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ゲルドアルド─蜂の巣の魔人と機械の巨人─  作者: 産土
見慣れた遊戯世界編

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雷撃の異邦人

サンダーフォーリナーの見た目は、大好きなアニメ【地球防衛企業ダイガード】の界震災害ヘテロダインの一種。スジコダイン、スジコちゃんこと学名ヘテロダインホモーエダークスのグアマンドから。


名前はゲーム地球防衛軍の「さ、酸だー!?」から来てます。

◆ゲシュタルトシティ・レガクロス第四各納庫内




ギルドマスターオゾフロ。サブマスターダイ・オキシン、ブラウリヒト、ゲルドアルド。四人の要望と実験を兼ねた常識に捕われずに作成されたギルド幹部専用のレガクロスを各納する【レガクロス第四各納庫】。


見た目も機能も元々の技術の原型を全く留めていない、趣味人と狂人達の閃きと暴挙が所狭しと盛られた四機の特異なレガクロスの中でも規各外に大きな機体が動きだそうとしていた。


それはゲルドアルド専用レガクロス【サンダーフォーリナー】である。


フォーリナーの為に第四各納庫の屋根が開いていく。

十メートルの鋼鉄の巨人が自走して出入りするための小さな入口では、サンダーフォーリナーは出入りすることが出来ない。そんな機体の為だけにわざわざつけられたギミックが金属の軋みとMPモーターの回転音を響かせて左右に割れていく開閉式の屋根だ。


必要以上に喧しい開閉音が鳴り響く中を専用の昇降台に直立で載せられたフォーリナーのアンバランスな巨体が直立姿勢で機体を固定している金属の骨組みと共に競り上がる。

ゲルドアルドによって召喚されたハニービーワーカー達が金属の骨組みへと取り付いて各部に百以上設置されているハンドルを前肢で器用に回しはじめた。


彼女らのような身体が小さく飛べる者ではないと辿り着けない場所に設置された手動ハンドルを同時に回すことで、フォーリナーを囲み固定していた金属の骨組みが左右に展開。フォーリナーを空中に固定していた固定具が外れていく仕掛けだ。

全ての固定具が外れた時、不思議なことにフォーリナーはフワフワと重力を無視して不自然にその巨体を浮遊させている。足の先は浮いている事が前提のため丸くすぼまっている。


フォーリナーはレガクロスと呼ばれているが、実はレガクロスではない。アニメートアドベンチャーの世界では人が使う人型の道具はレガクロスかゴーレムと呼ばれるのでそう呼ばれている。


ゲルドアルドがジョブ【蜂巣要塞】ジョブスキル【フライングビーハイブ】で作成した空中浮遊する蜂の巣に手足、頭部、武装を無理矢理後付けしたのがフォーリナーという巨大人型ロボットだ。


それゆえにフォーリナーは起動しても王族専用機以外のレガクロスには必ず搭載されている筈のMP増殖炉の喧しい動作音が聞こえて来ない。僅かに間接から金属が擦れるような音を響かせるが、それはすぐに宙に拡散して散っていき誰の耳にも入らないほど小さい。


胴体である蜂の巣にゲルドアルドが収まることで彼のMPはフォーリナーを動かせるほど増大する。


そのためレガクロスの主動力である操縦者のMPを増幅するMP増殖炉が必要ない。

MP増殖炉の騒音が無いので通常のレガクロスより大きい全長五十五メートルという巨体でありながら、全くの無音で空中を移動出来るのがフォーリナーの利点である。


鶏の卵を逆さにした形の特徴的な胴体だけでも通常のレガクロスがスッポリおさまる胴体。異様に長く太い腕と脚。特に腕は長く機体の全長に匹敵。幅が通常のレガクロスの肩幅半場まで達する手足を生やした全長五十五メートルのフォーリナーが陽光を浴びて真珠色に虹色の反射光を周囲に返した。


卵型の胴体から生えた直径五メートルの丸い頭部の中央には、視界を確保する魔法装置の金属の眼球。同じく金属球でできた眼球金属を囲むよう六個の攻撃用の魔法装置が並んでいる。


左右にぐるぐると頭部を動かしてフォーリナーが周囲を見回した。合計七つの金属球が生物の眼球のようにギョロギョロとうごめいてゆらりと光る。


動作テスト兼ねる周囲の確認を終えた頭部を正面に戻した。フォーリナーが両腕をゆっくりと広げていく。緩慢に持ち上げた二の腕を水平にし、次に二の腕の倍はある振り下ろせば城壁でも軽々と叩き潰す、中央で括れたピーナッツの殻のような前腕が持ち上がった。

長い前腕と短い二の腕を繋ぐ、支点のバランスが極端に偏ったシーソーのような位置にある肘間接から、僅かに金属を擦る音がなり、五十メートルはある前腕の先端には巨大な四本の三角爪と、爪に囲まれた人であれば手の平にあたる場所にある、前腕内部の電磁加速装置で四十メートルを越える肉厚の剣杭を打ち出す射出孔を備えた先端が真横を向く。


腕と脚部を十字に真っすぐ伸ばした正面から見たフォーリナーのその姿は、幻想的な虹色の反射光を纏う美しい真珠色なのも芸術品のようだ。


しかし真横から見たフォーリナーはその印象が崩れてしまう。


真横から見たフォーリナーは背中の装甲が巨大な赤色の瘤で膨れて盛り上がっているため酷い猫背だ。表面が大小様々な背の低い半球で埋まっているためまるで虫の複眼だ。正面から見たときの神秘性とは逆に酷く不気味に思える。


地球の娯楽映画に出てきそうな得体の知れない何者かの送り込んだ侵略メカとしか思えない姿だ。


「各武装、問題なし、手足の武装の確認は……ここでやると絶対に怒られるし大変なことになるので後回し……<モンスター召喚>」


フォーリナー内部の操縦席に収まっているゲルドアルド。

保存の魔法で保護されていてるが一応武装等の動作確認を念入りにする。

手足の電磁加速装置の武装は威力が強すぎるのでここでは危ない。


フォーリナーはゲルドアルドの専用機。武装は非常に強力だ。

燃費が悪いこの機体を彼はあまり活用していなかったが、暫定異世界で巨大な蜂の巣を作成したことで燃費に関しての問題は完全に消滅した。


燃費の問題がなければ多少の使い勝手の悪さはどうとでもなる。


新たに大量のモンスター【ニトロハニービーシャトル】を召喚。固定具の解放を担当したハニービーワーカー達が役目を終えて光の粒子となって消えていく。

百体以上のハニービーワーカーが一斉に消えたことで発生した大量の光の粒子と共にフォーリナーがその巨体を上昇させていく。不気味な巨大ロボットを彩る光の粒の光景は美しく幻想的だ。


ゲルドアルドの号令と操作で、フォーリナーは肩間接を中心に己の身体を九十度後ろに回転させて大地に対して機体を水平にした。全身に配置されている、侵略メカ感を強くする用途不明だった全身の突起には召喚されたモンスターのニトロハニービーシャトル達が纏わり付き、本来有るはずの毒針の代わりに加速、攻撃用の噴射孔を備えた腹部先端をフォーリナーの脚部と同じく後方に向ける。


「サンダーフォーリナー発進」


主人であるゲルドアルドの号令と同時に不可視の繋がり経由に命令されたニトロハニービーシャトル達が一斉に腹部先端の噴射孔から白い炎を拭きだしフォーリナーの全身が炎包まれた。






ゲシュタルトギルドホーム敷地内、ドーム型多目的試験場に突如響き渡る異音に、内部でプレイヤー個人やギルド主導で作成された様々な作品の性能試験をしていたギルド所属のプレイヤー達がざわめき周囲を警戒しはじめる。


ゲシュタルトは生産ギルドだ。激しく動き、様々な爆発物多用し、自立稼動もするレガクロス、ゴーレム、キメラの試作品達は予期せぬ事故を誘発する。

大物の実験するこのドームは暴走したレガクロスやゴーレムに踏み潰される。同じく暴走したキメラに喰われる。何故か複数の人間が別々に進めていたプロジェクトで作成されたものが共鳴するかのように同じ日に同時に爆発する等、死なないプレイヤーだからこそ笑える事故が頻繁に発生する。


流石に最後のはおかしいと念入りに調べられたが、爆発の原因が見つかっても同時に爆発した原因は見つからなかった。ミステリーである。


周囲に原因は見つからず、己の生産物を念入りにチェックし始めたプレイヤー達の一人が迫り来る原因に気付いた。


「見ろ!第四各納庫の方から何かが飛んで来るぞ!?」


閉鎖感を感じさせない、科学ではなく魔法で再現されたマジックミラー式の、飛行スキル持ちの試験飛行も行える高く広い天井のドームに原因と思われる巨大な物体が映り込んだ。


燃え盛る白炎を纏った五十メートルはある巨大な十字架が、ドームの直上を通過し、ドームの内部を白炎が生み出した強烈な光が染め上げる。ドームの壁面が大気を切り裂く爆音で震えた。


ドーム内のプレイヤー達があまりの光量と音量に目をつぶり耳を塞いでいる。瞬く間の間に後方に噴煙を残して吹き飛ぶ白炎の十字架は、ドームを置き去りにして彼方に飛んで行った。

騒然し突発的な異常自体で緊迫した空気に包まれるドーム内。だが、プレイヤーの一人が「あれってゲルさんのフォーリナーじゃない?」と呟いたことでその空気は一瞬で無散した。正解である。


白炎はフォーリナーに取り付いたニトロハニービーシャトル達が生み出している火だ。


フォーリナーは胴体のベースになっている蜂の巣が重力操る魔法が付与されているので浮遊して移動できるが、移動スピードはお世辞にも速いとは言えない。強力な推進力を持つモンスターのニトロハニービーシャトルでフォーリナーの移動速度を補っているのだ。この移動方法は隠密性は失われるがとても早い。


飛んできたのも幹部専用機を各納している第四各納庫の方だったのも証拠になり、その呟きは瞬く間にドーム内のプレイヤーに広がって行き、各プレイヤー達は何事もなかったかのように自分達の作業に戻っていた。


ただ一つ「サンダーフォーリナーなんて物騒な代物をゲルさんは持ち出してどこ行くのか?」という疑問だけはプレイヤー達は少し気になった。




監督ポール・ジラー

映画【ファイナルストーム】

スズメバチの群れが襲ってくる映画。死ななかったスズメバチが変異して強化される危ない副作用がある殺虫剤を、開発者の知人の虫駆除業者が勝手に持ち出したせいで街中の蜂が凶暴化して大変な事になります。変異蜂は毒が強く人間を一撃で瀕死。一匹でも相手が死ぬまで攻撃する凶暴性。群れで獲物を求めて徘徊して特殊フェロモンで別の蜂の群れを従える異常行動。

特殊能力以外は普通の虫なので、出自上殺虫剤の効果はありませんがスプレーノリで気孔を塞がれると普通に窒息死します。巨大化もしません。

騒ぎの原因の虫駆除業者のキャラが愉快で結構好きです。

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