不満そうだったので、明確に差をつけるために文字を削ってゲルドアルドは名付ける事になった。


 彼女達にはパワーレベリングした後、ここの巣で長年生きている経験彷彿な大蜜蜂(ハニービー)を何人かつけて、暫定異世界の巨大蜂の巣に転移してもらう。

 ディレッドは身近な外敵と戦いながら蜂の巣の拡張と防衛の指揮に専念してもらい。ディエローには対ダークネスホーリーマスターを想定した新たなサンダーフォーリナーの作成指揮を取ってもらう。

 そのための知識は最近手に入れた、ペインフレーム以外にも色々と苦しみながらレシピを掻き集めディエローに伝授済みだ。


<蜂巣要塞>のスキルで情報を共有出来るので<レシピ作成>でレシピ情報を刺す必要が無いのがゲルドアルドにはちょっと羨ましい。


 心配だった暫定異世界への転移失敗問題。実験は続けているが今の所一切発生していない。

 何故か不思議とゲルドアルドはもう失敗する気がしなかった。基本こういう謎の確信はゲルドアルドは信用しないし出来ないのだが、今回はトライアル&エラーの蓄積で確かな実績がある。


 ゲルドアルドでも謎の確信を信じられること根拠を積み上がっていた。


(行こうかレディパール、ディレッド、ディエロー。ハニービーリーダー達、留守は任せたよ。)


(了。修練。若母。妹達。)


((了。貴母。姉様。))


(((((((((了。)))))))))


 レディパールの真珠色の柔らかく体毛の感触を楽しみながら背に攀じ登り跨がる。飛び乗る事は出来るがあえての攀じ登り選択するゲルドアルド。


 レディパールと一緒に外出する必要は無い。しかし二人の女王型とだけ行こうとすると、とても悲しそうな目でレディパールが見てくる。


 一緒に行く選択肢しかゲルドアルドには無かった。




 ◆




 ゲシュタルト敷地内。ドーム型多目的試験場。


 空間を魔法で拡張されているこの場所は、目立つ巨大な外見よりも更に中は広大だ。


 毎日そこではギルドに所属する趣味人達の作品……レガクロス、キメラ、ゴーレムその他色々の動作試験に勤しんでいる。半分以上はアイテム製作の修練や研究の息抜きで、動かしたり戯れたりして遊んでいるだけだったりするが。


 アニメートアドベンチャーは現実に直接影響がある換金要素も備えているとは言え、基本ゲームなのでただ遊んでいる人がいるのは当たり前である。


「なんだこれ」


 ゲルドアルドは大搬入口の通路からドーム内に入ったが、そこに広がる予想外の光景に思わず声が出た。


 ドームの床を叩く金属の剛腕が力強い音を叩き鳴らす。長さでは腕より見劣りするが、短く太い足が腕に負けない力強い音を立てて床を蹴る。ドーム内にある巨大なトラックを走る同じ姿をした、四肢備える黒鉄色の金属塊達が、競うようにトラックを爆走する。


 走っているのはレガクロスなのは間違いない。


 その証拠にMP増殖炉の騒音が鳴り響いている。

 しかし、そのレガクロス達は人型ではなかった。


 一見するとかなり近いが、しかし前傾姿勢で床に届く長い腕で床を叩き、短い後ろ足で床を蹴る馬蹄に近い音とリズムで走る姿は、どう見てもゴリラだった。


 鋳造品の黒鉄色の簡易装甲が鈍い光を反射している。


 ゴリラからはMP増殖炉の騒音に負けない音量で怒声が拡声器越に喧しく響き、七機のゴリラ型レガクロスが全力で疾走し、先頭を速さで、または暴力で力付くで奪い合っている。


 かなり過激だがレース以外の何物でも無い。

 おかしいとゲルドアルドは困惑した。


 このギルドは人型のレガクロス専門という訳ではない。キメラやゴーレム、戦闘車両のアサルトシェルと、他にも色々と扱っている。

 動物型も存在しているが、あまり普及はしてない。それどころかアイゼルフでもゲシュタルト以外には運用している組織も個人もほぼ存在しない。


 動物型ならノウハウの蓄積と研鑽が済んでいるキメラを作成すればいいからだ。


 わざわざ巨人兵器として進化してきたレガクロスで人型以外の機体を作成するの意味は少ない。

 レガクロスは操縦の取っ掛かりとして操縦桿は存在しているが、アイゼルフで普及しているのはMPを経由して思考で操る方式だ。

 やはり人が操り能力を拡大する関係上、自在に操るのは人型であることが様々な面で合理的で好ましい。


 動きはだいぶん違うがゴリラはほぼ人型だ。他の動物よりはかなり操縦の難易度が下がる。ゲシュタルトの趣味人達なら作成して運用してもおかしくない。


 それでも今の目の前のゴリラオンリーなのはおかしいが。


 ゲルドアルドは改めて目の前の光景に注視する。


 肉厚の斧刃が頭頂部から額にかけて雄々しく突き出す兜型の頭部装甲。恐ろしい事に大きく開いた兜の全面から銀色の素材で作成された、歯を剥きだし怒り狂う野獣の憤怒の表情。精巧に彫られたゴリラフェイスが顔を覗かせていた。


 その目は何故そんなことをしたのか、爛々と真っ赤に光輝いている。


「怖い」


 やたらリアルな怒れるゴリラフェイスに何故か真っ赤に光る目。

 ゲルドアルドは引いている。そして怖い。

 威嚇を目的としているならかなりの効果があった。


「おまえを殺す!」と殺意を滲ませる憤怒のゴリラフェイス。

 人型であること以外は、生物的要素の少ないデザインであるバルディッシュⅣとは違う。

 異様な迫力を顔面に備えたゴリラ達が、通常のレガクロスよりもやや低く見えるその背を更に低くして、長い剛腕と短い足を巧に使った力強いコーナーリングで激しいせめぎ合いを演じている。


 狂気的なことにゲルドアルドがよく観察すると、その恐ろしいが彫り物だと思われたゴリラフェイスは銀色の金属質な顔面を柔らかく、そしてまるで生きているかのように変形して表情を変えている。


 真っ赤に輝く目が見開く。

 兜からはみ出すほどの大口を開ける。

 それは見るものに野獣の咆哮が幻聴する叫びの表情。


 その顔から「おまえを食い殺す!!」と無言の咆哮が響き、ゲルドアルドの存在しない耳を激しく打つ。


「怖い……。

 あれは顔だけ金属スライム系の素材使ってるのか」


 トラックのコーナーを攻める憤怒の表情のゴリラ。そのまま隣のゴリラに肩から打ちかましを食らわせる。

 バルディッシュⅣの装甲と似通る鋳造の鎧同士がぶつかり、激しく火花を散らす。

 打ちかましを喰らったゴリラが後ろ足だけで立ち上がり、ゴリラフェイスを咆哮の幻聴が聞こえる叫びの表情に変え、剛腕がライバルを打ち据えようと振り回される。


 バイオレンスな動き。

 バルディッシュⅣと違う。

 機械なのに野生味に溢れている。

 ゲルドアルドは恐れながらも直立人型の巨人兵器とは違う別の魅力を感じた。


 ゴリラフェイスはゴリラの動作に応じて、顔面を構成する金属スライム素材の顔が予め決められている表情に変形するようだ。レースを見ている内にゲルドアルドは気付いた。


 その一番目立つゴリラレースの他にも周囲はゴリラで溢れていた。


 十機で肩を組んで憤怒の表情でラインダンスするゴリラ。

 誰かが用意したリング上でボクシングのまね事をするゴリラ。

 逞しい剛腕で小さな積木を憤怒の表情で積み上げるゴリラ。

 倒れる飛び降り、無音の咆哮上げながら受け身を取るゴリラ。

 無音の咆哮を上げながら障害物を走り越えていくゴリラ。


 どうやら表情のパターンは二種類しか無いらしい。


 一機だけ瑞々しい緑色のゴリラが二本の足でスケートリングにでもいるように華麗に床を滑り、ゴリラの全身のバネをフル活用したジャンプと空中での高速横回転を見せる。


「セブンアクセルだと……!?」


 緑色のゴリラは華麗に着地を決め、美しいポーズを決めた。その状態で片足で滑っていく。

 あの技量と機体色はどう考えてもハンモウさんだとゲルドアルドは思った。


 ゴリラ。ゴリラ。ゴリラ。ゴリラ……と数は少ないがたまにレガクロスではなく、ゴーレムやキメラとおぼしきゴリラが混ざっている。


「いつからここはゴリラ専門のサーカスに……」


 一応、生産ギルドの幹部であるゲルドアルドは、目の前の珍妙なメカゴリラサーカス団がやっているのは、ゴリラ型レガクロスの動作情報の蓄積や耐久試験だと頭では理解している。バルディッシュⅢとⅣ開発の際にも似たような光景があった。

 しかし見慣れぬそのメカゴリラ達は、動きを見る限りでは動作情報の蓄積がかなり進んでいる。

 メカゴリラの機体性能を生かしきった、躊躇いが無いスムーズ&ダイナミックなゴリラアクションにゲルドアルドは違和感と困惑を隠しきれない。戦争準備期間にギルメン達はなんでメカゴリラにそこまでの情熱を注いでいるのか。


 そもそも何故こんなにゴリラが量産されているのか。

 ゲルドアルドが暫定異世界に行く前はゴリラが蔓延る兆候は無かったと彼は記憶している。


 中心にレディパール、ディレッド、ディエロー。護衛用の爆蜜殲蜂ニトロハニービーデストロイヤー爆蜜盾蜂ニトロハニービーボンバー爆蜜杭蜂ニトロハニービーバンカー。》灼蜜衛蜂レッドハニービーガーディアン。世話係に大蜜働蜂(ハニービーワーカー)大蜜蔵蜂ハニービータンカーと下級精霊の蜂蜜精霊(ハニーエレメンタル)をそれぞれ複数を連れた大所帯に関わらず、メカゴリラサーカスと化した試験場目にしてゲルドアルド達は入口で固まってしまっていた。

 今いるのは、直接搬入用の十メートルのレガクロスが複数機、直接歩いて出入り出来るように設計されている通路入口なので、相応に大きいのだが、この大所帯ではかなりの邪魔である。


 あまりの予想外な光景にゲルドアルドは圧倒されて動けなかった。


 ハニービーや蜂蜜精霊(ハニーエレメンタル)達はゲルドアルドとレディパールが止まっているのでその場で留まっているだけだ。


 ドン!と突如腹に響く炸裂音が響く。

 防御能力に長ける爆蜜盾蜂ニトロハニービーボンバー灼蜜衛蜂レッドハニービーガーディアンが素早く動く。炸裂音がした方向、レディパール達クイーン種の盾になれる位置に立ち塞がった大蜜蜂(ハニービー)がガッチガッチと顎を打ち鳴らす。


 大蜜蜂(ハニービー)達の動きに一拍遅れ、ゲルドアルドが音がした方向に顔を向ける。そこにはやはりゴリラが居た。そのゴリラは拳を地面に突き立てるようにして四足で静止しているが様子がおかしい。憤怒の表情を称えるゴリラフェイスが赤熱に染まっていた。

 顔の周辺の空気が揺らめき、揺らめく空気で憤怒の顔が歪んでいる。それはまるで堪えきれない怒りが爆発する寸前の見えた。


 今にも爆発しそうなゴリラは人に囲まれていた。彼らの前には幾つかの機械が置かれそれはゴリラケーブルで繋がれている。


 そして怒りに震えるゴリラフェイスの真っ赤に光る視線の先には巨大な金属塊が置かれていた。


 空気の揺らめきがゴリラが歯を食いしばり頬が痙攣する表情の変化を幻視し始めたその時。ゴリラを囲む一人が大声でゴリラに合図する。


「ゴリラブラスター発射準備OKだ!!」


 半笑いで告げられた。珍妙な武器名がゲルドアルドの耳に木霊する。


『行っくぜぇぇ!<ゴッリィィィラ!ブッラァスタァァァ!!>』


 同じく、赤熱したゴリラフェイスの機体から拡声器から聞こえた半笑いの声。そしてやたら気合いの入った珍妙な宣言を絶叫。

 赤熱した憤怒のゴリラフェイスがその怒りを解き放つが如く、目を見開き、顎が外れたかのような大口を開ける。

 真っ赤な目の輝きが倍に膨れ上がり、ゴリラフェイスの目と口から小さな爆発が連続で発生。爆発は更に発生し高速で感覚短く連続していく。やがて音は感覚が短すぎて一つに重なって聞こえ、激しく大きくなった。開けた両目と大口とから灼熱が洩れ光った。


 なんということだろう。


 ゴリラフェイスの見開かれた両目と開けられた大口からゴウッ!と爆音が轟き、合計三本の凄まじい熱を孕んだ赤熱光線が発射された!


 上から撃ち下ろすように発射された赤熱光線は、狙い違わず正面の巨大な金属塊に命中する。赤熱光線は数秒で黒い金属塊を真っ赤に染めあげた。更に数秒後には光線がドロドロに溶けた金属塊中心より、反対側に貫通して飛び出す。


 中心部を穿たれた金属塊は全体がドロリと溶け崩れ、赤熱光線が纏う複射熱が吹き散らされる水のようにドロドロの金属塊を引きちぎっていく!


「「「「ぶはははははははははははははははは!!?」」」」


 メカゴリラ周辺で機械を弄っていた三人と、メカゴリラを操る一人のプレイヤーの大爆笑。<ゴリラブラスター>はその四人の想像を遥かに越えたインパクトのある姿を生み出していた。

 周辺の三人は腹を抱え、床を叩き、床の上を転げまくる。操縦者の笑いが伝わっているのか、メカゴリラは赤熱光線を発射しながら機体が小刻みに痙攣している。


 恐ろしい<ゴリラブラスター>の威力。


 笑いは伝播して行く。<ゴリラブラスター>を見たラインダンスをしていたゴリラや、ボクシングゴリラや、積木をしていたゴリラの誰もが皆。<ゴリラブラスター>のビジュアルに圧倒され、狂笑の渦に飲み込まれていった。


 あぁ、何と言うことだ。何を考えているのか操縦者が<ゴリラブラスター>を放ちながらメカゴリラでドラミングを始めた!


「く、狂ってる……!」


 ゲルドアルドは戦慄する。


 笑いが加速し、もう誰にもメカゴリラを止められない。


 天を仰ぎ咆哮を上げるゴリラフェイスから伸びる三本の赤熱光線。響き渡る金属の拳と胸板で奏でる雄々しい轟音。笑いすぎて酸欠で死に体のギルメン達。


「ここは人間がいちゃいけない……ここはゴリラの惑星だ!!」


 ゲルドアルドはとても錯乱していた。

 レディパール達はメカゴリラ達の異様な姿と笑いに警戒体制だ。


「御主は何を訳のわからん事を言っているのじゃ」


「おひょー!?」


 いつのまにかゲルドアルド肩に座っていたティータが話しかけて来る。ゲルドアルドの驚きから、体内の蜂蜜の圧力が一時的に高まり、身体から頭部だけがスポン!と音を立てて天高く飛び上がる。

 それを見たティータはディセニアンが作成した樽に剣を挿していく玩具を思い出した。


 ゲルドアルドの頭部は床にたたき付けられる前に空中で大蜜働蜂(ハニービーワーカー)が六本の脚で受け止めた。そしてゲルドアルド後頭部の蜂蜜を味わいはじめた。他のハニービーワーカーも集まって来る


 ゲルドアルドの頭部は黄色い毛玉に包まれた。


「むむ、黄色いモフモフ達よ、至高の蜂蜜の独占は感心せぬぞ」


 人の頭部サイズの大蜜働蜂(ハニービーワーカー)達は、ゲルドアルドの大玉スイカよりも大きい頭部に群がる。彼女達は流れ出る蜂蜜を堪能していた。


「ほれ、果物やろう。妾にも蜂蜜をよこすのじゃ」


 この世界に棲むモンスターは基本、雑食である。植物の蜜や花粉を主食とする大蜜蜂(ハニービー)も果物や肉も食う。


 ティータは大蜜蜂(ハニービー)の体毛を加工して作成された手袋型のアイテムボックスから果物を取り出して差し出す。それを横からブーンと飛んできた、爆蜜盾蜂ニトロハニービーボンバーがパクッと食べた。

 全身がハニカム状のパネルに覆われ、直径二メートルの真ん丸球型の身体から覗ぞく爆蜜蜂ニトロハニービーボンバーの顔は、鋭い顎を動かしてムシャムシャと果物を咀嚼する。


「御主ではない!そっちの黄色いモフモフ達にやったのじゃ!」


 果物を咀嚼し終えた爆蜜盾蜂ニトロハニービーボンバーはティータに何の反応も返さず、ブーンと飛んで持ち場に戻る。


「あと、護衛として他者から受け取ったものを食うのはどうかと思うのじゃ!」


「毒とか警戒せよ!」と自分の行動を棚に上げ、蜂の巣の主たるゲルドアルドと、女王であるレディパールを守る役目を担っている爆蜜蜂ニトロハニービーボンバーに説教をするティータ。

 一瞥したが爆蜜盾蜂ニトロハニービーボンバーは取り合わず、他の爆蜜盾蜂ニトロハニービーボンバーと一緒にレディパール達の周囲を飛んでいる。


 ティータはそんな事をするつもりは無いが、この場には蜂蜜精霊(ハニーエレメンタル)が居る。例えティータが毒を盛っても蜂蜜精霊(ハニーエレメンタル)のスキルで直ぐに解毒可能だ。


 プンプンと憤るティータの横に……ゲルドアルド頭部の付け根に蜂蜜をねぶられるついでにハニービーワーカー達に研かれた、ギラリと光るゲルドアルドの頭部がそっと戻される。


「とりあえず、通行の邪魔だから移動しようかレディパール」


(了。)


「蜂蜜をよこすのじゃー」


 ティータに不意を突かれて逆に冷静になったゲルドアルドは、入口付近を大所帯で塞いでいることに気付き移動した。


 憤怒の表情で小刻みに震えゴリラフェイス。拡声器から狂ったように操縦者の笑いを吐き出し続けるメカゴリラの集団に近づくのは、勇気がいるが、今更違う場所に行くのも時間の無駄なので意を決してレディパール達を空いているスペースに進ませる。


 ティータはゲルドアルド肩の上で勝手にハニーフォンデュを始めた。

明日も12時更新です。


評価、コメント、ブクマ等あればとても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ