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また明日


「食料よし、オヤツよし、着替えよし、オヤツよし、調理器具よし、オヤツよし」


 お風呂を済ませた後、荷物の準備と確認をしているのですが、とりあえず問題はなさそうです。オヤツが多めなのは仕様なので間違いではありません。糖分は重要なのです。



「分担して持てばリュックの七割くらいで納まりますね」



 あまりギチギチに詰め込むと出し入れが大変になりますから、ある程度の余裕は残しておいたほうがいいでしょう。出先で何かしらのアイテムを回収したりとか、あるいは状況次第では、たとえば荷物を捨てて逃げないといけない場面なんかもあるかもしれませんし。



「お願いしてきたよ。明日出かける時に用意しておいてくれるって」


「グッジョブです。明日のお昼が楽しみですね」



 ミアちゃんには厨房担当のメイドさんに、明日のお昼に食べる用のお弁当を準備してもらうよう頼んできてもらいました。今の時期のこの地方は割合温暖な気候ですが、日本での春くらいの気温ですし、半日程度ならお弁当が傷むこともないでしょう。

 旅先でお腹を壊したら大変なので、明日の夜以降は調理をするか、そのまま食べられる保存食でしのぐ予定です。もしかしたら美味しいご飯は明日のお昼を最後にしばらく食べられないかもしれませんね。



「この街のご飯は全部美味しかったですから、それはキツイですねぇ」



 これまでに行ったお店は全部当たりでしたし、まだ行っていないお店も数多くあります。いっそ出発予定を延ばしてもうしばらく食べ歩きを楽しみたいところですが、我々の事情を考えると残念ながらそうはいかないのです。



「まあまあ、帰ってから一緒に行けばいいよ」


「そうですね、帰ってから……あ」



 まだ不確定事項が多く確実ではないのですが、目的の遺跡には私が元の世界に戻るための手がかりがある可能性があります。もし、その場で魔法の起動に成功したら私はこの街に帰ってこないかもしれません。魔法の起動条件が不明な現状ではそうなる可能性が高いとは言えませんが、かといって無視できるほどに低くもありません。

 万が一の場合に備え、その事はミアちゃんだけには伝えておくべきでしょう。友人としての誠意として。



「実はですね……」



 昨日クロエさんから聞きだした話と私の推測、私が件の『魔人』であるかもしれない事などについて、私自身にも分かっていない部分のほうが大きいくらいですが、ミアちゃんに伝えました。



「そうなんだ……」


「そうなんですよ」



 『魔人』あたりの事については割とどうでも良さげでしたが、私が帰る可能性について触れると悲しそうな顔をさせてしまいました。こればかりはどうしようもありませんし、いつかは私も帰らないといけないのです。


 考えるとうんざりした気分になりますが、日本では私の捜索願とか出されているかもしれません。うちの両親はかなりフリーダムな気質で子供に対しては放任主義を貫いてくれていますが、さすがに何日も連絡を寄越さずに行方不明という状況では心配しているでしょうし。


 あ、でもこの世界と地球の時間の流れの速さが同じとは限りませんね。SFとかだと何百倍も時間の速さが違っていて、元の世界に帰ったら何千年も経過していた展開とかありますし。帰ったと思ったら猿が支配する荒廃した地球だったとか勘弁ですよ。



「まあ、まだ帰れると決まったワケじゃありませんし、ここであれこれ言っても仕方ないですよ」


「……うん、そうだよね」



 これに関しては私が悪いワケではないと思うんですが、悲しそうにしているミアちゃんを見ていると罪悪感が半端ないです。どうしましょう?



「よし、今日はもう寝ましょう!」


「え、え?」


「ほら、明日は早いんですから、寝ておかないと体力がもちませんよ」



 すでに二人揃ってパジャマ姿だったので、ミアちゃんの身体を抱え込むようにしてベッドにダイブ。強引にもほどがある話の逸らし方ですが、そろそろ眠らないといけないのは本当ですし、横になったら自然と眠気がやってきました。



「おやすみなさい、また明日」


「……うん、おやすみ。また明日」



 また明日。

 確信を持ってそう言える日はあと何日残っているのでしょう?




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