7/8
あくありうむ
水草は枯れ水は濁り腐り
水を替えればそれはそれで死ぬ
増えすぎると病が広がり
謎の巻貝ばかりが蔓延る小世界
餌遣りに近づけば寄ってくるのが可愛いけれど
鳴き声もないのでしばしば忘れてしまうよ
鼻先に我が卵を絡ませてはくはくと口から出し入れをしている
気がつけば産み食べ尽くしている
必死で水の中に手を入れて追うけれど
卵は卵で鼻先に絡み付いて離れないし
親はわたしの手から死に物狂いで逃げる
あなたの為に
こんなに愛しても
あああ 本当に無意味な
もう知らん 子どもでもついばめよ
水槽の前でわたしは
わたしを覗く神様とおんなじ角度で首をうなだれた




