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たかしの散策

たぶん頑張るぞい!



暗闇の天井を足に挟んだ懐中電灯の明かりが照らしている。

部屋の入口にあったスイッチを入れても反応がなかったのでここの明かりを制御しているスイッチは別の場所にあるかあるいは単純にブローカーが切れてるのかも知れない。


軍隊で使っているような無骨な形状のベッドに腰掛け漫然とポテチを口に運びながらたかしはぼんやりと考えていた。

因みにポテチはこの部屋と同じ様な簡易ベッドとロッカーが並んだ小部屋(多分この施設の職員が使っていた居室の様な場所だと思う)で見つけた。


勝手に貰ってきたけど小腹が空いてたしまぁこれぐらい許されるはずだ。たぶん。


たかしが腰掛けてるベッドには見つけた時からブランケットが何枚も山積みになっていた。

一体誰がここでナニをしていたのか…?

まぁDTの俺にはそんなことはどうでもいいんだけど。


ともかく此処が何なのか朧気ながらわかってきた。

俺の推測が正しければ、ここは恐らく研究施設?或いは避難所?何にせよ整えられた居住スペースがある辺り凄く大掛かりな施設であることは間違いないだろう。


地上にあるのか地下にあるのかはまだわからない。

どの部屋にも窓が一つもないので外かどうか確かめる手段がないのだ。


部屋の外の通路は十字路になっていて十字路の先には防火シャッターを挟んでまた別の十字路がある。


たかしが居る部屋は十字路を為すの4隅の1角の空間だ。


どの通路の先も似たような作りになっていて通路を区切るシャッターを2つくぐって全く同じ十字路の風景を見たところでその先に行くのをやめた。

開け放たれたドアがなければたかしは迷子になっていたかもしれない。


この施設を作った奴は何を考えてこんな風に建物を立てたのか意味不明である。

せめて案内板ぐらい壁にかけとけよ…


最初の部屋を出て幾つかの部屋を開けて回った。

まぁ入ったつっても殆どの部屋はよくわかんないものしか置いてなかったので、部屋に入ってちょろっと見たら直ぐに出てったんだけども。


巨大なサーバとよくわからない円筒の機器が収められたケースの部屋。

よくわからない部品?ガラクタ?を積んだラックが所狭しと置いてある倉庫のような部屋。

洒落たカフェのような雰囲気の食堂スペース。ここにはでっかい冷蔵庫があった。

もしこのまま誰も見つけられなかったら、後でこっそり開けて中を見てみようと思う。

最初の部屋にあったワープ装置みたいな円形の装置が中央の床に埋め込まれてるほか何もない部屋もあった。


最後にさっき入ってすぐに回れ右をした部屋。

思い出すとまた心臓がドキドキする。

幾つもの培養槽が並んでて、中にはよくわからないものが浮かんでいた。

すぐ出たからちゃんとは確認はしなかったけど人の形をしていたような気がする。

人の手っぽいモノも見えたような気がする。


手の中でポテチを割りながら渋い表情でたかしは唇を噛む。

なんなんだろうなあれ。もしかして人間とかじゃないよね…?


正直あんまり考えたくない。

自問自答してみたところで答えは出ないのはわかってる。

それにもう一度あの部屋を見に行く気は欠片も無いし。


「はぁ。俺生きてここ出られんのかなぁ」

不安を振り払うかのように、でも誰にも聞こえないよう小さく声を落としたかしは呟く。

懐中電灯の明かりを消してどさっと後ろに倒れるとそのまま毛布の中に潜り込む。

目を瞑り毛布に顔を押し付けて匂いを嗅ぐとまだ洗剤の香りが残っているような気がした。


このベッドもそうだけどなんか此処って生活感が残ってるんだよね。

廃墟ってわけでもないし、なんで誰もいないんかなぁ…


もう少し探してみるか。

此処でぼーっとしてるよりは歩いてるほうが気が紛れるし。


たかしは立ち上がると手に持った毛布を肩に掛けて懐中電灯のスイッチを入れる。

因みにこの毛布も借りて行く。もはやたかしに遠慮という言葉はない。


金属製のドアを開け通路に出る。1度開けたドアは開けっ放しにしておく。

誰かがここを通ったら自分に気づいてくれるかもしれないし


「あれ?」


懐中電灯で通路の先の暗闇を照らしてたかしはそれに気付いた。


十字路の真ん中に毛布が一枚落ちている…


来た時には無かったよな?

誰かが置いた?


部屋の外に人の気配は無かったような気がするんだが…

恐る恐る近づいて靴の先で蹴ってみる。

何の変哲もないただの毛布だ。


意味がわからん…


毛布を裏返そうとして端を摘むと意外に重みがあることに気づく。


「ん?」


それと変に温かい。

毛布の繊維が幾万の蛆の様に手のの中で蠢きうねうねとたかしの手のひらを撫でる(・・・)


ああそうだこの感覚は…そう犬や猫を撫でている時の様な

目の前で毛布がもこもこと持ち上がり人のカタチを形成していく。


現実に思考が追いつかない。

端を握っていた手のひらを毛布がチクリと刺した。


体が熱い。


こいつ毒持ってるわ


気を失う寸前たかしはぼんやりとそんなことを思った。

後で忘れるから先に設定は後書きに書いとく事にするぞい!

あらすじでネタバレしてるのに後書きでネタバレしないなんて変だもんね!



登場モンスター


《変異生物(失敗作)》培養槽の中でぷかぷか浮いてたやつ

もう出て来ない可能性は高い

未だ生きてる。


《這いよる神殿》:生命体に加護を与える為研究所を彷徨う不定形の生物神殿

触手シーツとも呼ばれる。

加護はチクッと与える。

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