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彼女の正体


 偶然知り合った犬耳さん(仮称)と一緒に、私たちは当初の予定通りにパンケーキ店に到着。人気があるお店なのですが、今日はまだ時間帯が早い為か並ばずに入れました。

 ちなみに、外のテラス席と店内席があったのですが、犬耳さんの強い希望により店内の席にしてもらいました。



「さあさあ、遠慮なくなんでも好きな物を頼んでください」


「え……いえ、悪いですし」



 どうやら奥ゆかしい性格らしい犬耳さんは、こういう空気に慣れていないようです。

 一番安いお茶を一杯だけ頼もうとしていたのですが、



「ううん、気にしないでください。ほら、一緒に食べたほうが美味しいですし」


「そうそう! あ、せっかく人数が増えたんだし、別々のを頼んで分け合わない? そうすればボクも色々食べられるし、助けると思って」


「そうですわね……そういうことでしたら是非」



 全員分のお金を払うミアちゃんも、犬耳さん一人分くらいの出費は気にしないでしょう。それにどこまで考えているかは不明ですが、クロエさんのアシストもあって、前向きになってくれたようです。



「そうですよ、スポンサーもそう言ってますし、どうせならメニューを高い順にズラっと並べてもらいましょうか?」


「あ、うん、別にいいんだけど……リコちゃんはちょっと遠慮して欲しいかな?」



 おっと、少し調子に乗りすぎたようです。

 一応、現在の状況は迷惑をかけたお詫びにご馳走するという流れなわけですが、これって冷静に考えると『他の女への慰謝料を恋人に払ってもらうヒモ』みたいな感じですね。恋人ではなく友達なので細部は違いますが、我ながらクズっぷりが半端ないですよ。



 まあ、細かいことは置いておきましょう。

 ともあれ、我々は四人全員分のお茶とパンケーキの注文を済ませ、品物が来るまでの間に軽く雑談などすることにしました。

 特に犬耳さんには色々と聞きたいこともありますし、まずは……、



「ところで今更ですが、お名前をまだ聞いていませんでしたね」


「名前、ですか。その、わたくし……」



 名を尋ねてみたのですが、どうにも反応がよろしくありません。

 ある程度予想はしていましたが、名前を言いたくない事情があるようです。


 いえ、実はここに来るまでの間も忙しなくキョロキョロと周囲を警戒していまして。

 最初は人間の街が珍しいのかとも思っていましたが、あまり楽しそうではありません。店内に入った時には幾分安心した表情を見せましたし、どうやら人目につきたくないようなのです。


 一連の材料から推測するに、恐らく彼女は……、



「もしかして、誰かに追われてたりします?」


「ど、どうして、それを……!?」



 まあ、見ていれば分かります。

 それにしても、まさか一見普通の可愛い犬耳っ子に見える彼女が、



「人は見かけによらないとは言いますが、まさか逃亡中の指名手配犯だったとは……!」



 恐らくは戦争がらみのゴタゴタに紛れ、国境を越えて高飛びでもしようと考えたのでしょう。それならば獣人の彼女が人間の街にいる辻褄も合います。



「ち、違いますわ!? 無礼な!」


「リコちゃん、多分違うと思うけど……」



 おや残念。

 なかなかの推理だと思ったのですが、外れてしまったようです。


 そうなると、次に考えられる可能性は、



「だとすると……『外国から来たお姫様が護衛の目を盗んで滞在先から抜け出した』みたいなのはどうでしょう?」



 たしか、かの名作映画『ローマの休日』の導入部がそんな感じだったはずです。

 私が生まれるよりはるか昔の作品なのですが、ちょっとした家庭の事情というか親の仕事の関係で、古い映画は結構観ているのですよ。



「……っ!?」


「おや、こっちが正解でしたか?」



 適当に言ったのですが、まさかの正解を引いてしまったようです。



更新遅い上に短くてすみません。

もうちょっとで他の連載がキリのいいところまで終わるので、その後で一気に進めます。

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