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ゲルドアルド─蜂の巣の魔人と機械の巨人─  作者: 産土
ドーン・オブ・ザ・ゲルドアルド

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エピローグ・宇宙怪獣ゲルドアルド

前話のラストに文章追加しました。話は変わってないので読まなくてもたぶん大丈夫です。


大変お待たせしました。

 


 これは遥か未来の話。


 現実の地球で、失われた魔法文明を復活させた人類は個人で宇宙に飛び出し星をテラフォーミングできるほどの繁栄を極めた。


 その結果、地球から人類が居なくなった。


 そうして飛び出して宇宙に散らばった個人が作りあげたマイホームプラネットは、様々な理由で人が集まったり去ったりを繰り返しながら、やがて都市になり、国になり、銀河を支配する強大な宇宙国家に変わって行った。


 三十万年以上経過し、人類が居なくなった地球でタコが進化した新人類が幾つも国を築き、原始的な魔法技術で世界大戦を始めた頃。


 宇宙を三分する巨大勢力である。

【無敵銀河帝国】と【究極銀河帝国】の間で戦争の気配が漂っていた。


 そんな地球の歴史など一部のマニアしか知らないほど先に行った時代で彼はこう呼ばれていた。


【宇宙怪獣ゲルドアルド】と。


「え、なんで?」


 当の本人は、なぜ宇宙怪獣などと厳つい名で呼ばれるのか疑問だらけだったが。

 特に何もないし人気もない宇宙の辺境で惑星サイズの蜂の巣で分蜂を繰り返し。

 夜空を彩る星の四割はゲルドアルドのギラギラと嫌らしい金色に輝く蜂の巣だと言われる彼と彼女(ハニービー)達のダイナミックな生命活動は……。


 宇宙怪獣としか言い様が無い迫力があった。


 本人も全長が地球三つ分に巨大化している。


 無敵帝国と究極帝国は、戦争を前にしてこの悠久の時を生き続けながら無尽蔵に勢力を拡大し続ける宇宙怪獣を気にしていた。


 ゲルドアルドは特に気にせずレディパールとイチャイチャしていた。


 そもそも完全に両勢力とは没交渉で戦争が起きそうなことも知らず、ゲルドアルドは遥か昔に金色に変わったレディパールの体毛のブラッシングに全神経を傾けている。


 謎の宇宙怪獣の具体的な戦力は全くわかっていなかったが、確認されている蜂の巣の数だけでも彼が無敵帝国か究極帝国どちらかに肩入れするだけで勝利に導いてしまう同格の勢力だと認識していた。


 なんとも不確かで頭が痛い情報であった。


 両首脳陣はどう動くか全くわからないゲルドアルドを警戒せざる得なかったが、安易に排除に動いたり仲間に率いれようとはしなかった。

 彼に関しては、風化した伝説の彼方からの頼りない情報しか残っていないが、それだけでも関わるとろくな目に会いそうにないと監視を強めただけに留めていた。


 しかし、両勢力には蜂の巣をつつくバカがいた。


 それは【宇宙英雄】と呼ばれる人を逸脱した力を持つ個人達だった。


 無敵帝国に六人、究極帝国に八人存在する単体で星々を簡単に滅ぼせる彼らの半数には伝説を直接目にした者達も含まれておりバカなことはしなかったが。

 彼らの中には数千年、数百年の歴史しか持たない若く野心的で才能と自信に溢れた者達も半数おり。

 そんな宇宙英雄達の血気盛んな過激派が、伝説の存在を従えて見せようとゲルドアルドに接触してしまった。


 結果は交渉すらできずに追い返された。


 宇宙怪獣に予定があるなど露ほどにも考えていなかった彼らは、アポイントメント無しでゲルドアルドとレディパールが午後の昼寝を楽しんでいた時に接触したので全く相手にされなかった。


 あまりにも下らぬ理由で追い払われ憤った彼らは報復として、オリハルコンで生成した惑星サイズの反物質爆弾をゲルドアルドの巣の中に放り込み対消滅を狙ってしまった。


 風化した伝説を紐解き、宇宙中にあるゲルドアルドの蜂の巣は内部の空間が全て繋がっているという中途半端な情報を元に、弱点と思えるそれを突いてまとめて光に帰そうとしたのだ。


 この攻撃には伝説と共に密かに保存されていた俺は永遠を許さない(ドラゴンスレイヤー)の残滓。長い時を経て竜種ではなくゲルドアルドに対して強い効果を発揮するように変異した呪いまで付与されていた。旧世界目録に所属していた誰かの迷惑な置き土産である。


 ゲルドアルドが神の如く支配する蜂の巣の中に作られた亜空間に攻撃的な異物を直接転移させられる宇宙英雄達の力と呪いの威力は凄まじい物だったが。


 それはゲルドアルドを殺し切るには足りず、彼女達(ハニービー)を一斉蜂起させる最悪な結果を生んでしまった。


 溢れだしたのは宇宙中に広がった人類の総人口を軽く上回る大蜜蜂(ハニービー)と蜂蜜精霊に超兵器(レガクロス)の群れ。


 かつての仲間達の顔もうろ覚えになる時間と引き換えに、生産ギルドゲシュタルトを児戯扱いにできる技術をゲルドアルドは有していた。


 機神はあきれるほど量産され、懐かしい仲間達の機体に良く似たレガクロスも性能は過去を越えて大蜜蜂(ハニービー)でも簡単に動かせるほど効率の良い量産型機動兵器に成り果てた。


「宇宙英雄!強そうだねぇ……腕がなるよっ!」


「母上、妾はゲルドアルドの看病という名の蜂蜜パーティの方に参加したいんじゃが…」


 中には磨耗した伝説には残らなかった異様に強い母娘も混じっていた。


 宇宙が聞こえぬ筈の蜂の羽音で埋め尽くされる。


 宇宙がギラギラとした嫌らしい黄金の輝きに満たされる。


 宇宙を支配する一大勢力が誕生した。


 宇宙怪獣ゲルドアルドはこの世の覇者となった。


 なお本人は、反物質爆弾と呪いの被害を必死に押さえ込んだ結果、五千年ほど腹痛と吐き気でダウンすることになり、外で何が起きたのか全く把握していなかった。


「うーん、痛いよ痛いよう、お腹が痛いヴゲェ…お、おえー」


(愛。至高巣。心配。看病。美味。蜂蜜)


 五千年後の未来で、よくわからず特注の玉座に座らされた彼は「え、なんで?」と驚くことになる。


 そんなゲルドアルドも今は腹痛に吐き気に苦しむ哀れな宇宙怪獣。

 レディパールは甲斐甲斐しく彼を看病し、交信フェロモンで慈しむ想いを紡ぎながら、時折吐き気を催して全身から神秘の蜂蜜を噴き出すゲルドアルドを他の仲間と舐め尽くす作業に集中する。


 これは遥かな未来の話。


 宇宙怪獣ゲルドアルドが生き続けている話。


「ヴぇ」


(美味。蜂蜜。愛。至高巣)





非常に鈍化した連載にお付き合いしていただきありがとうございます。


ゲルドアルドは今回のエピローグで完結です。

修正などで多少は弄るかもしれませんが後日談などの連載予定はありません。


小説は終わりますが、これからもゲルドアルドは強大すぎる自分の力とハニービー達に振り回されて生きていきます。


最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
長い間楽しませていただきました。完結おめでとうございます。
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