史上最大のオフ会
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ブラウリヒトにとって幸運だったのは。
目の前で神話のごとく破壊を振り撒く怪物達の戦闘力には、天地を引っくり返しても勝てそうにないが、その技術自体は彼女の目から見るととても拙いことだった。
片やギルドの無限の雑用係の異名を持つ裏方が操る巨大な蜂の巣の機械竜であり。
それに対する俺は永遠を許さないと、それを作り上げた者は天才だったが、傲慢でその殆どを短命な己の運命を覆す技術の探求と、あまりにも早かった晩年は不老不死が約束された竜種への怨恨と根絶するための兵器の建造に費やされていた彼は戦闘に熟知しているとは言い難かった。
両者の動きは速く強大。
しかし、ゲシュタルトの戦闘技術講師として招かれた雇われ幹部であるブラウリヒトからすると。
「素人臭い……なっ!」
ゲルドアルドはソロで活動していた期間が長く有り、基礎訓練によりそれまでの経験で培った独自の喧嘩殺法を彼女に修正されていた。
俺は永遠を許さないよりも多少はましな程度だが、教えたがゆえに故に更に動きは読みやすい。
非常に厳しい状況なのは変わりはないが、彼女の腕なら片道切符くらいはもぎ取れる。
手を大袈裟に振り上げたゲルドアルドを見たブラウリヒトが大天狗の機首を上げて急減速しながら飛行コースを変更する。攻撃の兆候だ。
彼女と頑丈なオゾフロ以外が潰されたカエルのような悲鳴でバックコーラスを叫び。
それを聞く彼女達のの目の前で輝くマナの塊からビルのような大きさの空飛ぶ蜂の巣が次々と姿を見せた。
GTFⅡが腕を振り下ろすと俺は永遠を許さないに五つの蜂の巣が左右から囲うようにU字を描いて動き出す。
その動きは緩慢だったが周囲の大気に与える影響は甚大。急に出現した巨大質量が空気を押し退けて潰し圧縮熱と衝撃波を周囲に生んでいた。
ブラウリヒトが突如発生した空気の大津波をサーファーのようにのりこなさなければ彼女たちは煎餅のように無惨に瞑れていただろう。
そんな神憑り的な読みで危機を回避したがそれを誇ったり褒め称える余裕はない。
熱と衝撃を撒き散らした〈フライングハニーハイブ〉の魔法で召喚された蜂の巣たちは主の命令のままに動く大質量は今度は周囲に無数の竜巻を発生させている。
オゾフロの楽しそうな笑い声と悲鳴が響く機内で複雑怪奇な飛行コースを脳内描く。
ブラウリヒトの神経を磨り減らす苦行が開始された。
迫るその質量だけでも厄介な編隊に俺は永遠を許さないは肉体があれば舌打ちをして罵る気分を味わい。
U字を描き迫る蜂の巣を上昇することで避けようと動いた。
一部をタイタニス操るサンダーフォーリナーと戦わせるために切り離したゆえに主導権を奪われる程ではないが、呪怨リアクターをフル活用しなければならなくなった影響で人間的なノイズにより。
俺は永遠を許さないは最も適切な後退して距離を取るという行為を行えない。
これまでの戦いで蜂の巣を下手に傷付けると何が起こるかわからないのは理解していた。
下に逃げるには今の位置だと地面が近すぎる。
後退は露骨に竜種に対して逃げるという行為を呪怨リアクターの元になった人格が強烈に拒絶。
消去法で選ばれた先には案の定、更なるGTFⅡの攻撃が待っていた。
巨大蜂の巣の召喚に紛れて密かに出現していた普通のサイズの蜂の巣が弾け飛ぶと、膨大なMPによって召喚されて内部の拡張空間内で待機していた爆蜜蜂種の軍勢が広がる。
召喚魔法によって出現するモンスターはただのMPの塊であり、ゲルドアルドも使い潰すことになんの躊躇いもなく。
巣を守るための自爆特攻が存在意義の彼女達は、嬉々として仮初の命を爆裂させるために敵へと腹部や肉厚な翅の先でニトロワックスを燃焼させたロケット推進で急降下していく。
しかし、雨のように俺は永遠を許さないへと降り注ぐ彼女達の威力の殆どは発揮されなかった。
巨大な呪術砲を下へと向けていた白銀の機体は、竜種を殺せる濃密に練り上げられた呪詛を大量のガスへと変換して噴出して加速。
急上昇し、あえて自爆特攻する爆蜜蜂の群に突撃することで最小限の被害で突き抜けたのだ。
衝突した爆蜜蜂達は想定どおり爆発するが、すれ違ってしまった残りの彼女達は、目標が違うとは言え殺意が汚泥のように塗り込められた黒いガスを浴びてMP作られた体を破壊され、光の粒子となって消えていく。
白銀の装甲の一部を爆砕されながらも蜂の巣の包囲網から脱出した俺は永遠を許さないは、空中を黒いガスで切り裂きながら砲門をGTFⅡへと向ける。
反撃は竜殺しを込められた呪詛の散弾だった。
竜殺しの一撃を準備に必要な手順と時間を無視して発射。脆く発射の衝撃に耐える強度も本来の威力も持たぬそれに生命に溢れるゲルドアルドを殺す力はないが、幾百幾千にも別れた呪詛の散弾はGTFⅡの装甲に食い込んだ。
怨嗟を糧に蠢く線虫とも蔓草にも見える不気味な姿に成長してお互いに絡み合う。
それをGTFⅡからのフィードバックで感じたゲルドアルドは、まるで全身を蛆虫に侵されたような不快さを味わい。
それを反映したGTFⅡが堪らず地面を転げ回った。
幾重にも重なる蜂蜜精霊の塊である両腕は侵食を逃れ、GTFⅡという蜂の巣を汚す呪詛を浄化しようと輝きを放つが、虫や草のように増殖して数を増やして成長し布のように互いを織り込んで金色の体を包む呪詛を一度に全て排除することはできない。
本当の竜殺し準備し始めた俺は永遠を許さないの砲門が無様に地面を転がるGTFⅡを睨み付ける。
「ぐぅぅぅ!頼むから変な動きしないでくれゲルドアルドっ……!」
かなりのピンチに陥っているゲルドアルドだったが、ブラウリヒト達は敵が大陸では討伐済みの邪神俺は永遠を許さないに似ていることは解ってもゲルドアルドが竜種になっているとは想像すらしていない。
その危機は伝わらず、自分達を守るだけで精一杯だった。
次回更新は未定。
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