悪足掻き
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呪詛返しで機体を半ばで折られた俺は永遠を許さないは警戒していた。
この破損は問題ない。
返された呪いの影響も少ない。
返された結果の威力は大きいが現象の元は竜種殺しの呪いだ。折られた部分は自ら飛行し機体へと戻り既に修復を開始し、制御の乱れで落下した機体も再浮上している。
戦闘に割り込んできた羽虫……地球製レガクロスの大天狗は眼中に無い。この戦場に介入するには何もかも貧弱すぎる存在だ。
警戒しているのは、その貧弱な存在がコチラの攻撃で空いた腹の穴に飛び込んだ途端に動きを止めたGTFⅡだ。
倒さなければならない相手。
全力で挑んでいるにも関わらず倒すに至らない目標。
機体の制御中枢にそんな感情は無いのだが、竜種殲滅を掲げた遺志を宿す呪怨リアクターがそんな状況に猛り狂っている。一部を切り離した影響もありいつ制御が乱れるかわからない。
それでも戦況は俺は永遠を許さないが優勢だったが、ファーストコンタクトで相手の命に届きかけた呪詛の効果が明確に落ちており、あまつさえ返されている過小評価することはできない。
そんな相手が無防備に停止している。
俺は永遠を許さないも停止せざるえなかった。
冷静な制御中枢は撤退するべきだと考えている。
纏っていた月と木星の複合外殻は宇宙に置いてきた。迂闊な攻撃でまた目標の蜂蜜による飽和攻撃を誘発すると、現在の状態では機体に致命的な損傷が発生する可能性が高い。
それゆえに必殺の主砲ではなく、原始的な呪いによる呪殺が密かに行われていたが対抗策が高じられ、ただの呪いでは効果が殆ど無いどころか、主砲の一撃もチャージの足りない一撃ではダメージを与えても命に届く様子がない。
撤退すべきだ。
それはできない。
ここまで機体に傷を負わせ愚弄した竜種を呪怨リアクターの元になった遺志が絶対に許さない。
遠き昔に俺は永遠を許さないはかつての魔法文明軍勢から総攻撃を受けて時に、破壊されたと偽装しながら機体の殆どを失った状態で逃げてしまった。
隠れ潜み無様に傷を癒すことに長い時を費やし、その間に世界からMPが失われて再び動き出すこともできずに機能停止している。
墓石の下に埋められて。
呪怨リアクターとなった遺志が。
もう撤退を許容することができない。
俺は永遠を許さないの制御中枢は自らの終わりを演算していた。撤退を選択できないことで生き残る確率は限り無く低い。
たとえ最後の悪足掻きが成功したとしても。
出来れば攻撃せずに撤退したいと考える制御中枢の演算結果を振り切って呪怨リアクターに影響を受けた機体が動かないGTFⅡに攻撃しようと動き出す。
修復を終えた抜き身の刃のような主砲が赤熱する。呪詛を熱エネルギーに変換して纏っているのだ。効率は悪いが元のエネルギー量が膨大だ。
呪いがダメなら物理的な破壊。
悉く焼きつくしながら両断する。
太陽のように輝き始めた主砲はアダマンタイトでもバターのように溶断する光剣に変わり、機関部を中心に回転刃と化した機体がGTFⅡを襲う。
輝く回転刃がその金色に染まる蜂の巣の体を灼熱で切り裂く瞬間。
腹に空いた穴から出てきた小さな金色の腕が高速回転する機体を受け止めた。
俺は永遠を許さないがその異常事態に反応する前に動いた金色の腕は、サイズ差をものともせずに無造作に相手を振り上げて、大地に轟音と共に叩きつける。
機体の重力制御を完全に力業で無視した一撃は、極小のMPしかない脆い大地を深く穿ち噴煙の悲鳴を上げさせる。
俺は永遠を許さないの制御中枢は確実な終焉の未来が訪れたことを演算し、呪怨リアクターの出力が機体の限界を超えるエネルギーを生み出し、相手を威嚇するように稼働音で絶叫し始める。
アダマンタイトを溶断するまで赤熱した主砲をものともせずに振り回して握り潰した相手はとても小さかった。
雲を突き抜ける山のごときGTFⅡと俺は永遠を許さないの両者と比べると赤子よりも劣る大きさしかない。
それはたった全長三百メートルの最強のレガクロス。
古を超えるために仮想世界で生み出された偽物の最新鋭。
機神ゲシュタル・ゲル・ボロス。
GTFⅡの腹を引き裂き現実に生まれ落ちた機神が本物の邪神粉砕の為に出撃する。
次回更新は未定。
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